片づけの達人アナウンサーが教える「部屋を片づけるマインド」の起こし方

今年も残すところあとわずか。やろうやろうと思っていた大掃除も先送り、結局家の中がぜんぜん片付いていない! と、イライラしつつ、半ばあきらめモードで年の瀬を迎えている人も多いのでは。

「片づけが苦手であることで、後ろ向きな気持ちになっていませんか? 少し意識するだけで、片づけに対して前向きになれる“法則”があるんです」

そう教えてくれたのは、『自分を好きになる片づけの法則』(ぱる出版)の著者で、整理収納アドバイザー&フリーアナウンサーの阿部静子さんだ。阿部さんは、これまで片づけ講座や自宅での片付けサポートで、7000人以上に指導してきた実績を持つ。

とはいえ、「どうせ私には無理」「もう、何から手をつけていいかわからない」と、思う人も多いかもしれない。しかし、阿部さん自身も、かつては「片づけが苦手だった」という。

「フリーアナウンサーをしている私の部屋のクローゼットには、服がぎゅうぎゅうで溢れかえっていて、以前は『あの服どこやったっけ? ないない!』と、バタバタしながら探していました。引き出しも整理されていなくてぐちゃぐちゃ。いつも『だらしないなぁ』と、自分にがっかりしていたんです」

そんな阿部さんに変化が訪れたのは13年前のこと。

「『自分を変えたい!』と、一念発起して、整理収納アドバイザー2級の資格を取得しました。片づけの基本的な考え方を学んでみたのです」

すると、次第に家が片づいていったという。

「自分で片づけができるようになると面白くて!! 毎日、少しずつあちこちを片付けてワクワクするようになりました。自分に自信がつき、気分も上がって、片づけの力ってすごいって実感しました」

その後、49歳のときに体調を崩して、フリーアナウンサーの仕事の休養を余儀なくされたが、「今できることにトライしよう」と、整理収納アドバイザー1級を取得、片づけのプロの道へと誘われたのだ。

もともと言葉で伝えるプロだった阿部さんが、「片づけの力を知ってほしい」と講座を開設すると、たちまち人気となった。

「嬉しかったのは、受講したみなさんも、どんどん片づけができるようになり、『自信がつきました』『初めて自分を好きになりました』と言ってくださったこと。私の方が、片づけで自分を好きになることができるのだと教えられたのです」

受講生は、冒頭のように「片づけが苦手」「何から手をつけていいかわからない」と悩んでいる人ばかりだったそう。

「みなさん、かつての私と同様に、探し物ばかりしてイライラしたり、『片づけができない自分はだらしがないんだ』と自分を責めがち。でもそれは『片づけの法則を知らないだけ』と断言できます」

そう語る阿部さんに、無理なく「片づけをしてみよう」という気持ちを起こさせるポイントを挙げてもらった。それは以下の4点。

【法則1】片づけて、どんな暮らしがしたいか?をイメージする

「片づいた部屋で、何をしたいですか? どんな部屋がいいですか? 『片づいたらそのスペースを活用してエクササイズをしたい』と、自分の姿を思い描いてもいいのです。目標を明確に持って、ビジョンをイメージして、自分をワクワクさせましょう」

【法則2】カンタンなところから手をつけましょう

「どこから手をつけていいかわからない。私も経験がありますが、これはストレスですよね。だからこそ、本当にカンタンなところからはじめましょう。化粧ポーチに入れっぱなしで使ってない化粧品を仕分ける。薬箱の使用期限がきれた薬を処分する。本当にちょっとしたものでいいんです。それなら今すぐできそうですよね?」

【法則3】ものの“住所”を決める

「朝の忙しい時間に、『あれがない』『どこにいった?』と探しものから1日がスタートするのもイライラの原因に。そこで、いつもよく使うものだけでいいので、家の中で“住所”(定位置)を決めてあげましょう。朝の時間がスッキリしますよ」

【法則4】“自分の片づけ”だけに集中しましょう

「家族の誰かに片づけを期待して、がっかりしたことはありませんか? ここはもう誰もあてにせずに、まずは自分のものだけに集中しましょう。気持ちがラクになります。不思議なことに、自分が集中して片づけに取り組んでいると、家族にも連鎖反応が起こるんですよ。ぜひ試してみてください」

1日5分でもOK。もう手遅れ、とあきらめずに、まずは自分の手の届く範囲をスッキリさせてみてはどうだろう。

© 株式会社光文社