【おとめげ!】第27回「DesperaDrops/デスペラドロップス」――6人の犯罪者とヨーロッパ諸国を飛び回る、壮絶な逃亡劇!

「これぞ!」という女性向けコンテンツについて語っていく連載企画「おとめげ!」。今回はNintendo Switch用ソフト「DesperaDrops/デスペラドロップス」についてお届けします!

「おとめげ!」は、イケメンと可愛い女の子をこよなく愛するライターが、さまざまな乙女コンテンツをご紹介する連載企画です。今回はディースリー・パブリッシャーから2023年11月30日に発売されたNintendo Switch用ソフト「DesperaDrops/デスペラドロップス」についてお届けします!

■「DesperaDrops/デスペラドロップス」ここがポイント!

・無実の主人公+6人の犯罪者が謎の組織に追われ、ヨーロッパ諸国を飛び回る壮絶な逃亡劇
・監視カメラの映像に合わせて指示を出し、潜入や脱出を試みるスリリングな「ミッションモード」
・さまざまな事情を抱え、罪を犯した攻略キャラクターとの仲間意識から変化していく恋愛模様

■「DesperaDrops/デスペラドロップス」とは?

ローマで殺人事件に遭遇して犯人の濡れ衣を着せられ、偶然出会った6人の犯罪者と共に逃亡者となった主人公。謎の襲撃者や警察から追われる中、敵の正体や事件の真相、主人公に隠された秘密に迫っていく。

D3Pオトメ部とレッド・エンタテインメントがタッグを組んだクライムサスペンスアドベンチャー。乙女ゲームへの参加は初となるコザキユースケ氏がメインキャラクターデザインを担当し、シナリオは多彩な乙女ゲームシナリオを執筆する吉村りりか氏を起用している。

攻略対象キャラクターは、アッシュ・マイヤー(CV:鈴木崚汰)、ハミエル・ルイス(CV:加藤和樹)、ジブ・ヴァルツァー(CV:竹内良太)、ラミー・カリエール(CV:上村祐翔)、カミュ・アインハルト(CV:立花慎之介)、サリィ・デル・テスタ(CV:伊藤かな恵)。

■無実の罪で追われる主人公が、犯罪者と繰り広げる逃亡劇

本作の物語は2028年の夏、イタリアのローマから始まります。小旅行に来ていた留学生・天峰ミカ(CV:岡本美歌/名前のみ変更可/名前呼びあり)は、その途中で大学の友人を装った不可解な呼び出しを受けます。相手の老紳士は主人公が誰にも話していない、生まれながらに持つ不思議な力――手で触れた相手の強い感情や記憶を読み取る力を知っていました。しかし出会って間もなく、その老紳士は突然の襲撃を受けて殺害され、その一部始終を目撃した主人公も謎の圧力によって容疑者として逮捕されてしまいました。

犯人として護送車に押し込められた主人公は、傷害、詐欺、殺人、窃盗、危険物所持、サイバー犯罪といったさまざまな罪状で逮捕された6人と遭遇。彼らは主人公のような不当な逮捕ではなく、間違いなく犯罪者でした。とはいえ状況を整理すると、今ここで彼らを護送しているのはどうやら警察ではないことが分かります。全員につなげられた手錠で身動きを封じられつつも7人は脱出を図りますが、警察をはじめメディアの情報すら自在に操る謎の秘密結社「C.R.O.W.N.」の狙いや目的も分からずじまい。そこで仕方なくですがお互いに協力し、敵から逃れながらヨーロッパ諸国を飛び回ることになります。

本作のポイントは、なんといってもこの壮大な逃亡劇です。主人公以外はある程度の危機的状況には慣れているためか、警察などの追跡にも余裕をもって対処できていました。そして多くの困難や危機を乗り越えるたび、はっきりと口や態度には出さなくても彼らの間に仲間意識や絆が芽生えていきます。しかし敵の規模や執念は、主人公たちの想像をはるかに超えるものでした。周囲の人間が敵か味方かも分からない中、少しずつ追い詰められていく7人の行く末は一体どうなるのか……とストーリーが盛り上がったところで、共通ルートから個別ルートに分岐していきます。フローチャートでは「選択肢を選んだ際、好感度がどのくらい変化したのか」という部分も確認できるので、こまめにチェックすれば一緒に歩みたいキャラクターのルートへ確実に進められますよ。

このほか、共通ルートでは6分割された監視カメラの映像を見ながら、6人の行動に指示を出す「ミッションモード」も発生します。特定の場所に忍び込む、逃げ出す、敵から隠れる、味方をサポートするなど、適切な行動を取ってもらって目的を達成しなくてはなりません。見つかるとその場でゲームオーバーになるケースもたびたびありますが、すぐにやり直せるのでほどよい緊張感を楽しめます。

個人的には、こうしたテキストアドベンチャーではお馴染み「用語集」もおすすめポイントのひとつ。正式な解説というよりキャラクターが用語にまつわる会話を好き勝手に繰り広げていて、ショートストーリーのような感覚で読み進められます。基本はストーリーに登場する順に並んでいて(アイウエオ順などに並べ替えも可)、背景イラストも多くて地名なども把握しやすかったです。

■さまざまな理由で罪を犯したキャラクターたち

続いて、登場キャラクターについて紹介していきます。主人公のミカは記憶や感情を読み取る不思議な力を持っていますが、母親の言いつけを守り誰にも言わずに過ごしてきました。そのため、やや控えめでお人よしながら一般的な感性の持ち主です。そんな彼女がある日突然、殺人犯として指名手配を受けるわけですから大いに混乱するのも当然のこと。すでに何らかの罪を犯している6人は逃亡生活で休息のため見知らぬ家に押し入る、スピード違反をするといった軽犯罪くらいでは一切動揺しませんが、ミカは自分の行動に罪悪感やためらいを抱きます。

ただし、それも途中まで。「C.R.O.W.N.」から逃げるため、ひいては自分自身の自由のため「自分のせいじゃない」「やりたくてやったわけじゃない」と現実から目を逸らさず、自らの意志で現状を受け入れていきます。そうしたミカの心境の変化も、本作の見どころのひとつのように感じられました。もちろん、何故ミカが濡れ衣を着せられたのかという大きな疑問の答えも気になり、どんどん物語を読み進めたくなりますよ。

アッシュ・マイヤー(CV:鈴木崚汰)は怖そうな見た目そのままの、寡黙な一匹狼タイプ。積極的に喧嘩を売るようなことはしませんが、目つきの悪さから因縁をつけられて暴力沙汰に……となってしまいます。6人の中ではそのフィジカルの強さや、強い愛情を持つバイクの運転テクニックなどが頼りになります。

他人とは一定の距離を置いているアッシュですが、彼がこうした生き方をしているのは望むと望まざるとに関わらず、そうするしかなかった事情があります。個別ルートを進めていくとの複雑な過去が垣間見え、とくに本音を聞いたあとは「主人公や仲間たちとずっと一緒にいてくれ!!」と思わずにはいられませんでした。

ハミエル・ルイス(CV:加藤和樹)はプレイボーイ風の外見に違わず、巧みな話術で人の心を誘導する詐欺師です。アッシュとは違う方向で協調性がなく、仲間たちとの会話でもどこまでが本音か分かりにくいため困ったもの。しかし咄嗟のハッタリやギャンブルでのイカサマをはじめ、頼れるものの少ない逃亡生活になくてはならない存在です。

自身の主張は曲げないため仲間内でもトラブルや言い合いの原因になりがちですが、主人公にも何かと引っかかる物言いの多いハミエル。最初は主人公のお人よしっぷりに反発していたのかと思いましたが、こうした言動は彼自身に心の整理がついていないため。時間をかけて歩み寄れた後に囁かれる甘い言葉の破壊力は、6人の中でも随一なのでお楽しみに!

元警察官のジブ・ヴァルツァー(CV:竹内良太)は、銃器の取り扱いに長けた凄腕の狙撃手という経歴の持ち主。真面目さや正義感の強さは垣間見えるものの、逃亡者としては的確かつ現実的な判断を下せるため、自然とチームリーダーのような存在になります。警察の手の内はよく知っているので、ジブの判断でうまく切り抜けられた場面も少なくありません。

同僚を殺したという容疑がかけられていることもあり、ジブは主人公に対して自分の事情に巻き込みたくないという想いを強く抱いています。そのため恋愛面ではもどかしく、気持ちが通じ合うまではかなりヤキモキさせられます。元妻との死別に至った経緯が非常に重いためやむを得ない部分もありますが、ジブに関しては「早く自分の気持ちに素直になって!!」と言いたくなりました。

“世紀の大怪盗”を名乗るラミー・カリエール(CV:上村祐翔)は、その名のとおり富裕層をターゲットに盗みを働いています。スリや開錠のスキルだけでなくパルクールのような軽業も得意で、6人の中ではとくに潜入向きのメンバーです。

普段は明るい性格ですが、主人公が食事を取ることと犯罪との間でためらった際には強い感情を露わにし、ラミーがこれまで苦労しながら必死に生き抜いてきたことを伺わせます。そして肌の露出が極端に低いことや、触れられることを嫌うのも、そうした凄惨な過去の一端でした。年齢こそ近いものの、安全な環境で過ごしてこれた主人公とラミーの人生はあまりにもかけ離れていますが、だからこそお互いに影響を与えていく過程を微笑ましい気持ちで見守れました。

カミュ・アインハルト(CV:立花慎之介)は、自然環境を守るべく「愛の地球戦士」として活動している革命家です。争いを好む性格ではありませんが爆発物に関する知識は確かなもので、自宅を半分吹き飛ばす事件を起こているれっきとした犯罪者です。

カミュは家庭の事情で孤独を強いられてきたため友人もおらず、日本文化やアニメでその心を癒していました。そのため、やや自分の世界に入りがちなものの、初めてできた友人として主人公や仲間のことを大切に思っています。仲間たちと過ごしている時はコミカルな空気になりがちですが、2人きりになると品の良さや紳士的な振る舞いを見せてくれるので、そのギャップも見どころですよ!

サリィ・デル・テスタ(CV:伊藤かな恵)は、原宿系ファッションを愛する天才ハッカー。逃亡生活ではろくな設備もないためその能力のすべてを発揮できていませんが、通信や監視カメラ、セキュリティなど電子機器面で仲間たちをサポートしていきます。主人公のことは「お姉ちゃん」と呼び、慕ってくれるのがとても可愛らしいですね。

特殊なスキルはあれど、サリィはファッションや甘いものが大好きな普通の女の子のように思えますが……ボイスも含めて「どこからどう見ても女の子であること」そのものが、サリィ自身も蓋をしている過去の出来事に関わってきます。真実を明らかにするのは苦しくもありましたが、これからは主人公と寄り添って生きてほしいなと願わずにはいられません。

個別ルートでは主人公との恋愛模様のほか、彼らを追い詰める存在との浅からぬ因縁も明かされます。ただし、その背景のすべてが分かるわけではありません。個別ルートのすべてを辿ると、謎の少女・クリステンや「C.R.O.W.N.」の目的などに繋がる真相ルートへの道が開きます。ここまで何かと追い詰められてきた7人が、ついに追い詰める側へと逆転する爽快感は格別ですよ。それぞれのED後のストーリーを描い追加DLCの配信も決定しているので、ぜひこれを待ちながらすべてのルートをプレイしてみてください!

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