「お前の首を切り落としてやる」 ISの“危険思想”は生きていた!? 紛争地域ジャーナリストの衝撃作ほか「TBSドキュメンタリー映画祭2024」で一挙上映

『BORDER 戦場記者 × イスラム国』©TBS

「本気」のドキュメンタリー作品一挙公開

TBSテレビやTBS系列の各局の記者やディレクターたちが、歴史的事件や今起きている出来事、市井の人々の日常を追い続け、記録し続け、熱い思いと共にドキュメンタリー映画として世の中に発信し続けるブランド「TBS DOCS」。テレビやSNSでは伝えきれない事実や声なき心の声を発信し続けるこれらの本気のドキュメンタリー作品に出会える場として、2021年より開催されてきた「TBSドキュメンタリー映画祭」が、2024年3月15日(金)より開催される。

開催第4回を迎える同映画祭では、人種や戦争、社会問題など現代を取り巻く重要なテーマを考える今だからこど観るべき作品を選んだ「ソーシャル・セレクション」、家族の形や身体的な障がいなど、多様な生き方や新たな価値観を見出せる作品を選んだ「ライフ・セレクション」、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚など、感覚を司る表現者たちやテーマを通して新たな感性に出会える作品を選んだ「カルチャー・セレクション」と、3つのテーマに沿って上映作品を選出する。

そんな同映画祭の「ソーシャル・セレクション」の追加ラインナップとして、中東を中心に世界中を飛び回り、現在はTBS系報道番組「NEWS23」専属ジャーナリストも務める、須賀川拓(ひろし)の監督最新作『BORDER 戦場記者 × イスラム国』の上映が決定した。

紛争地に生きる一般市民の声を発信し続けるジャーナリスト

国内でも紛争に対する関心が高まっている昨今。2022年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻してから間もなく2年が経過するが、今なお激しい戦いが繰り広げられている。加えて、2023年の10月には、パレスチナのガザ地区に拠点を置くハマスとイスラエル軍の衝突を契機に、同地区の民間人数万人が命を失う凄惨な事態に発展している。

中東地域の情勢不安は拡大していて、世界のエネルギー供給や安全保障の考え方にまで影響が波及。戦争は今を生きる我々にとっても、身近に起こっている難題なのだ。しかし、それらの実情を正確に知ることは簡単ではない。

須賀川拓は2019年から2023年まで、JNN外信部中東支局長として、レバノン、イラン、イスラエル、アフガニスタンといった中東各国を取材。また、ウクライナへの取材など、紛争地に生きる一般市民の声を積極的に発信し続けるジャーナリストである。

TBSドキュメンタリー映画祭へは、2021年『大麻と金と宗教 ~レバノンの“ドラッグ王”を追う』、2022年『戦争の狂気 中東特派員が見たガザ紛争の現実』、2023年『アフガン・ドラッグトレイル』と映画祭開催以降、毎年新たな映画として発表し続けている。2022年には、国際報道で優れた業績をあげたジャーナリストに贈られる<ボーン・上田記念国際記者賞>を受賞。また同年、初の全国公開となった監督作、ドキュメンタリー映画『戦場記者』(KADOKAWA配給)を発表した。

「これが戦地からの悲痛なメッセージ」

このたび「TBSドキュメンタリー映画祭2024」で上映が決定したのは、イスラム国家樹立のためならば非道なテロをもためらわない過激派組織イスラム国の“いま”を追いかけた最新作『BORDER 戦場記者 × イスラム国』。本作ではシリア奥深くの砂漠にある難民キャンプを取材し、壊滅した思われている過激派組織イスラム国、その極めて危険な思想にいまだ共鳴する人々がいる現実を映し出す。

須賀川は、「戦争は、長引けば長引くほど悲惨だ。多くの人が死ぬのに、その悲惨な現実への関心は薄れていく。“私たちのことを忘れないでください”――これが戦地からの悲痛なメッセージだ。戦争の負の遺産を先進国に住む私達が知ることで、未来の誰かが救われるかもしれない」と本作に込めた思いをコメントしている。

境界=BORDERはどこにでも存在する。それは空から見える時もあれば、地面に降りれば見えてくる物理的なものもあるが、それだけではない。貧困の差、権力間闘争、民族、宗教、犯罪など、世界中に存在する日常と非日常を隔てた境界=BORDERを取材し、その目で見て伝えることに意味があるはずだ。

世界中で戦争が勃発し、難民の数は実に1億人を超えた。世界の人口の74人に1人が紛争や暴力、迫害などによって故郷を追われている。そんな混沌とした今だからこそ、戦火から遠く離れた国で暮らす我々にも一石を投じる『BORDER 戦場記者 × イスラム国』に注目したい。

『BORDER 戦場記者 × イスラム国』

「お前の首を切り落としてやる」――シリア奥深くの砂漠にある難民キャンプで子供たちが記者に放った言葉は、ただの脅しではなく、血の滴るナイフを突き付けられているかのようにリアルだった。壊滅したはずの過激派組織イスラム国。しかし、他者との共生を拒みながらも、世界に広がった極めて危険な思想に、いまだ共鳴する人たちがいる。いったい、なぜ。忘れられた地で、記者が<境界 BORDER>を歩いた。

同作をはじめ、ここでしか観られない良作ドキュメンタリーが揃った「TBSドキュメンタリー映画祭2024」は、2024年3月15日(金)より全国6都市にて順次開催。

第4回「TBSドキュメンタリー映画祭2024」ラインナップの一部をピックアップ

「ソーシャル・セレクション」:現代を取り巻く重要なテーマを考える重要なテーマに迫る

『坂本龍一 WAR AND PEACE 教授が遺した言葉たち』

音楽家はなぜ、社会発信を強めていったのか。坂本龍一が遺したもの――

2023年3月に逝去した音楽家・坂本龍一。911テロ、イラク戦争、そして東日本大震災、激動の時代に音楽家はどんなメッセージを遺していたのか。坂本龍一は、なぜ社会への発信を強めたのか。TBSに残る秘蔵映像を一挙公開。知られざる「戦争と平和」への思いとは……。

監督:金富 隆

『サステナ・フォレスト ~森の国の守り人(もりびと)たち~』

“森の国”日本 放置された末に今、「守り人」たちは…

日本の国土の約7割は森林だ。かつて人々は街ではなく森に通い、色々なものを享受してきた。だが現在は森が放置され、獣害や土砂崩れのリスクも高まっている。広葉樹はナラ枯れが広がり、針葉樹は手入れすら行われず、一斉に切っても植え替えはわずか3割。日本の森を見守る「守り人」たちは今・・・。

監督:川上敬二郎

「ライフ・セレクション」:家族の形や身体的な障害など多様な生き方や新たな価値観を描く

『私の家族』

ママが2人いる……丁寧に話したい、もう後悔したくないから。

久保田智子は子どもを授かることができず、2019年に特別養子縁組で新生児を家族に迎えた。「ママとパパが大好き」。そう笑う2歳になった娘に、久保田は「もう一人、生みの母もいるんだよ」と話しかける。“真実告知”という、子どもに出自を伝える時期に入ったのだった。娘にちゃんと話したい。久保田はある後悔から、強くそう思っていた。家族の過去と向き合い、産んでも育てられなかった女性との交流を重ね、たどり着いた“真実”と伝え方とは……。

監督:久保田智子

『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』

鑑賞後もあなたは、ハーレム教団と呼びますか?

1980年 、10人の女性が突如姿を消したと報道される。謎の集団「イエスの方舟」 の 主催者・千石剛賢が、美しく若い女性を 次々と入信させハーレムを形成しているというのだ。日本中が騒然、千石が不起訴となり騒動は一応の終止符が打たれるが、彼女たちの共同生活は44年たった今も続いていた……。

監督:佐井大紀

「カルチャー・セレクション」:五感を司る表現者たちやテーマを通し新たな感性に出会う

『映画 情熱大陸 土井善晴』

ありがとう先生! ご飯作って食べるのがメッチャ楽しくなりました。

「一汁一菜」、ご飯を中心に味噌汁と簡単なおかずで構成する和食のスタイル。土井は、日々の食事はこれで十分と提案し、料理を億劫に感じていた人の心を軽くする。味噌汁は出汁をとらなくてもいいし、具材に何を入れてもいい。作りやすいレシピの紹介で人気の”土井先生”だが、いま、レシピから離れる大切さを説く。料理する全ての人を応援したい……生き辛さを抱える時代に新たな暮らしの哲学を模索する料理研究家の情熱を見つめる。

監督:沖 倫太朗

『最後のMR.BIG~日本への愛と伝承』

日本を愛し、日本に愛されたバンドによる最後の別れ―「僕らは誠実であり続けなければならない、だからこれでお別れなんだ」

アメリカのロックバンド・MR.BIG。全米NO.1ヒット曲を持ち、特に日本では絶大な人気を誇る。バンドも日本を愛し、2011年の東日本大震災の際には、外国人アーティストとして誰よりも早く被災地でライブを行った。しかし、ドラマーのパットさんが難病“パーキンソン病”で死去。バンドは「さよならツアー」のため、来日した。

監督:川西 全

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