いなほの安全運行誓う 脱線事故から18年、庄内町で追悼慰霊式

JR東日本の関係者が犠牲者に黙とうをささげ、献花した追悼慰霊式=庄内町榎木

 乗客乗員計38人が死傷した、JR羽越本線特急いなほ脱線転覆事故から18年となった25日、追悼慰霊式が庄内町榎木の慰霊会場で行われた。参列者が犠牲者の冥福を祈り、再発防止と安全な運行を改めて誓った。

 追悼慰霊式にはJR東日本から深沢祐二社長ら幹部5人が参列した。黙とうし、慰霊碑に献花した。

 事故は2005年12月25日午後7時14分に発生。秋田発新潟行きの特急いなほ14号が、第二最上川橋梁(きょうりょう)を通過後、瞬間風速40メートルの突風にあおられ脱線、転覆した。1両目の乗客5人が死亡し、乗員を含む33人が重軽傷を負った。

 同社は事故以降、現場周辺に風速計や防風柵を設置した。17年には酒田市黒森に設置したドップラーレーダーで突風を予測し、運行を規制するシステムを11月~翌年3月に運用している。20年からは人工知能(AI)も活用し、予測精度を高め、22年度の危険予測的中率は90%となっている。本年度は24日までに、この予測に基づき計12回の運行を規制している。

 慰霊式後、深沢社長は安全対策について「AI導入で、さらに精度を上げていく。事故を風化させないため、社員への教育・研修も引き続き行い、慰霊式も続ける」と述べた。

 事故発生時刻には、同社新潟支社の関係者20人が黙とうし、献花した。この日は遺族を含む138人が献灯、献花した。

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