能登町沖で27日、寒ブリ約3千本が水揚げされた。今月は24日の3200本に次ぐ2番目の多さで、金沢市中央卸売市場の今季の入荷量は3万本超と過去最多ペースで推移している。例年、需要が高まる年末年始は価格が上昇するが、今年は値上がりしておらず、同市の近江町市場では昨年の半額程度で販売する店も。豊漁の恩恵は消費者にも広がっている。
●「煌」も水揚げ
27日に水揚げされたブリのうち、約2800本は金沢市中央卸売市場へ、約230本は能登町の石川県漁協能都支所へそれぞれ運ばれ、競りに掛けられた。県漁協が認定する「天然能登寒ぶり」の最高級ブランド「煌(きらめき)」をはじめ、最大16キロの大物が並び、市場は活気にあふれた。
県漁協能都支所によると、今季は豊漁となる日が目立ち、12月は能登町沖で8日に約2750本、24日に約3200本が水揚げされた。同支所の空林(そらばやし)政男参事は「12月に3千本を超える水揚げが何度もあるなんて記憶にない」と驚く。
大漁続きで価格も安くなっている。近江町市場に店舗を構える大口水産は、例年の同じ時期に2500円ほどで取り扱っている刺し身用の「さく」を1200~1300円で販売。来年の正月にかけては養殖ブリの取扱量を抑え、天然物を中心に売り出すという。
漁業関係者によると、能登町沖の定置網にはまだ多くのブリが入っており、年明けごろまでは水揚げの多い状況が続く見通し。大口水産の担当者は「いつにない手頃な価格。年末年始はたくさんブリを食べてほしい」と話した。