【リニア】“部分開業”案は「JR東海の事業計画に基づいた発言」と正当性主張する川勝知事 年内最後の会見で新年へ「翔」の字示すも果たして…(静岡県)

12月に入り川勝知事がリニア問題の解決策として主張している「部分開業論」。26日の会見では「JR東海の事業計画に則った発言」と、自身の考えの正当性を主張しました。

(川勝知事)

「私は自分で書いた事業計画を守って実施してくださいと申し上げている」

26日の会見で質問が相次いだのは、川勝知事がリニア問題の解決策として主張している“部分開業論”について。これは、2027年の開業が困難になっている品川ー名古屋間のうち、神奈川ー山梨を先行的に開業するというもので、知事が県議会で“部分開業”について答弁したことから、県の担当者は「県の公式見解である」との認識を示していました。

22日、副知事時代からリニア問題を担当してきた静岡市の難波市長は、知事の持論を厳しく批判。

(静岡市 難波市長)

「どう開業していくのかは事業者が決める話であって、企業の経営に関係ないもの(県)が、部分開業がいいとか言う話ではない。なんで言うのかちょっと分からないですね」

JR東海の丹羽社長は「現実的ではない」として、‟部分開業”を全面否定しています。

これについて、26日の会見で問われると「JR東海の事業計画に基づいた発言」と”部分開業論”の正当性を主張しました。

(川勝知事)

「JR東海の事業計画に書かれていることを言っている。山梨実験線の延伸・完成から間断なく品川~名古屋間の完成と(書いている)。書かれていることをベースにしているので、これが我々の実験線延伸・完成に関する公式見解だと」

川勝知事は、JR東海が2010年に発表した山梨県の実験線に関する一文を持ち出し「JR東海の指針に基づいているため県の公式見解であっても問題ない」との主張を展開しました。

26日は年内最後の記者会見。川勝知事は、2023年、1年を表す漢字を発表しました。

(川勝知事)

「ことしは“脱”の年になったと思っている。そして、令和6年は、“脱”から大谷翔平くんの“翔”という字。富士山の頂上めがけてかけ上るという考えを持って、年の瀬を迎えている」

「脱」を選んだ理由については、新型コロナの「5類移行」により脱コロナが地についてきたことや、9月に熱海の土石流警戒区域が解除されたことなどを説明しました。

また、知事肝いりの日中韓3カ国が交流する「東アジア文化都市」事業については、県民の認知度が低い状況が続くものの「日本の文化の顔として成功させることができた」と話しました。

この1年の成果を強調した川勝知事ですが、2023年も、リニア新幹線の問題をはじめ知事の言動はたびたび波紋を広げてきました。中には県政を揺るがす事態に発展した問題も・・

川勝知事は2021年、参院補選の応援演説で「御殿場にはコシヒカリしかない」などと発言をしたことを受け、その年の12月の給与やボーナス約440万円を返上する意向を示していましたが…2023年になり、約束していた給与やボーナスを返上していなかったことが発覚。

DaiichiーTVが知事を直撃すると…

(川勝知事)

Q県民との約束を守れなかったことについては?

「約束をしていません」

「県民と約束していない」と驚きの発言。この問題を受け、県議会では50年ぶりとなる知事への「不信任決議案」が提出されましたが、可決までわずか1票届かず否決されました。川勝知事は今後、再び不適切発言があった場合は辞職する意向を示しました。

( 川勝知事)

「(これまで)間違いをすることはあったと思うが、今後、間違いをして人様に迷惑をかければ辞職する」

しかし10月には、またも問題発言が…川勝知事は、経済界との懇親会の中で「三島市に東アジア文化都市の発展的継承センターを置きたい」「詰めの段階に入っている」などと、計画が具体的に進んでいるかのような発言をしていました。

この発言をめぐり、県議会の総務委員会では参考人を招致しての審査も開かれましたが、知事の発言はアイデア段階にすぎず「詰めの段階」とはほど遠い状況であったことが分かりました。

県議会の自民党会派は“発言の訂正を求める決議案”を提出すると、知事を支援する第二会派の「ふじのくに県民クラブ」もこれに賛成し、全会一致で決議案が可決されました。

( 川勝知事)

「今般、県議会においてこのような決議をいただく状況になったことについて、申し訳なく思うところであり、心よりお詫びいたします」

これまで以上に厳しい目が注がれている川勝知事。26日の会見で、2024年は、富士山の山頂をめがけて駆け上りたいと「翔」の漢字を示しましたが、2024年はどのように県政を導くのでしょうか。

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