芸歴1年目・はるかぜに告ぐ「THE W」決勝進出の要因は先輩芸人のアドバイスと周到な準備

はるかぜに告ぐのとんず(左)と一色といろ(撮影・北村雅宏)

12月9日に行われた女芸人ナンバー1決定戦「THE W 2023」決勝で優勝こそ逃したものの、芸歴1年目ながら注目を集めたお笑いコンビ「はるかぜに告ぐ」。NSC大阪45期生の同期で、ヤンキー風のツッコミ担当・とんずとお嬢さま風のボケ担当・一色といろが在学中の2022年7月に結成した。来年も旋風を起こしそうな2人に「THE W」でのエピソード、決勝までの道のりを聞いた。

これまで深夜のテレビ番組で漫才を披露したことはあったが、テレビで観客の前で、しかも生放送は初めてだった。しかも全国放送。それでも、大阪・岸和田市をイジったしゃべくり漫才で審査員から高い評価を得た。

といろ「直前ぐらいまでは実感がなさすぎて、よく分からない状態だったんですけど。スタジオを見たら、めっちゃ緊張しましたけど、ぎりぎりまで実感が湧かなかったです」

はるかぜに告ぐのとんず(左)と一色といろ

とんず「すこぶる緊張しました。過去イチですね。アガリ過ぎて『どーもー』の声がいつもより2段階高くて、あっ音が違うと。修正ができなくて、そのまま行っちゃたから、自分のキャパの120%ぐらい声を出しました。あと1分長かったら、多分、モスキートーンになって、普通の人が聞き取れへんとこまで行ったかも。一気に声がかれましたね」

1勝を挙げることもでき、出番を終えて緊張感から解き放たれた。

といろ「ひとつ勝ったことはうれしいことはうれしいですけど、もはや、よく分からない感じだったので。でも、ちゃんとやり切れたという安心感はありました」

はるかぜに告ぐのとんず(左)と一色といろ

とんず「MCが代打の(南海キャンディーズ)山里さんで。1回共演させていただいたことがあって、めっちゃしゃべったことはなかったんですが、山里さんを見てもう1段階ホッとした気分になりました」

敗退してからは楽しむことがきたという。出場メンバーとも和やかだった。

といろ「終わってから皆さん結構、わちゃわちゃと見ていて、観客みたいな感じで」

とんず「めちゃくちゃふざけるとかはできないし、緊張感はあるんですけど、チームみたいな。ウチらがネタから帰ってきた時も〝よかった、めっちゃよかった〟って言ってくださいました」

といろ「みなさん、画面で見ていて、(出番から)戻ってきた人に、全員で拍手する感じでした」

とんず「いい番組にしようみたいなマインドの方が強いからこそ、ネタを飛ばしたりとか、みっともないことをしたら大会の価値が下がるというプレッシャーもありましたね」

といろ「初めてというのもあって、勝ちたいとうよりは、失敗しないという気持ちの方が強かったです」

はるかぜに告ぐ・一色といろ

今回へ向けて芸人の先輩、作家と多くの人からアドバイスを受けた。ネタで迷っているときも、いろいろな人が気にしてくれた。その中でも劇場仲間の先輩で「THE W」前年覇者の天才ピアニストには、自分たちからアドバイスをお願いした。

といろ「ネタを見ていただいて、しっかりアドバイスをもらいました。2人の体の向き方とかも、こうした方がいいんじゃないかとか」

とんず「準決勝の時点で客層とか(舞台は)横に広いからもっと動きを大きくした方がいいとか。ネタ+実際に舞台になった人の感想とかもいただいて。準決勝もめっちゃイメージトレーニングができたから、ほんまに助かりました」

とんず「決勝は『もう行け!行くしかないんやから。追い込んで追い込んで、やるんやで』と言われて。具体的なアドバイスももらいました。あとケータリングもすごいでと(笑)」

といろ「ケータリングは本当に豪華でした」

はるかぜに告ぐ・とんず

ネタ作り担当のとんずがNSCに入学したてのころ、天才ピアニストの特別授業での竹内知咲に大いに感銘を受けていた。

とんず「ネタを書かれている竹内さんが『常に日常から面白いかも、みたいなお笑いレーダーを張って生きている』と言わはって。他にも女の子特有だけど、ネイルが邪魔だと言ってはって。ネイルが派手すぎると、どうしても目が映るからと。そのときの授業の影響は大きかったです」

「THE W」に向けて、しっかりと照準を合わせてきた。どういう方法で、ネタをいつまでに完成させるか。プラン通りに10月には目標だったよしもと漫才劇場のメンバー入りを果たした。舞台の空気を感じておきたかった。

とんず「絶対に入っておかないと、決勝どころか準決勝も行けないなと思って。そこまでに劇場に入るのは決めていたので」

「THE W」決勝で岸和田市をイジった傘のネタは、M-1の2回戦用に準備して6月には完成していた。

とんず「他のネタも作っているけど、ずっと傘のネタを考えている状態で常にやっていたので」

といろ「結構、やっていましたね」

とんず「着実にというか、ポンポンポンって行っているように見えますけど、日々の積み重ねなんです」

はるかぜに告ぐのとんず(左)と一色といろ

芸歴1年目で女芸人ナンバー1決定戦の決勝の舞台に立った2人。順風満帆に見えるが、周囲からの応援、本人たちの努力と用意周到さが実ったからこそだった。

◆はるかぜに告ぐ NSC大阪45期生の同期で大阪府出身の一色といろ(26)と兵庫県出身のとんず(25)が在学中の2022年7月19日にコンビ結成。芸歴1年目で「THE W 2023」で決勝進出して注目を集める。

はるかぜに告ぐのとんず(左)と一色といろ(撮影・北村雅宏)
はるかぜに告ぐ・一色といろ
はるかぜに告ぐ・とんず
はるかぜに告ぐのとんず(左)と一色といろ

(よろず~ニュース・中江 寿)

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