鮮やかな緑が包むゴルフコースに、さまざまなアクセントを添える光と影。2023年はコロナ禍を象徴するマスクが口元から減り、人々の笑顔が映える日常も戻った。それら数々の要素に神経を研ぎ澄ませ、一瞬を切り取ることに全てをかけるフォトグラファーたち。GDOとともに国内外を渡り歩いたプロフェッショナルが選んだ今年の3枚。第4回は村上航カメラマン編。

＜日本女子オープン 最終日 原英莉花＞

今年の「日本女子オープン」は石川県の芦原ゴルフクラブで行われた。毎年違う会場で開催されるオープン競技。カメラマンにとって一度も行ったことのないコースは、楽しみでも不安でもあるが…行ってびっくり！ 海沿いの、なんてフォトジェニックなコースだろうか。

チケットも完売したという大勢のギャラリーと素晴らしいコース。何より、原英莉花と菊地絵理香というストーリーを持った2人の戦いが素晴らしく、緊張感があった。最終ホールで大勢のギャラリーの前で大きく手を上げる原。とても印象的な一枚になった。でも、一番面白かったのは優勝スピーチ。「みなさま、ご唱和ください。乾杯！」には大爆笑した。

＜JLPGAツアー選手権リコーカップ 最終日 山下美夢有＞

今年の女王争いは最終戦までもつれこんだ。追う申ジエ（韓国）と岩井明愛。試合の結果次第では、十分に逆転の可能性があった。撮る側としては、これほど面白い展開はない。

特に、逃げる山下美夢有のプレッシャーは想像できないくらい重いものだったはず。しかし、堂々の優勝で連覇を達成した。そして2年連続女王。ちょっとスゴ過ぎ。連覇を決めた18番で派手なガッツポーズをするでもなく、苦楽をともにしてきた松村キャディとの固い握手はお気に入りの一枚。見た目はかわいらしいのに、やっていることは鬼スゴイ。そのギャップが面白い。

＜アニカ driven by ゲインブリッジ at ペリカン 3日目 渋野日向子＞

渋野日向子にとって、今季最終戦となった米国女子ツアーの1コマ。今年はケガに悩まされた一年だった。4月のハワイの試合「ロッテ選手権」でかなり痛そうに見えたのが印象に残っている。

その後も数試合を撮影したが、かなり辛そうに見えた。後日「休む勇気が持てなかった」と囲み取材で話しているのを聞いて、ちょっと心に刺さった。来年はいいシーズンになることを心から願っています。