達人が指南する“挫折しない片づけ”のゴール設定「“SNSのあこがれをマネ”はNG」

YouTubeで、整然とした収納の“映える”写真や動画を目にする機会も多い。阿部さんの元には、「SNSで見た収納をマネしてもうまくいかないのですが……」といった悩みや質問も少なくないという。

阿部さんは、「『あこがれの片づけ』と『実践できる片づけ』は少し異なる」と話す。

「みなさん、“映える”収納、を目標にしていませんか? 片づけが苦手だったころの私も、インテリアの本で見た、白いケースに整然と収まった美しい収納にあこがれていました。そして同じようなケースを買って収納してみたものの、なんだか違うのです。しっくりこず、どうしてだろう? と考えました」

突き詰めていくと、「あこがれ」を実現できないことが挫折につながり、自信を無くすことにつながっていた。まずは“ラクにできる片づけ”を実践することを繰り返し、成功体験を積み重ねることが、大切だということに気づいたそう。

以下の項目のうち、自分に当てはまるものがないかチェックしてみよう。

□ 片づけが苦手
□ 面倒くさがり
□ どうやって片付けていいかわからない
□ ものが多い
□ 床にものが置いてある
□ インスタグラムやYouTubeを見てもうまくいかない

「もしひとつでも当てはまったら『あこがれの収納』をゴールに設定するのはおすすめできません。片づけが苦手で、面倒くさがりだからこそ、“ラクにできる片づけ”でOK。まずは『自分でも片づけができた!』と、変化を実感することが重要です。そして、部屋が片づくと、気持ちが前向きになります。部屋の見た目だけでなく、自分の内面が変化していくことを実感してほしいのです」

阿部さんが挙げる「ラクにできる片づけ」の基本原則は次の2つだ。

【ラクにできる片付け1】フタ付きボックスに頼らない

「きっちりピッタリの“映え収納”には、中身が見えないフタ付きボックスが欠かせませんが、ラクに片づけるには、よく使っているものはフタのないケースに収納すべきです。出し入れもしやすく、中に何が入っているかもわかり、使いやすいです。見栄えは少し劣るかもしれませんが、片づけやすく、散らかりにくくなります」

【ラクにできる片付け2】すき間なく収めることにこだわらない

「棚や引き出しにピッタリ合うケースにモノを入れ、すき間なく美しく整えることを、シンデレラフィットなどと呼ばれています。このような“映え収納”を目指して力んでしまうと、うまくいかないストレスがたまったり、自信をなくすことにつながってしまいます。ラクにできる片づけは、収納スペースには多少のすき間があってもOK。そう考えれば、気持ちに余裕が生まれて、『私にもできる』と片づけに前向きになれるはず」

そして、行動に移すことが自分を変える第一歩。「今年も大掃除しなかった……」で終わらせるのではなく、新しい年を迎える前に、片づけマインドを育て始めよう。

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