旧優生保護法で「不妊手術強制」…国に損害賠償求めている裁判が結審 判決は来年5月27日 静岡地裁浜松支部

浜松市に住む全盲の女性が、旧優生保護法のもと不妊手術を強制されたとして、国に損害賠償を求めている裁判は、来年5月に判決が言い渡されることになりました。

浜松市に住む武藤千重子さん(75)は1977年、視覚障害を理由に2人目の子どもを出産した後に、旧優生保護法のもと不妊手術を強制され、子どもを産む権利を不当に奪われたとして、国に3300万円の賠償を求めています。

これまでの裁判で、原告の武藤さんは自身の視力低下や出産から不妊手術までの経緯について、「2人目の子どもを出産した数時間後に、看護師から『3人目は生まないでしょ、子どもに障害が遺伝したら育てられるのか』などと言われ、拒否できなかった」と説明。裁判所と国に対し、「国は間違っていたと認め、結果を示してほしい」と訴えました。

この裁判では、不法行為から20年が過ぎると賠償を求める権利が
なくなる「除斥期間」が争点のひとつとなっていて、これまでに国側は「手術から20年以上が経過し、賠償を求める権利が消滅している」と主張し、訴えを退けるよう求めています。

25日の裁判で、原告側の弁護団は同様の裁判のこれまでの判例を用いて「国側は優生手術であることを説明する義務を負い、説明する責任があったが、武藤さんは自身の手術が優生手術だったことを知らないままでいた。全盲で情報収集が制限され、たまたま読んだ本で知ることができただけで、武藤さんの権利は除斥機関でも、時効によっても妨げられない」と主張しました。

裁判は25日で結審し、裁判後の会見で武藤さんは「訴えたことがきちんと裁判長に伝われば、いい結果がでると思う。正しい結果をだしてほしい」と訴えました。

判決は来年の5月27日に言い渡されます。

© 静岡朝日テレビ