「今ここで人生が終わってしまったら、悲しむ人がたくさんいるから」 女性の手を握って引き戻す 命を救った高3の勇気【動画あり】

宜野湾署の仲本貴署長(左)から感謝状を贈られた北中城高校3年の国頭柚花さん(17)=12月25日、沖縄県北中城村の北中城高校体育館

 飛び降りようとした女性を説得したのは、高校生の優しい言葉と機転の利いた行動だった。
 
  北中城高校3年の国頭柚花さん(17)は11月末、高校からの帰り道、ある女性の異変に気が付いた。宜野湾市大謝名の国道58号の歩道橋で成人女性が手すりに足を掛けていた。携帯電話で泣きながら誰かと話している。

 「ただごとではない」

 驚かせないようにゆっくりと近づき、落ち着いた口調で「何をしているんですか」と声をかけた。女性は泣きながら誰かに謝り続けていた。

 国頭さんは「今ここで人生が終わってしまったら、悲しむ人がたくさんいるから」と女性の手を握って引き戻した。1人で歩けない女性の肩を支えながら、歩道橋の階段を下りた。警察が駆けつけるまでの間、「もう大丈夫ですよ」と抱きしめて安心させた。

 沖縄県警宜野湾署(仲本貴署長)は12月25日、 国頭さんに感謝状を贈った。仲本署長は「勇気ある行動で女性の命を救っていただいた。本当にありがとうございます」とたたえた。

 署によると、女性は当時、精神的に不安定だったが回復し、「あのとき見ず知らずの女の子に『もう大丈夫だよ』と抱きしめてもらい、優しい話までしてもらった。これからはしっかり生きていきたい」と話しているという。

 国頭さんは「その後無事に生活していると聞いて安心した」とはにかんだ。「いつどこで、どんな状況に出くわすか分からないけど、困っている誰かをサポートできる人でありたい」と話した。高校卒業後、専門学校で英語を学ぶ予定で、語学を生かした接客の仕事に就くのが夢だという。

【県内の主な相談窓口】

沖縄いのちの電話 電話098(888)4343(毎日午前10時~午後11時)

県立総合精神保健福祉センター「こころの電話」 電話098(888)1450(月・水・木・金曜日午前9時~11時半、午後1時~4時半)

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