凍える日にスクールバスを待つ姿を見かねて…沖縄出身の85歳、米国で毛糸帽を編み続けて千個 福祉施設通じ児童に贈る

[ワールド通信員ネット]@米国

 【クリッシー悦子通信員】米イリノイ州イラに住む米子・ケーブルさん(85)=うるま市出身、旧姓島袋=が恵まれない子どもたちのために編んだ毛糸の帽子が千個に達し、郡の福祉機関を通じて子どもたちに贈られた。地元のオンラインニュースで紹介されるなど話題になっている。

 帽子を寄贈しようと思い立ったきっかけは3年前。孫のジョセフさんとジョニーさんを学校に迎えに行った時のことだ。凍えるような寒い冬の日にバス停でスクールバスを待つ子どもたちを見て「少しでも温かく過ごせるように」と手編みを始めた。

 以来、すっかり夢中に。孫たちやその友人、親が訪ねてくると、みんな不思議そうに「どうしてこんなに帽子ばかり編んでるの」と聞いてくる。そのたびにバス停の光景を思い出しながら「困っている人たちがいれば少しでも役に立ちたい」と話したという。

 近所の人たちからは「千個に達したら教えてね」と言われていた。報告すると、待っていたのはお祝いのサプライズパーティー。それが話題になり、地元のオンラインニュースで取り上げられた。

 米子さんは仕上げるたびに自分でかぶってみて「どんな子がこの帽子をかぶってくれるのかな? 似合うかな? 喜んでくれるかな?」と一つ一つに思いをはせたという。

 3年かかったが、やめようとは思ったことはない。「特に編み物が好きというわけでもないが、編んでいて楽しかった。福祉機関を通すのでだれが受け取ったかは分からないが、喜んでくれるとうれしい」。次は500枚のマフラーを編んで寄贈する予定という。

編み上げた帽子をかぶり、千個達成を喜ぶ米子さん=米イリノイ州イラ

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