2023年シーズンが終了したJリーグ。
今季最も当たった移籍といえば、FC町田ゼルビアから鹿島アントラーズへ移籍すると日本代表デビューまで果たした佐野海舟だろう。ここでは、彼以外で当たった補強選手たちをとりあげてみる。
一森純
ガンバ大阪→横浜F・マリノス※レンタル移籍
J1で今季27試合出場
ゴールキーパーの移籍がこれほど衝撃を与えることは少ないはず。
昨季Jリーグを制覇した横浜F・マリノスの守護神を務めていた高丘陽平が、2023シーズンの開幕を前にMLSバンクーバー・ホワイトキャップスへと移籍。
新戦力を必要としたクラブが獲得したのは、この数年低迷するガンバ大阪でサブに甘んじていた一森純であった。
両クラブのサポーターが驚いた補強であったが、横浜F・マリノスの攻撃的なサッカーに一森純のアグレッシブなプレーは極めて合致した。
ときにはハイリスクすぎるチャレンジや大きなミスもありつつ、そのボールコントロールやパスセンスで攻撃面にも大きく貢献。人格的にも高く評価される彼はすぐ新天地でも愛される存在になった。
ディフェンダーの怪我人が相次ぐ厳しい状況の中で得た2位という結果には、間違いなく一森純の「当たり補強」が大きな役割を果たしたはずだ。
本多勇喜
京都サンガF.C.→ヴィッセル神戸
J1で今季32試合出場
初のJ1優勝を遂げた神戸で最大の補強になったのはこの32歳のディフェンダーだろう。172cmの体躯ながら超人的な跳躍力を生かした守備と高精度の左足で攻守両面において欠かせない存在になった。
Jリーグ優秀選手賞に選出されたほか、同僚の酒井高徳は「(影のMVPは)本多選手です。これはマジで思ってます。むしろ広めたいくらいですよ、ホンちゃんのスゴさを。同い年だし、ラインにホンちゃんがいるかいないかで安心感が違ったほどだったので、オレにとっては一番ですね」と大絶賛。
スポーツディレクターである永井秀樹氏も「自分のなかではJ1で本ちゃんはこのくらいやるっていうのは計算通り(だった)」と語っている。
紺野和也
FC東京→アビスパ福岡
J1で今季29試合出場5ゴール
ルヴァンカップ決勝で浦和レッズを撃破してクラブ史上初のタイトルを手にした福岡。J1でも7位と躍進したが、紺野もその立役者のひとり。浦和戦で全2得点をアシストしたのも、この小柄なレフティだった。
高校時代からメッシとの異名で呼ばれたように俊敏性に優れる切れ味鋭いドリブラーだが、今季は持ち前のチャンスメイク力だけでなく得点でも結果を出した。
主戦場である右サイドだけでなく様々な位置でプレーするなどチームへの貢献を続け、選手としてスケールアップも果たした。先日、福岡との契約を更新している。
浅野雄也
サンフレッチェ広島→北海道コンサドーレ札幌
J1で今季34試合出場12ゴール
昨季はプロキャリア初の0ゴールに終わったが、今季はキャリア初の二けた得点と大暴れ。もはや浅野拓磨の弟という表現が不要になるほどのインパクトを放った。
兄同様のスピードだけでなくもともと多彩な能力を持っていたが、26歳にして得点力が覚醒。クラブJ1日本人シーズン最多得点記録までは1つ届かなかったが、1年を通して攻撃を牽引し続けた。
左足でリーグ2位となる9ゴールを叩き出し、日本代表入りも噂されるように。
犬飼智也
浦和レッズ→柏レイソル※レンタル移籍
J1で今季12試合出場
7月まで所属していた浦和では今季リーグ戦出場なしだったが、シーズン途中に加入した柏では不動のセンターバックに定着。
持ち前の統率力と安定感で問題を抱えていた守備を整えた30歳のベテランは、キャプテン古賀太陽ともに最終ラインを支え、J1残留に大きく貢献している。
途中加入のDFがここまでのインパクトをもたらすことはそうそうないはずで、降格の危機にあった柏を救う救世主となった。