去年9月の台風で大打撃の大井川鉄道…全線復旧に向け「一歩ずつ前へ」 直営温泉ホテル「日本一」に /今年の静岡「復活と再開」編③

自然豊かな中を走る大井川鉄道。しかし1年前、その《自然》が大井川鉄道を襲いました。

去年9月の台風で全線不通

伊地健治アナウンサー(去年9月):「崩れたその先を見てみますと、この下には大井川鉄道の線路が走っているんです。その線路も土砂によって完全に埋まってしまっています」

静岡県各地に甚大な被害をもたらした去年9月の台風15号。大井川鉄道も大きな被害を受け、一時は、全線で不通となりました。その後、去年のうちに大井川本線の金谷駅から家山駅までの区間と井川線では運転を再開。

山形県から来た家族も…GWは「きかんしゃトーマス号」

そして迎えた、ことしのゴールデンウィーク。

伊地アナ(新金谷駅 島田市 5月):「今、改札口が開きました。トーマス号に乗ろうと全国から集まった子どもたち、家族連れが、いまホームに入っていきます」

今年で10年目を迎えた「きかんしゃトーマス号」。連休中は久しぶりに家族連れで大にぎわいとなりました。

乗客 山形県
Q.きょうはどちらから?
A.「山形ですね」
Q.どうしてトーマスに乗ろうと?
A.「この子がトーマス大好きで」
Q.ぼく何歳ですか?
A.「3さい」
Q.トーマス見てどうだった?
A.「たのしかった」
Q.トーマスの顔はどんなだった?
A.「かわいかった」

伊地アナ:「今ゆっくりと動き出しました。トーマス号が新金谷駅からゆっくり動き出して、客席の子どもたちの間からは歓声が上がっています。みんなホントに嬉しそうです」
「たくさんの人が写真を撮っています、うわぁ、凄い人。みんな写真撮ってる」

10月には…

さらに10月1日、家山駅から川根温泉笹間渡駅までの2.9kmの区間が運転再開となりました。

大井川鉄道担当者「金谷からの電車ですね」
伊地アナ「汽笛鳴らしましたね」
大井川鉄道担当者「この駅に、1年ぶりに戻ってきた」

川根温泉笹間渡駅の《日常》が戻ってきました。

乗客:「少し(区間が)延びたと聞いたので、ちょっと乗ってみようかと」

運転の再開の日には、沿線沿いに 列車を出迎えるために多くの人が集まっていました。今回の運転再開で全線のおよそ半分まで復旧が進んだ大井川鉄道。

残る19.5kmはめど立たず

しかし、川根温泉笹間渡駅から千頭駅までのおよそ19.5kmの区間はいまだ復旧の目処が立っていません。

台風の爪痕は今も残っていました。

大井川鉄道広報 山本豊福さん「わかりますか? 土砂が崩れ落ちているでしょ」
伊地アナ「あそこが線路なんですね」
山本さん「土砂が線路を越えて、大井川に流れ込んでいる。こういう土砂崩れが20数カ所、大小はありますが、あります」

大井川鉄道によると今も、20カ所以上の線路が土砂に埋まっていて、その復旧費用はおよそ19億円だといいます。全線復旧までは、まだまだ道のりは長いですが、ことしはうれしいことがありました。

沿線の直営ホテルは『4冠』

10月に運航が再開し利用できるようになった川根温泉笹間渡駅。ここから歩いて10分の場所にあるのが、大井川鉄道が経営する「川根温泉ホテル」。内閣府や観光庁など国も後押しをしている「温泉宿・ホテル総選挙2023」4部門で、全国1位に輝きました。

受賞したのは、ファミリー部門、ビュッフェ部門、朝食自慢部門、夕食自慢部門の4つ(温泉宿・ホテル総選挙2023のエントリーは、全国の宿泊施設165施設)。

このうち「ファミリー部門」は、3年連続で全国1位となりました。

川根温泉ホテル 久保川真守さん:「SLが見える宿は日本全国で探しても、ここだけじゃないかなと思うので、そういったところが当館良さ」

大井川鉄道広報 山本豊福さん:「SLで川根温泉にどうぞ、電車で川根温泉にどうぞ。そういうアナウンスができるのは大きいんですね」

大井川鉄道は、全線復旧に向けて少しずつ前に進んでいるようです。

© 静岡朝日テレビ