【MLB】山本由伸に期待のかかる日本人初の防御率1点台と最優秀防御率

写真:MLBデビューシーズンから大きな期待が寄せられる山本 ©Getty Images

今年の日本シリーズ第6戦、完投勝利を挙げた山本由伸のピッチングは、まさにエースと呼ぶにふさわしい内容だった。阪神打線に9安打を浴びるも、失点はソロホームランの1点のみ。「点を取られない」山本の今シーズンを表したような試合だった。

NPBラストイヤーとなった今シーズンは、23試合で16勝6敗、169奪三振の成績を残した。なかでも圧倒的なのが、防御率1.21という数字だ。パ・リーグ歴代2位となったこの数字は、同じくNPBラストイヤーで24勝0敗という前人未到の成績を残した2014年の田中将大(防御率1.27)を上回っている。

日本では5年連続で規定投球回に到達し、そのうち4年で防御率1点台を記録。「点を取られない」という能力は、非常に優れていると言える。

圧倒的な支配力を持つ山本には、日本人先発投手として初の防御率1点台と最優秀防御率のタイトルに期待がかかる。数々の日本人投手がメジャーの舞台で活躍してきたが、規定投球回に到達したうえで防御率1点台と最優秀防御率のタイトルを手にした選手はいない。

日本より打高傾向にあるメジャーリーグにおいて、先発投手が防御率1点台でシーズンを終えるのは容易なことではない。事実、今シーズンに防御率1点台で終えた先発投手はいない。過去10年間を見ても、短縮シーズンの2020年を除き、達成者はわずか6人と非常に少ない。

一方、最優秀防御率のタイトルも日本人が手にしたことがない。最も惜しかったのが、2016年の田中将大だろう。一時はトップに立つなどシーズン終盤まで熾烈な争いをしたが、わずか0.07差の防御率3.07でタイトルを逃した。

チームの守備能力や運などにも左右されてしまう防御率は、投手の真の能力を測るには不十分な指標かもしれない。しかし、エースと呼ばれる投手には「点を取られない」という能力もまた必要であり、防御率という数字を軽視することはできない。

投手史上最高額という契約が示すように、山本にかかる期待は非常に大きい。今まで日本人投手がなしえなかった、防御率1点台と最優秀防御率の獲得を達成するような成績を残せれば、投手最高の栄誉「サイヤング賞」も見えてくるはずだ。

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