切り札投入!香港ディズニーランドに世界初「アナと雪の女王」新エリアが誕生した理由

香港ディズニーランドに映画「アナと雪の女王」をテーマとするエリア「魔雪奇縁世界(ワールド・オブ・フローズン)」が開業して1カ月がたった。世界初とあり、滑り出しは上々。業績アップへの切り札になりそうだ。そこで「アナ雪」の世界観を実感しようと物語の舞台となる「アレンデール王国」に”潜入”してみた。

◆映画「アナ雪」の世界へいざなう仕掛け

香港ディズニーランドを訪れたのは12月上旬のことだった。気温24度とすこぶる快適。緩やかな坂を下って「魔雪奇縁世界」に足を踏み入れると、雪をいただいた山(ノース・マウンテン)がそびえ、氷の宮殿が目に飛び込んできた。

テーマパーク内はすでに大勢の人の群れ。港をはさんで北欧風の町並みと小高い森に分かれており、これがランタオ島の自然豊かな背景とうまくマッチ。一幅の絵のようだ。

もちろん、これは魔法の力で雪や氷を自在に操る姉エルサと妹アナが暮らす「アレンデール王国」の世界を忠実に再現したもの。なるほど、コンセプトとデザインに3年以上の期間を費やしたというだけあって、氷の色や質感の細部にまでこだわっているのが分かる。

◆注目のアトラクションは3つ

目玉となるアトラクションは3つ。「フローズン・エバー・アフター」は、木彫りの16人乗りボートに乗り、主題歌「レット・イット・ゴー」など映画で流れるソウルフルな音楽を聞きながら名場面を旅する設定。クスッと笑えるシーンや途中に冷やっとするサプライズな仕掛けも用意されている。

「ワンダリング・オーケンズ・スライディング・スレイ」はソリに乗った気分を味わえるローラーコースターでオラフとスヴェンの力を借りて山頂へ。そこから「アレンデールの森」を一気に駆け降り、疾走感を体験できるのが魅力だ。さらにプロジェクションマッピングなどを使った新しい演劇体験ができる「プレイハウス・イン・ザ・ウッズ」も用意されている。

◆限定グッズやスイーツ、その他のアトラクションも

食やグッズも充実しており、北欧の料理や食材をアレンジした料理やスイーツ、アイスを用意。またオリジナル商品も販売されており、限定のセーターやマグカップなどをお土産として購入する人も目立った。実はわたしも、その1人。訪れていた香港人女性に聞くと「”アナ雪”は大好きな作品。開業を心待ちしていたの」と笑顔を浮かべた。

この他にもここ香港にしかないアトラクションが盛りだくさん。シンボルのお城「キャッスル・オブ・マジカル・ドリーム」をはじめ「ビッグ・グリズリー・ラナウェイ・マイン・カー」「アイアンマン・エクスペリエンス」などなど、書き切れないほどだ。

とはいえ、実を言うと香港でのディズニー人気は日本ほど高くない。現地の人に聞くと「狭くて乗り物も少ない。だったらオーシャンパークの方がより香港のものが多く、より興味深い」とか「歴史が浅く、ディズニーの世界がまだ浸透しきっていない。人気が出るとしたらこれからでしょう」という意見もあった。

また周辺には上海ディズニーランドがあったり、ユニバーサル・スタジオ・北京、デンマーク発の「レゴランド」などもでき、過当競争をしいられてもいるのも事実。実際、コロナ禍などもあり、8年連続の赤字経営との報道もある。その一方で雇用の受け皿として貢献しており、今年は年間パスポートの販売数も過去最多を記録しそうだ。

◆香港に「アナ雪」エリアを最初に導入した理由は?

そんな流れのなかでの誕生した新エリアは業績アップの切り札になるのは間違いないか。現地の広報担当者は「アナと雪の女王は、ディズニーの歴史の中でも大人気作品のひとつで特にアジアでは最も人気が高い。香港ディズニーランドにオープンするには、ぴったりのテーマで大変光栄なこと。世界中からたくさんのゲストにお越しいただいていることを大変うれしく思っている」とコメントしている。

この15日には東京・八王子高のマーチングバンド総勢110人が敷地内をパレードし、名曲「It's a Small World!」などを演奏した。これはコロナ禍で中止になっていたものを関係者の努力でようやく実現させたものだ。

今回、現地で取材した日本人女性は「アナ雪は最高。来た甲斐がありました。また来たい」と興奮気味に話してくれた。日本から比較的行きやすい、もうひとつのディズニーランド。思いのままに一度訪れてみてはいかがだろう。

(よろず~ニュース特約・チコ山本)

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