本紙記者、南極へ・しらせ、昭和基地に接岸 物資輸送、本格化へ

昭和基地沖に到着し、観測隊員の出迎えを受ける南極観測船「しらせ」=25日午前8時15分、東オングル島

 【昭和基地=報道部・小田信博】南極観測船「しらせ」(斎藤一城(かずき)艦長)は25日、昭和基地に接岸した。日本を先月10日に出発後、45日目で往路の航海を終えた。基地への物資・燃料の氷上輸送が本格的に始まる。

 「しらせ」は現地時間の午前8時45分(日本時間午後2時45分)、東オングル島にある昭和基地沖約230メートルで停止した。当初は23日に接岸予定だったが、ブリザードの影響で延期していた。

 既に昭和基地に到着している第65次南極観測隊や、第64次越冬隊の隊員は一帯を見渡せる岩場「見晴らし岩」に集まり、南極までの道のりを共にした船を大きく手を振って出迎えた。第65次隊の秋山淳二さん(38)=関電工、東京都江戸川区出身=は「5日前まで乗っていたのに、長い時間離れていた気がする」と話していた。

 先月10日に神奈川県・横須賀港を出港した「しらせ」は、同25日にオーストラリア西部・フリマントルに入港し、第65次隊と合流。海洋観測を行いながら、昭和基地を目指し、第65次隊の第1陣は20日に基地に入った。往路で行った砕氷航行「ラミング」は291回だった。今後は雪上車で物資を氷上輸送するほか、ホースを使って燃料を基地に送る。

ブリザード収まる、協力し水道凍結が復旧

 南極・昭和基地を23日に襲ったブリザードは、24日午後に収まり、観測隊は通常態勢に戻った。大雪とはならなかったが、各所で雪が降り積もり、水道パイプの凍結も発生した。

 今回のブリザードは基準に照らすと、A~Cの3段階で2番目のB級だった。ただ、23日昼の数時間は最も強いA級相当となり、一時、外出禁止令が出された。その後は次第に落ち着き、24日午後3時50分(日本時間同9時50分)に全ての規制が解除された。

 第65次南極観測隊が寝泊まりする第一夏宿では、パイプが凍って水が出なくなった。風呂や水洗トイレが使えず、貯水タンクや風呂の水を利用して節水に努めた。規制解除後、第65次隊員らは外に飛び出すと、雪に埋まったパイプを掘り出し、1時間ほどで復旧作業を完了させた。極地で早速、観測隊のチームワークの強さを見た。

水道パイプの復旧作業を急ぐ南極観測隊員=24日、昭和基地

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