マリンスポーツセンター28日閉館 集いの場失う不安、惜しむ声

練習する長崎鶴洋高のボウリング同好会のメンバー=長崎市、マリンスポーツセンター

 長崎県長崎市南部地域で長年親しまれてきた民間複合施設「マリンスポーツセンター」。28日の閉館に伴い、同好会活動を停止したり、集いの場を失う不安を抱いたりする人たちから惜しむ声が相次いだ。
 20日午後、同センターのボウリング場「マリンボウル」。歩いて5分ほどの県立長崎鶴洋高(末石町)のボウリング同好会の5人が受付に一礼すると、四つのレーンでボールを投げ始めた。2005年ごろに発足し、全国大会への出場歴もある。別の練習場所が確保できず、廃部を決めた。
 練習は週3回。リラックスした雰囲気で、テスト前にメンバー全員で大会を開いたこともある。「家みたいな(存在)」と語るのは山口洋輝さん(16)=1年=。野口侑鈴さん(18)=3年=は「もう少し残っていてほしかった」としんみり。
 「高校入学当時、知人がいなかったけど、ここで先輩や周りの人と出会えた」と山口亘琉さん(18)=同=。最後の部長となった江嶋竜生さん(18)=同=は「たくさん思い出がある(場所)」と語った。
 プールやスポーツジムの利用者の中には、12年に閉館した「長崎スポーツセンター」(愛宕4丁目)から移った人もいた。コロナ禍を機に通い始めた香焼町の平野真寿美さん(45)は幅広い世代の友人が増え、健康づくりの効果を感じていただけに喪失感は大きい。
 会員専用の送迎バスは貴重だった。移動手段が限られる高齢者の“足”だったため、今後の体力維持を不安視する人も多い。別の会員は「(利用)料金を上げても良かったくらいなのに」と漏らした。
 ジムではエアロビクス教室などが盛んだった。「南部の憩いの場がなくなってしまう」。30年以上通った藤本美以子さん=ダイヤランド2丁目=は肩を落とす。共に通う森田留美子さんも子どもが自立した今、「生活の一部」。教室は移転するが、送迎バスはなく不便になるのは確か。2人は「長年の仲間とバラバラになる」と声を落とした。
 市内唯一のバッティングセンターも姿を消す。野母崎少年野球クラブ監督の熊本拓二さん(41)にとって幼い頃から身近な存在で「ストライクが入らないのが有名」と笑う。メンバーと行くと、他のクラブと会い、近況を報告し合った。「子どもたちが交流できて、思い付いた時、遊びに行ける場所が一つ減ってしまう」と寂しさをのぞかせた。ライブハウスとレストランの併設店舗もあったが、20年に閉じた。
 「青春」「憩い」「健康づくり」「交流」-。数多くの愛着と思い出に包まれながら、38年間の「マリン」の歴史に幕が下りる。

© 株式会社長崎新聞社