<ライブレポート>三代目 J SOUL BROTHERS、ソロ活動を経たこその円熟した姿をみせた【JSB LAND】東京ドーム公演

三代目 J SOUL BROTHERSが、12月2日、3日、4日に【三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS “JSB LAND”】を東京・東京ドームにて開催した。

2023年11月に、デビュー13周年を迎えた三代目 J SOUL BROTHERS。7人それぞれがソロ活動も活発におこなっている彼らだが、昨年2022年はそのソロ活動に各々尽力していた年で、今年2023年はそれを経た“再結集”の年であった。2月からのアリーナツアーに始まり、11月からスタートした今回のドームツアーでは、7人がソロ活動で磨いてきた個性を発揮しながらも、ひとつのダンス&ボーカルグループとして円熟した、“今の三代目 J SOUL BROTHERS”ならではのステージを見せつけてくれた。3日間行われた同ツアー東京ドーム公演のうち、本稿ではABEMA PPV VIEWINGおよびライブビューイングも実施された2日目、12月3日公演の模様をレポートする。

客席につくと、会場内にはSEとして、鳥のさえずりやゾウの咆哮が響く。会場いっぱいに広がる緑色の照明とあいまって、まるでどこか南の島のはずれ、深い森の中に迷い込んでしまったかのようだ。オープニングムービーがスタートすると、視界に広がるのは、けばけばしいほどの原色で彩られた自然の風景と、それに連動するライトスティックの色とりどりの光。そしてその光の影にまぎれるように、ステージの周りにそびえ立つ柱の下で、ダンサーたちが儀式のような踊りを繰り広げる。儀式がムービーの中とステージの両方で進んでいくと、ついにそれに応じるように、画面の中で7人が目覚めて――スタートしたのは最新曲「Awakening Light」。ダンスの激しさに合わせてステージからも火の玉が上がり、さっそく会場の温度は急上昇していく。

そこからは嵐のようなセットリストだった。まずは「J.S.B. DREAM」で恒例のハンドサインを掲げ会場が一体になると、ボーカル2人の冴えるハイトーンにELLYのラップがアクセントになる「J.S.B. LOVE」でBPMを上げる。そして、センターステージから前後に伸びる花道を、NAOTO/岩田剛典/ØMI、小林直己/ELLY/山下健二郎/今市隆二の二手に分かれて進みながら、ØMIのソロ曲「CHAIN BREAKER」[PKCZ(R) feat. 登坂広臣 名義]では観客全員でジャンプ、今市のソロ曲「TUXEDO」では7人のセクシーな魅力に黄色い悲鳴が響き、ELLY(CRAZYBOY)のソロ曲「NEOTOKYO」ではヒップホップの重いビートに乗って、ボーカルふたりもバチバチのダンスを披露。今回のツアータイトル【JSB LAND】には、メンバーそれぞれの“島”にみんなで行く(=各々がソロで磨いているものを全員で活かす、というところだろうか)という意味が込められているとのことだが、さっそく“7人”だからこそ引き立てられるそれぞれの個性が輝いていた。

7人がそれぞれトロッコに乗って、より客席と近い距離でコール&レスポンスや「R.Y.U.S.E.I.」の“ランニングマン”ダンスを一緒に楽しんだあとは、山下の主催イベント『山フェス』がなんとライブ出張版としてスタート。山下もスーツにサングラスを身につけ名MCの風格をまといつつ、客席を独特のコールで煽ったり、「Share The Love」の振り付けにどうも乗り切れていない観客に「みんな踊ってへん!」と拗ねて帰るふりをしたりと、パワフルで明るい彼らしい姿で、コミカルに会場を盛り上げていく。さらにフェスのラインナップも、「FIGHTERS」では小林が黒いレスポールを手に取り、ギターソロを弾きながら踊るというさすがのステージングをみせ、NAOTOは「要!」[HONEST BOYZ(R) 名義]でラッパーにジョブチェンジし、観客の手を大きく高く挙げる。そして岩田は自身のソロ曲「Only One For Me」で、彼ならではの柔らかく穏やかなムードで会場を包み込み……と、まさに“フェス”という表現がぴったりなカラフルさだった。

笑顔であふれた『山フェス』コーナーが終わると、生バンドが奏でるムーディなBGMにあわせ、ステージには今市とØMIのふたりが姿をみせる。ØMIが観客に着席を促し、リラックスムードが高まると、そのしっとりした雰囲気で始まったのは「Powder Snow ~永遠に終わらない冬~」。ピアノのみの伴奏とふたりの声が、一気にドーム内を雪の日の夜の情景へ変えていく。続く「東京」は、繊細で切ない今市、豊かに響くØMIと、ふたりの声の持ち味がはっきりと感じられる贅沢なひとときだった。

パフォーマー5人がステージ上に戻ると、“懐かしい曲”としてデビュー曲「Best Friend’s Girl」が流れ出し、あちこちからファンの驚きと喜びの声が聞こえてくる。夏の終わりの物悲しい恋を歌う「花火」でバラードのブロックを締めくくると、一転、燃え盛るような赤色の光のなか「SCARLET feat. Afrojack」へ。ブレイクの、花道をいっぱいに使ったラインダンスは圧巻だ。「LET’S PARTY」で7人は再びトロッコに乗り込むと、そこから「Summer Madness feat. Afrojack」「X-RAY」「Feel So Alive」「Angel」「DIAMOND SUNSET」と息つく間もなく駆け抜けていく。

そして、今市が「知ってる方はぜひ一緒に歌ってください!」と呼びかけると、始まった「STARS」では大合唱が巻き起こった。代表曲「R.Y.U.S.E.I.」で歌っていた、流れ星のような捨て身の覚悟での野心ではなく、〈誰も見えない光〉であろうと、自分もあなたも、何があっても確かに輝き続ける“STARS”なんだ――とのメッセージは、グループのデビューから13年、そしてグループ外でも様々な経験をもってキャリアを積み重ねてきた今の三代目 J SOUL BROTHERSだからこそ、ここまでの説得力をもって伝わってくるのだと感じる。そして、曲名の通り虹色の光が会場いっぱいを満たした「RAINBOW」で、ライブ本編が終了した。

暗転した会場でアンコールを待っていると、突然始まったのが『MATE CAM』のコーナー。客席から観客がランダムにモニターへ映され、そのまま指定された楽曲のダンスを無事踊り切ることができるか?という観客参加型企画なのだが、突然の合図にもかかわらず、見事にダンスをコピーできるファンの多さに驚いた。この日指定曲に選ばれていた「R.Y.U.S.E.I.」「Rat-tat-tat」がまさにそうだが、振付まで含めて真似して楽しめるほどに、彼らの楽曲はファンへ根強く届いているのだろう。

アンコールは、パフォーマー5人がそれぞれダンサーを率い、チームバトルのような形式でスキルをぶつけ合うステージから幕を開けた。追ってボーカルふたりも姿を見せると、「24karats type JSB」「24karats STAY GOLD」「24karats TRIBE OF GOLD」と、怒涛の“24karats”メドレーへ続く。「24?」「karats!」とのコール&レスポンスも回を追うごとにどんどん声が大きくなっていき、そのパワーに触発されてか、いつの間にかトップスを脱ぎ捨てるメンバーたち。その姿にまた観客も歓喜する……という応酬で、会場のボルテージは最高潮に。

曲が終わっても興奮醒めやらない観客を見つめながら、ØMIが「楽しかったかー!?」と叫ぶと、大声で返事が。その声に「そうだろうそうだろう!」と答える彼の声はとても嬉しそうだ。アリーナツアーから始まりライブづくしの一年であった三代目JSBだが、今年はこの【JSB LAND】までのストーリーを構想して駆け抜けてきたとのこと。「この地で、こんな素晴らしい景色が広がっていることを心から嬉しく思うし、誇りに思います。皆さん改めてありがとうございます!」とお辞儀すると、大きな拍手が返る。なかでも、「ソロの告知もありましたけども、みんな、三代目の来年を楽しみにしていてね!」との呼びかけには、期待に満ちた歓声が湧き上がっていた。

公演の最後を飾ったのは、自身初ドームツアーのテーマ曲を、ファンの歌声を加えてアレンジした「starting over ~one world~」。アレンジ版がリリースされた2020年8月はコロナ禍真っ只中で、実際に音源のような大合唱はできない状況にあったが、今回のツアーで声出しが完全OKになったことで、その分を取り返すような大声での合唱が巻き起こる。大きく口を開けて一生懸命に歌う観客の姿を愛おしそうに見つめるメンバーの笑顔。あまりにもエモーショナルな空間だった。そして最後は紙吹雪がステージ上の7人を包み込み、夢の【JSB LAND】は幕をおろしたのだった。

次々に新グループが誕生し、“ダンス&ボーカルグループ戦国時代”ともいえる今の音楽シーンにおいて、第一線で活躍し続けるというのは並大抵のことではないと思う。まるでテーマパークで遊んでいるかのような様々な驚きがある2時間半。グループとして積み上げてきたキャリアだけでなく、時にグループの枠に縛られず、個々の表現を追求し磨き続けている7人それぞれのスキルの厚みがあるからこそ、この【JSB LAND】で見せてくれたようなエンターテインメントを作り上げられるのだと感じた。来年も岩田のソロアルバム&初アリーナツアー、山下の【山フェス】開催、NAOTO初のソロツアーおよびHONEST BOYZ(R)のアルバムリリース、そして今市のソロツアーが発表済みのほか、3月には約4年ぶりのオリジナル・アルバムの発売も予定されている。14年目も突き進んでいく三代目 J SOUL BROTHERSが楽しみだ。

Text by Maiko Murata

◎公演情報
【三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS “JSB LAND”】
2023年12月3日(日) 東京・東京ドーム

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