「友人、同僚との飲食を申請」“総額789万円”のNHK不正経費問題 元記者は宮内庁担当だった

12月19日、不正経費問題について記者会見を行ったNHKの安保華子理事は、「信頼を大きく損ねるもので、深くおわび申し上げる」と謝罪した(写真:共同通信)

NHKの報道局社会部に所属していた30代の元記者が、友人や同僚との私的な飲食代を取材と称して不正に経費を請求し、懲戒免職になった問題。NHKは12月19日に記者会見を開き、この元記者による不正請求の総額が計410件、およそ789万円に上っていたことを明らかにした。

「30代の元記者による問題が発覚したのは2023年7月で、報道局内で“看過できない”ということになり、10月には弁護士なども加わった第三者委員会が設置されました。調査の結果、上司にあたる現職の社会部長をはじめ3人の管理職が停職一カ月、関係した職員9人に対して懲戒処分が下されました。

一連の調査では、経費の申請フローでのチェック体制がガタガタになっていたことが明らかになりました。3人の社会部長は部員から提出される申請内容をまったく確認しておらず、印鑑を庶務担当に預けていたほどだったのです。

元記者はこうした環境と“取材目的”という大義名分を逆手に取り、2017年4月から2023年5月にかけて、合計で311件もの友人や同僚との飲食を請求していたのです」(NHK局員)

問題が発覚した当時、不正請求を行っていた30代元記者は宮内庁担当だったという。同業他社の社会部記者は、人となりについてこう語る。

「発覚したのは、ちょうど天皇皇后両陛下のご成婚30周年を記念する動きを取材し、報道していた後でしたから、驚いていた他社の記者もいたようです。でも、『あ〜、やっぱり……』という反応をした同僚や記者もいました。

元記者は、もともと警視庁クラブが長く、捜査一課を担当していました。どちらかといえば“オラオラ系”な感じで、普段から声も大きかったと思います。ただ捜査一課の担当は、それなりに実力がないとできないとされています。

昼夜を問わない急な取材対応はざらですし、警察の捜査状況に食らいついていかないといけないので、会社を問わず“体育会系”な環境です。彼のタフなところはNHK社会部内で評価されていましたし、警察関係者にも好かれていたようですから、その取材力を買われて宮内記者会に異動することになったのでしょう。

しかし異動後に、“そんなに宮内庁の人に食い込んでいる感じはないよね”と評する声もあったので、それで『やっぱり』と問題発覚後に漏らす人がいたんだと思います」

豪快さが、周囲から顰蹙を買っていた場面もあったという。

「プライベートでは、メンズエステにしょっちゅう行っていたそうで、昼間から職場で大きな声で良かったサービスについてしゃべっているんです。当然ですが、ドン引きしている女性の記者もいました」(前出・社会部記者)

視聴者の受信料で経営が成り立っているNHK。より一層、襟を正すことが求められている。

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