少女たちの友情を描くテキストADV「夢灯華 Noctuary」プレイレビュー!美麗なビジュアル、良質なサウンド、歯ごたえのあるバトルが楽しめる

Gratescaより、2023年11月28日にSteamにてリリースされた「夢灯華 Noctuary」のプレイレポートをお届けする。

本作はテキストアドベンチャーにアクション要素を融合したようなゲーム。プレイヤーは、美麗なビジュアルと良質な音楽で構成されたシナリオを読み進めながら、時々入るバトルで敵と戦っていく。体感で言うとビジュアルノベルが8割、アクションが2割といった感じなので、サクサクと読み進めることができた。

■遊園士を目指す2人の少女が世界の真相に迫っていく物語

本作は主人公の夢灯此夜とそのバディである彩灯絢夜が、生まれたばかりの光使“新生光使”を探しに夜の森に出かけたところから始まる。この世界では光を扱う“光使”と光を食らうモンスター“闇獣”が戦っており、闇獣は暗いところを好むため夜の森に出かけることは危険とされていた。

それでも森に出かけたのは、2人で遊園士の試験を受けるため。それを夢灯此夜のお姉ちゃんである夢灯彼夜に認めさせるために、危険な森に出かけるのだった。

ストーリーを読んでいると、2人の相性の良さが垣間見える。頭脳派の夢灯此夜と特攻隊長の彩灯絢夜は、いわゆるバディのような関係。2人ともタイプが違うのにここまで相性が良いと感じるのは、単に仲が良いだけでなく、互いに信頼しきっているからだろう。

■光と闇をテーマにしたストーリーがたまらない!

加えて、神秘的な世界観と緻密に練られたシナリオが良く、光をテーマにした“光使”と闇をテーマにした“闇獣”をはじめ、色んなところで対比されているストーリーが読み手を飽きさせない。例えば、光使と闇獣の対比。光使は人間の姿をしているのに対し、闇獣はモンスターばかり。こういった対比が見られるので良く作り込まれているなと感じた。

さらに、序盤は明るい日常的なストーリーが展開されていくが、進むにつれ暗いストーリーになっていき、シリアスな展開になるほど面白くストーリーに引き込まれていった。

また、ストーリーを進める上で、かなり独自の単語が多いが、それぞれキーワードとして解説されているので、ストーリーに置いていかれることなく、読み進めていくことができたのも良かった。

■弾幕ゲーのような歯応えのあるバトルが楽しめる!

本作のアクション要素は2割ほどと言ったが、それでも十分に楽しめる内容だった。夢灯此夜と彩灯絢夜は戦闘スタイルが異なり、遠距離攻撃なら夢灯此夜、近接攻撃なら彩灯絢夜といったように、状況に応じて切り替えながら戦うのが定石となってくる。

さらに、1人のキャラにつき武器が3種類あり、合計6種類の武器を使い分けるので、武器を切り替えながら戦うだけでも楽しいアクションが味わえた。

しかし、ボス戦ともなると雰囲気は一転。雑魚敵を倒していく無双ゲーから変わり、敵の無数の攻撃を避けながら戦う弾幕ゲーへと変貌するのだった。最初の方は避けて攻撃、避けて攻撃で何とか倒せるのだが、ストーリーが進むにつれ、回避アクションの無敵時間を利用して避けるといったテクニックも必要になってきて、かなり歯応えのあるバトルが楽しめた。

ほかにも、キャラクターのHPや攻撃力を強化したり、パッシブスキルを組み合わせる“祝福”があったりとキャラクターの育成要素もあるので、バトルもただクリアを目指すのではなく、色んな戦い方を模索できるのはアクション好きには嬉しいポイントだ。

ここまで見ると、「アクションが苦手な人は遊べないのでは?」と思う人もいるだろう。しかし、安心してほしい。本作は難易度を落としたり、体力や攻撃力を上げたりと、クリアするための補助的な設定が行えるので、アクションが苦手な人でも安心して遊べるようになっている。

■サブキャラを深掘りするサブストーリーも充実!

本作は、メインストーリーだけでなくサブストーリーも充実しているのも魅力の1つ。筆者がプレイしたところ、ほぼすべてのキャラクターにサブストーリーがあったと思われる。此夜のお姉ちゃん・夢灯彼夜や小さな先輩光使・小灯流夜など、総勢30名以上のストーリーが楽しめた。

最初は何気ない日常会話を楽しんでいくのだが、物語が進むにつれて気になる内容が続いていくので、メインストーリーを忘れて読み進めるほど夢中になっていた。

しかし、ある一定のところまでストーリーを進めると、それまでのストーリーが一切見れなくなってしまうので注意が必要だ。

本作はテキストアドベンチャーゲームというジャンル。普段こういったゲームをやらない筆者でも十分に楽しむことができた。また、アクションも歯応えがあり、アクションゲーム好きも楽しめると思うので、ストーリーが気になった人はぜひ一度プレイしてみてほしい。


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