注目の若手俳優・奥平大兼 アクションに初挑戦 「アクションは“見せ方”がすごく大事」新田真剣佑からアドバイスも

12月20日から配信スタートしたディズニープラスオリジナルシリーズ『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』。中島セナとW主演を務める奥平大兼に、entax取材班が単独インタビュー! 本作は、実写とアニメで描かれる2つの世界を舞台にした、ファンタジー・アドベンチャー。現実世界<横須賀>に住む空想好きな女子高校生ナギ(中島セナ)はある日、異世界<ウーパナンタ>からやって来たという落ちこぼれのドラゴン乗り・タイム(奥平大兼)と出逢う。二人は現実世界に飛ばされたウーパナンタの英雄・アクタ(新田真剣佑)を探すが、それは2つの世界に隠された1つの真実を巡る冒険の始まりでもあった……というストーリー。奥平が初挑戦のアクションで感じた新田真剣佑のすごさとは? また、今年の振り返りや来年の抱負まで話を聞いた。

(前編・後編の前編)

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■アクションに初挑戦!新田真剣佑からは“見せ方”の大切さを学んだ

――世界に配信されるディズニープラスのオリジナルシリーズへの出演が決まっていかがでしたか?

奥平 全世界に配信されるということに関しては、まだあんまり実感がないです。配信が始まってから、他の言語で字幕がついているところを見たりするうちに、だんだん実感できるのかもしれません。

『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』よりナギ(中島セナ)、タイム(奥平大兼)、タイムの相棒ガフィン (C)2023 Disney

――奥平さんは、ウーパナンタから現実世界にやってきた落ちこぼれのドラゴン乗り・タイム役を演じました。アクションシーンがありますが、アクションは初挑戦だったそうですね。

奥平 今回、この作品に挑むにあたって心配だったのが、ウーパナンタ語というこの作品のためにつくられた言語をしゃべることと、アクションでした。アクションはまったくの初挑戦でしたし、しかも最初に戦う相手が世界的にアクション俳優として活躍する新田真剣佑さん。新田真剣佑さんはウーパナンタの英雄・アクタ役を演じていらっしゃって、タイムは彼を追いかけて現実世界にやって来たんです。

ご一緒させて頂いて、アクションというのは“見せ方”がすごく大事なんだなと思いました。真剣佑さんは、どういう風に見せるべきかわかっていらっしゃるんです。普段の芝居であれば、僕も監督さんや共演者と話をして何となく理解できたりするんですけど、アクションは初ということもあり、どうしたらいいかわかってなくて。でも真剣佑さんは、こういうアクションならこういう風に見せた方がいいんじゃない? というのをすぐにわかって言葉にしてくださるんですよね。制作側がやりたいことをくみ取って、それをちゃんとアクションとして実現できる。それがあると監督さんも画が想像しやすくなると思いますし、僕がやりやすいようにしてくださって、かっこよかったですね。

僕が演じたタイムは、ウーパナンタの中では弱いんですけど、人間よりは強いんですよね。人間界では運動神経が良くてジャンプ力もある。アクション部からの演出を受けながら、僕としてはそのバランスを取るようにしていました。

『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』よりタイム役の奥平大兼 (C)2023 Disney

■中島セナ、エマニエル由人とはずっと敬語だけど仲良し!?

――そういった激しいアクションがある一方で、現実世界でちょっと生きづらさを感じている高校生のナギやソンと過ごす時間は青春そのものでした。ナギ役の中島セナさんや、その親友ソン役のエマニエル由人さんとの共演シーンはいかがでしたか?

奥平 3人のシーンは冒険のわくわくとか純粋な楽しさがありましたね。撮影中も3人でいる時間がけっこう多かったのですが、エマくん(エマニエル由人)が一番年上で、現場を明るくしてくれた存在でした。エマくんがいなかったらここまで楽しく撮影できなかったと思うくらいです。本人には言ってないですが、すごく助かりました。

『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』よりナギ(中島セナ)、タイム(奥平大兼) (C)2023 Disney

僕が主演として場を引っ張っていけたり明るくできたら一番よかったのですが、ウーパナンタ語やアクションに精一杯で、正直その余力が当時はなくて。エマくんも初めての芝居の現場ですごく緊張されていたとは思うのですが、とにかく明るくてスタッフさんともすぐに打ち解けていて、おかげで僕もスタッフさんと仲良くなれました。エマくんが演者とスタッフさんの間の架け橋になってくれたので、例えばカメラマンさんに撮影のことを相談しやすくなってコミュニケーションが取れたのがよかったです。

中島セナさんに関しては、大人っぽく落ち着いている印象があるじゃないですか。だから僕ら2人がふざけ合ったりしててもクールなのかな、と思ったら、案外乗っかってきてくれました(笑)。その3人のバランスがすごく居心地よかったですね。

でもなぜか3人とも敬語なんですよ。変えるタイミングがないというか「わざわざタメ語にしなくてもいいですよね?」なんて言い合ってます。

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■2023年は“今しかできない役”を意識するようになった

――先日、第15回TAMA映画賞で最優秀新進男優賞を受賞されましたね。おめでとうございます。

奥平 ありがとうございます。

――2023年は『あつい胸さわぎ』『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』『ヴィレッジ』、そしてダブル主演を務めた『君は放課後インソムニア』と出演映画の公開が相次ぎ、ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』では重要な役どころを演じられました。一年を振り返ってどうでしたか?

奥平 作品に参加させていただき役を演じるということの意味や、自分の中でどう消化しようかと考えるようになりました。今年はデビューして4年目で、20歳になったというのもあるんですけど、この仕事を始めた頃と比べてだんだん変わってきているのを感じます。“今しかできない役”というのがあるというのを意識するようになりました。

例えばドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』の星崎役は、あの時のあの座組だから演じられた結果だし、今回の『ワンダーハッチ –空飛ぶ竜の島-』も、いま演じたらまったく違うアプローチになると思うんです。今しかできないやり方がたくさんあるんだというのを実感した年でした。

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今年のはじめに公開された映画『あつい胸さわぎ』は、撮影したのは2年前なんですよね。だからメイキングを見ると、今の自分の感覚とは違うと感じました。それを成長と呼ぶのかもしれないですけど、だんだん感覚が変わってきているのを実感します。過去と感覚が違い過ぎてちょっと驚くくらいですけど、当時の自分が全力で芝居に取り組んでいたことは確かなんです。これからは自分で「前のこの芝居の方がよかったな」と思わないような芝居をしていかないといけないですよね。“今の感覚”を大事にしたい気持ちが強いです。

――演じていての感覚に変化があったんですね。プライベートでは何か変化がありましたか?

奥平 あんまりないかなぁ。20歳になったのでお酒は飲めるようになりましたけど、それくらいです。気分は子どものままです(笑)。

――先輩俳優の方と飲む機会も出てきましたか?

奥平 友達とか、同世代が多いですね。ドラマ『最高の教師』の共演者とか、今回『ワンダーハッチ –空飛ぶ竜の島-』で共演したエマくんとか。

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■今まで一緒になった監督や演者さんと再会して成長した姿を見せたい

――2024年の抱負を聞かせてください。

奥平 TAMA映画賞で最優秀新進男優賞をいただいたことで、自分が若い世代の俳優の一人として活動できている、ということがすごくうれしかったんです。今まではわりと作品の中で先輩方を見習って勉強して、ということが多かったのですが、これからは自分にしかできないことや自分にしか持てない感覚を大事にしたいと思っています。一年後、また違う感覚を持っていると思うし、その時その時の感覚を大事にしたいです。

そして、今までご一緒した監督さんやプロデューサーさん、演者さんともう1回会って成長した姿を見せたい、というのが(俳優を続ける上で)かなり大きなモチベーションになっているので、来年も今までご一緒した方たちと会えるようにがんばりたいです。

(後編記事へと続く
後編ではさらに『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』の撮影裏話を詳しく聞いた)

【奥平 大兼(おくだいら だいけん)Profile】
2003年9月20日生まれ。東京都出身。2016年、スカウトで芸能界入り。2018年、演技未経験で受けたオーディションに合格し、映画『MOTHER マザー』(2020年)で長澤まさみの息子役に抜てきされる。2020年『恋する母たち』(TBS)でTVドラマに初出演し、以降も映画やドラマ、CMなどで活躍。2023年は映画出演が相次ぎ、TAMA映画賞で最優秀新進男優賞を受賞。現在ディズニープラスオリジナル『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』に出演中。2024年3月8日に鈴鹿央士とW主演の映画『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』の公開を控える。

【作品情報】
『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』
ディズニープラス「スター」で独占配信中

写真:(C)2023 Disney、©entax

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