実況中継・除雪と雪下ろし~名立たる豪雪地・大蔵村 肘折温泉~

雪と戦う除雪オペレーター

肘折温泉、除雪の風景

言わずと知れた有数の豪雪地・大蔵村。最近は、ドカ雪が降るとテレビのワイドショーが肘折温泉に中継にやってきます。この豪雪地帯で私たちが安全に暮らすことができるのも、除雪作業に奮闘する人々があってのこと。

今回は、豪雪地での暮らしを支える人々を紹介します。雪が少ない今年は、12月に入りようやく降雪がありました。しかし、ここ数年1回で降る量が多いドカ雪の傾向があります。国道や県道・村道はそれぞれの管理者から委託を受けた業者が道路除雪を行っています。村道除雪は6つの区域を5つの業者が請け負い作業にあたっています。

肘折温泉の除雪ロータリー車

雪を削り集めて行く除雪ドーザー、そして、雪を飛ばすロータリー除雪車、2台の除雪車が、10cm程積もればコンビで出動します。建設会社では、夜中の午前1時に除雪出勤を判断し、1時半に作業員が格納庫に集合。そして、作業手順や安全確認を行った後に、2時に除雪車に乗り込み、作業を開始します。

真夜中の除雪が、スムーズな朝を

朝の通勤・通学には道路は幅がきちんと確保されています。車のすれ違いもしやすい状態でスムースに運転ができます。大蔵村の除雪力は素晴らしく、除雪オペレーターの除雪技術の高さを感じます。雨が降ったり、気温が高くなると路面状況が悪化しますが、そんな時も除雪車が出動して路面を削ってくれます。そのため、安心して通行することができています。県内でも大蔵村の除雪力はトップクラスと言えます。

2月に入ると降雪もピークとなり、雪崩の心配が出てきます。道路への雪崩を防止するため、道路わきの斜面にたまった雪を大勢の尽力によりスコップで落として片付けていきます。坂道や交差点、日陰など凍結しやすい場所には凍結防止剤を散布して雪を溶かします。道路わきなどに積み重ねられた雪を重機で崩し、ダンプに積み込み排雪をして運搬します。

こういう作業が3月まで続き、村民や観光客の安全が守られています。

豪雪地肘折を守る、雪下ろし職人

しんしんと降る雪、肘折温泉の温泉街

肘折温泉は毎年3m〜4mほどの降雪があります。2018年2月に445cmという積雪深となり記録を更新しました。一日で40cm〜60cmほど積もる日もあります。しかし、肘折には雪下ろし専門の会社がありません。そのため、地元の有志による雪下ろしの集団が何組かあり、雪下ろしを行っているのです。

豪雪地帯の雪下ろしは少し変わっています。職人たちの道具は、2mほどの「雪のこぎり」とスチール製の「スノーダンプ」です。雪下ろしの作業は、2mほど積もった屋根の雪をキューブ状に雪のこぎりで切ります。そして、スノーダンプで運んで屋根から下に落としていきます。また、屋根の上では雪を切る担当、スノーダンプで雪を運ぶ担当に分担、二人一組で作業を行います。屋根から20cmほど雪を残しつつ、冷蔵庫の大きさほどに階段状に雪を切り出していきます。

旅館の屋根に登り、雪下ろしをする姿

1軒の旅館に2日ほどかかり、また次の旅館へと。この繰り返し、シーズン数回の雪下ろしを行っています。この冬も雪のこぎりとスノーダンプを巧みに操る職人技で、肘折の冬の暮らしが守られていきます。

厳冬期に肘折に来ていただければ、雪下ろし作業を見ることもできます。是非是非、豪雪を見に来ていただければと思います。

ドカ雪・大雪割キャンペーン

2018年に「ドカ雪・大雪割キャンペーン」が実施され、宿泊料金を無料にするというものでした。このキャンペーンは大きな話題となりました。そして、今シーズンも「ドカ雪・大雪割キャンペーン」を実施しています。

ドカ雪割は、宿泊料金が2,000円割引(気象庁の肘折アメダス計測で前々日15時時点の24時間降雪量が40cm以上の場合)。また、大雪割は、1泊分の宿泊料10,000円分が無料(宿泊日前々日15時までの積雪深が最高積雪深更新446cm以上の場合、期間中1回のみ)になります。

その他、日帰り温泉の入浴料の割引や、500円の買物券が付くなど特典がありますので、詳しくはチラシをご覧ください。

〇ドカ雪大雪割キャンペーンサイト

ドカ雪・大雪割キャンペーン・チラシ

雪ノコ・スノーダンプ雪消し体験

雪のこぎりとスノーダンプで雪を片付ける体験ができます。(安全のため平場で行います)

体験時間・料金……約1時間・体験料1,000円

申込み:肘折いでゆ館 TEL:0233-34-6106

あれこれ、もっと知りたい!

〇肘折さんげさんげ

〇肘折幻想雪回廊

〇地面だし競争World Cup In 肘折

〇おおくら雪ものがたり

この冬、雪をテーマとしたさまざまなイベントも開催されます。豪雪地大蔵村へお越しいただき、豪雪を体験してみてはいかがですか。

雪の塊を切り分ける「雪のこぎり」作業

旅館の屋根に登り、雪下ろしをする姿

(これまでの寄稿は、こちらから)

寄稿者 小林孝一(こばやし・こういち) 大蔵村 観光プロデューサー

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