井上奈奈さんが描いた北極の風景、日本絵本賞の大賞に 地元の京都府舞鶴市で喜び報告

日本絵本賞の大賞に輝いた作品を持つ井上さん(舞鶴市役所)

 京都府舞鶴市出身の作家井上奈奈さん(東京都)が絵を担当した「PIHOTEK(ピヒュッティ)北極を風と歩く」が、今年の日本絵本賞の大賞に輝いた。北極の風景を柔らかいタッチと印象的な色使いで表現した作品。井上さんはこのほど、舞鶴市役所を訪れて受賞の喜びを報告した。

 井上さんは子どもの頃から絵を描くのが大好きで西舞鶴高を卒業後、建築の専門学校などを経て武蔵野美術大でデザインを学んだ。2014年に初の絵本「さいごのぞう」を出版し、18年には「くままでのおさらい」がドイツの「世界で最も美しい本コンクール」で銀賞に輝いた。

 「PIHOTEK―」は、北極冒険家の荻田泰永さんが文を書き、昨年8月に講談社から出版された。井上さんは北極を歩く人物や動物を柔らかく描き、白銀の世界の中で赤色や青色が鮮やかに表せるよう印刷方法にもこだわっている。

 「絵本は建築物に似ていて、扉を開くと自由な物語の空間が出来上がる。文字感や紙の素材にもこだわっている」と語り、今回の大賞について「王道の絵本とは違うので受賞は驚きだった」と振り返る。

 市役所で鴨田秋津市長と面談した井上さんは「子どもの頃から図書館が大好きで本に育てられた」と話し、市が建設を予定する中央図書館にも触れて「舞鶴に新しい図書館ができるのが楽しみ」と笑顔を見せた。現在は幼少期の火の記憶をテーマに絵本を創作中といい「子どもだけでなく、大人にも絵本を読んでほしい。絵本を作る楽しさも伝えていきたい」と意気込みを語った。

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