『レザボア・ドッグス』のタイトルに込められた意味とは? 32年を経ても明らかにされない傑作バイオレンス映画の“謎”を「デジタルリマスター版」再上映で噛みしめる

『レザボア・ドッグス』© 1991 Dog Eat Dog Productions, Inc. All Rights Reserved.

『レザボア・ドッグス デジタルリマスター版』新春公開!

クエンティン・タランティーノの長編デビュー作にして、全世界の度肝を抜いた鮮烈のバイオレンス映画『レザボア・ドッグス デジタルリマスター版』が、2024年1月5日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開となる。

1992年に製作、1993年に日本公開されたクエンティン・タランティーノの監督デビュー作『レザボア・ドッグス』。初公開時のサンダンス映画祭での衝撃、映画界に与えたインパクト、その後のクリエイターたちにもたらした影響、そして今では“史上最高のインディペンデント映画”と称される絶大な存在感を放ちながらも、実は誰も『レザボア・ドッグス』のタイトルが何を意味するのかを知る者はいない。それはタランティーノ自身も例外ではなく、初公開当時から現在に至るまで世界中で様々な議論がなされているミステリーの一つだ。

貯水池の犬? 密告するネズミ??

単純に各単語の意味からすれば、「Reservoir」は“貯水池や貯蔵庫”、「Dog」は言わずもがな“犬”だ。ということは『貯水池の犬』となり、行き場を失ってある場所に閉じ込められているという意味から「吹き溜まりの犬たち」、「掃き溜めの犬たち」と考えることもできる。

またスラングでは、「Reservoir」は“かっこいい”“魅力的”というポジティブな意味もあるが、「RESERVOIR DOGS」になると“警察に密告するネズミ”、もしくは“悪知恵が働く野心のある貧しい子供たち”といった意味もあるという。前者に関してはストーリーにも関わってくるため信憑性を感じるが、英語圏でもこれほどまでに世界中で様々な憶測とともに議論が展開されているということは、“映画のタイトル”としては意味をなさない、わけが分からないものなのだろうと思われる。

そして30年以上を経た現在も、監督のタランティーノは明確な答えを出していない。異常なほどにディテールにこだわるタランティーノなのだから、「なんとなく響きがいいから」という雰囲気だけでタイトルを決めたはずがない、必ず意味と意図があるはずだ、というのが人々の考えだ。ゆえに映画界最大の謎のひとつとなっているわけだが、実際にはどうなのだろうか?

「他の人がどんな答えを伝えてくれても、それは正しい」

タランティーノは1992年、トロント映画祭での記者会見で「単に雰囲気で決めたタイトルだ。作品に合っている。それがなぜかは聞かないでくれ」と発言している。また、同年のロンドンでのインタビューではこう語っている。

『レザボア・ドッグス』の意味が何か、ということには答えられない。なぜなら、人がどう思うかを聞くのが好きだから。他の人がどんな答えを伝えてくれても、それは正しい。

たとえば「『レザボア・ドッグス』のタイトルは間違いなく『わらの犬』(原題:STRAW DOGS、サム・ペキンパー監督作)から来ている」と言われることもあれば、「“裏切者”のことだ」とか、「“RES”はRESERVE、“VOIR”はWARで、意味は“RESERVE DOGS OF WAR”だ」と言う人もいる。

いろんな人がいろんな意見を持つなかで、自分が答えを言ってしまうことで人々のクリエイティビティが失われてしまう。

また、ファンの間で最もまことしやかに囁かれている噂としては、タランティーノがビデオ店で働いていたとき、客にルイ・マルの『さよなら子供たち』(原題:Au Revoir Les Enfants』)を勧めたが、その客がタイトルを「レザボア・ドッグス」と聞き間違えたというもの。あるいはタランティーノが恋人にこの映画を勧められ、それを聞き間違えたという説もある。

さらに深読みすれば、“何かに閉じ込められた犬たち”という意味は、長年監督作発表を目指しながらもそのチャンスに恵まれず、袋小路に陥っていたタランティーノ自身を言い表している、と考えることも可能ではないだろうか。

「10本撮ったら監督業を引退する」と公言しているタランティーノは現在、その10作目を準備中だという。本当に引退するのかはさておき、一つの区切りを迎えたときタランティーノは、この絶え間ない議論に終止符を打つ答えを出すのか、出さないのか――。未来のことはわからないが、このタイトルの謎を考えながら30年ぶりの劇場公開を噛みしめることで、何かが導き出される可能性はあるだろう。そして大スクリーンでデジタルリマスター版の美麗映像からは、ロケ地や衣装など様々な“狙い”や低予算ゆえの“ほころび”を再発見することができるはずだ。

数量限定!プレミアムな入場者プレゼント

このたび『レザボア・ドッグス デジタルリマスター版』は来年1月5日(金)の公開初日より、2週連続入場者プレゼントを実施する。

第1弾(1月5日~)は、某飲料メーカーCMでお馴染みのジョージ・ベイカー「リトル・グリーン・バッグ」が流れる有名すぎるオープニングシーンを切り取った日本版のポスタービジュアルを、大胆に黒一色にアレンジしたファン垂涎のオリジナルB5サイズチラシ。劇中、ボスのジョーの意向でMr.ブラックのあだ名は却下されているため存在せず、全員黒いスーツとネクタイにサングラスで身を包むことから、ブラックは本作を象徴するキーカラーともいえる。

そして第2弾(1月12日~)には、『ミッドサマー』『カモン カモン』『LAMB/ラム』など【A24】作品のデザインを多く手掛けるグラフィック・デザイナー大島依提亜が、本作の入場者プレゼント限定ポストカードのビジュアルデザインを担当。Mr.ホワイト、Mr.オレンジ、Mr.ブロンド、Mr.ピンク、Mr.ブルー、Mr.ブラウンのドッグスが、それぞれのコードネーム色に配色された遊び心に溢れたデザインとなっている。

【2週連続来場者特典詳細】

▼第1弾:オリジナルチラシ
配布時期:2024年1月5日(金)~※数量限定、なくなり次第終了

▼第2弾:大島依提亜デザイン オリジナルポストカード
配布時期:2024年1月12日(金)~ ※数量限定、なくなり次第終了

『レザボア・ドッグス デジタルリマスター版』は2024年1月5日(金)より新宿ピカデリーほか公開

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