25年清掃続け250回 にこにこクリーンさざ 1万株超を植栽 「自分の町は自分たちの手できれいに」

活動を続け「町の活性化のために頑張りたい」と話す西尾さん=北松佐々町

 長崎県北松佐々町のメインストリート国道204号。まだ薄暗い午前7時ごろ、軍手をはめた町民たちが、談笑しながら歩道沿いの花壇に花を植えていた。25年続く「にこにこクリーンさざ」の活動が、12月で250回を迎えた。同町の自営業、西尾弘毅さん(81)が地元への恩返しにと始めた。「自分の町は自分たちの手できれいに」を合言葉に、清掃や植栽を行い、植えた花は1万株を超えた。
 西尾さんは90年続くテーラーの2代目。35歳のころ、全日本紳士服技術コンクールで日本一に輝いたのを機に、地元への恩返しと「日本一に恥じない生き方をしよう」と思い立った。当時、公園などにごみが散らばっていたため、1人で町内のごみ拾いから始めた。
 ただ「一人では微々たるもの。みんなで町をきれいにしよう」と、回覧板を回したり、100軒ほどの家にチラシを配ったりして声を掛け、56歳だった1999年6月「にこにこクリーンさざ」が誕生。初回の参加者は35人ほどで、雑草取りと雑木の伐採から始めた。
 毎月第1日曜日の午前7時~8時に、用水路にたまった枯れ木を取り除いたり、のり面の雑草を刈ったりしている。清掃だけでなく、佐々駅前通りや佐々バスセンター前の花壇に年2度、季節の花を植えている。

花壇に花を植える県立清峰高の生徒ら=北松佐々町

 活動の輪は広がり、多いときには200人以上が汗を流す。町内の事業所や県立清峰高野球部も参加。1年の江口宝輝(たかき)さん(16)は「地域の方と協力して清掃することに、やりがいを感じる」と話す。
 「活動は地域の情報交換の場所にもなっている」と西尾さん。1人で始めたごみ拾いからたどると、50年近くになる清掃活動。「きれいになることで、佐々に人が集まってくれたら。町の活性化のために頑張りたい」とほほ笑んだ。

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