忘年会復活も…深夜のタクシー乗り場は長蛇の列 業界は深刻な運転手不足…新型コロナが原因か 静岡市

夜の飲食店には活気が戻る

今年も残すところ、あと1週間。

22日静岡市内の夜の街では、いたる所で今年1年をねぎらう“忘年会”が行われていました。

Q忘年会みたいな感じ?

市内で車関係の仕事:
「きょうは同じ職場の集まりで来ている。雰囲気そんな感じ。年が近い仲間でちょっとやろうと」

Qプチ忘年会?
「そんな感じ。このあとまた人数が増えて次の店に行く。」

県内の建設業の仕事:
「会社の忘年会は終わって、職場の同僚で忘年会をやっている。5時半ぐらいから飲んでる」

Q今はお酒もいい感じ?

「だいぶ仕上がっている。(お酒を飲んで)うまい。」

Qおいしいですか?
「おいしい」

店にとって、1年で最も忙しいシーズン。従業員たちもフル回転でお酒を運びます。新型コロナが5類移行となって初めて迎える忘年会シーズンに、店側もかつてのにぎわいを実感しています。

静岡ゴールデン横丁 石原広之統括:
「各店舗週末は予約がすごく埋まっていると情報は聞いている。本当に10時、11時ぐらいには(店に)入れなくてお断りするということも最近出てきたかなと」

宴会が盛り上がれば、その分遅くなるのが帰宅時間。

しかし今、その帰りの「足」として多く利用されるタクシーに、“ある異変”が起きているんです。

JR静岡駅前にはタクシー待ちの列が

能地優アナウンサー 23日 午前0時ごろ
「午前0時過ぎのJR静岡駅前です。こちらはタクシー乗り場なんですが、並んでいるタクシーは数台だけで、他に並んでいるタクシーは1台もありません。そしてこちらご覧下さい。タクシー待ちをしている人の長い行列がずらっとできています。」

今夜間に頻発しているのが、「タクシーがつかまらない」という現象。

在来線も終電を迎え、深夜0時を過ぎたJR静岡駅前のタクシー乗り場には、寒空の下、タクシーを待つ50人以上の行列が駅の入り口付近まで伸びていました。

忘年会帰りでタクシーを待つ人:
「うーん、こんなに待つのかと。バスもないのでタクシーで帰ろうかと思ったが結構並んでいる。」

飲み会帰りでタクシーを待つの人:
「もう電車がないのでタクシーで帰るしかない。車も家に置いているので足がタクシーしかない。(待つのは)めんどくさい、正直」

JR南口にも行列が

能地優アナウンサー 23日 午前0時ごろ
「先ほどとは反対側のJR静岡駅南口のタクシー乗り場にやってきました。こちらもタクシー待ちをしている人で非常に長い行列ができています」

JR静岡駅の南口側でもタクシーを待つ人たちの行列が、30mほどのびていました。

両替町で飲んでいた人:
「30分並んでいる。寒い中これは厳しい。両替町から来て、両替町も(タクシーが)捕まらないので駅なら大丈夫だと思ったら、もっとすごくてびっくりした。失敗したと思った。」

Q何分ぐらい待っている?

タクシー待ちの人:
「もう15分以上。」

Q気持ち的には?

「寒い、早く帰りたい。やっぱりタクシー運転手が減ってきてるんだとすごく実感した。」

こうした夜間のタクシー不足の背景にあるのが、深刻なドライバー数の減少です。

ドライバー不足の要因はコロナ禍

その実態を県タクシー協会に聞きました…。

静岡県タクシー協会 村上雅則専務理事:
「このコロナ前後を境に、(県内の)ドライバー全体の2割ぐらいが減少してしまった。令和2年度に500人ぐらい減っていて、3年度に420人、4年度にもざっと200人ぐらい減ってきてしまっている」

タクシードライバーが減少した一番の要因は新型コロナだといいます。

外出自粛や飲食店の時短営業などでタクシーの利用客が極端に少なくなったことで、ドライバーの数は9年前と比べ、およそ1800人以上減少。

1日あたりのタクシー稼働数も800台以上減少していると言います。

また、夜間のタクシー減少についてはこうした指摘も…。

静岡県タクシー協会 村上雅則専務理事:
「夜間の割り増し(料金)というのは、運賃の上げ幅よりも支払う給料の方が多い。実際には2割余分に運賃をいただいているが、雇用する側としてはそれに見合った収入がない。そういうのを見て、じゃあどんどん(新たな)人が来るかっていうと、なかなかそれも難しいというような状況がある。」

もはや、割り増し運賃だけでは採算が取れなくなるなかで、人手不足の問題も浮き彫りになっているタクシー業界。

静岡ひかりタクシーでは昼間中心のシフトで対応

静岡市内で、およそ50台のタクシーを稼働させているこちらの会社でも、厳しい現状がありました。

静岡ひかりタクシー 泉真社長
「(コロナで)夜の仕事が全くなくなってしまったので、コロナの前はほとんどの人が、朝10時から夜0時や夜2時までといったダイヤだったが、その半分の人たちを朝と同じようなダイヤ、午前中を厚くするダイヤに変更させてもらっている現状」

こちらの会社ではコロナ前まで90人ほどいたドライバーが、コロナ禍の収入減少などを背景に、現在は70人ほどになってしまったといいます。

この日はおよそ40人の稼働のなか、深夜帯のドライバーは5人のみというシフトとなっていて、夜間のタクシー稼働では、現実的に利益の確保が難しいと言います。

そのため、こちらの会社が光明を見出したのが昼の稼働でした。

静岡ひかりタクシー 泉真社長
「コロナの期間中、本当に経営を諦めざるを得ないかなと考えるぐらい本当に苦しかった時に、その期間を支えてくださったのが地元のおじいさん、おばあさんたちだった。ひかりタクシーがあるから、病院に行ける。買い物に行けると言って、本当に毎日のように使ってくださった方々に支えられているので、実はいま弊社の場合に限って言えば、月~金の午前中がめちゃくちゃ忙しい。」

人が出歩かなかったコロナ禍に、タクシーを利用してくれたのは地元の高齢者たちでした。

こちらの会社では、現在もそのニーズに応えるため、昼の稼働をメインにシフトを組んでいるといいます。

静岡ひかりタクシー 泉真社長:
「夜中カバーできるような人員確保ができれば、さらに広い地域の皆様のお役に立てるようになれたらいいなと願っている」

夜の街で相次ぐタクシー不足。

忘年会で楽しい声が街中から聞こえてきますが、帰りの足については忘れず確保する必要がありそうです。

© 静岡朝日テレビ