江戸末期の工法に見入る グラバー園・旧オルト住宅 保存修理の現場を見学 長崎

旧オルト住宅の壁の下地の構造を見学する参加者=長崎市、グラバー園

 長崎市はこのほど、同市南山手町のグラバー園内にある国指定重要文化財の旧オルト住宅で進む保存修理・耐震補強工事の現場見学会をした。参加者は、普段は目に触れることのできない壁の内部の状態や江戸末期の工法などに見入った。
 同住宅は、1859年に来日した英国人貿易商、ウィリアム・オルトの旧邸で、木造と石造りでできた主屋とれんが造りの付属屋、倉庫の3棟。65年ごろに建てられた。修理は1977~79年以来。2022年12月に着工し、現在は仮設の屋根で覆われている。工期は25年12月までを予定。
 午前の部の見学会には約20人が参加。設計・施工監理する公益財団法人文化財建造物保存技術協会の担当者が案内した。
 参加者は、主屋の客室や寝室内で厚さ30センチの石を積み上げたり、竹を組み合わせたりした壁の下地などを見学した。作製者が残した模様や文字などの刻印がある瓦も確認。担当者は「安全性を高めながら、古いものも残していく」と説明した。
 「工事をする人の文化財を大切にする思いが伝わった」という長崎市田中町の熊佐智子さん(69)は「(壁の内部などが)どうなっていたかを完成後にまた来て、他の人にも伝えたい」と話した。

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