映画「パラサイト」イ・ソンギュンさん 独特な低音ボイスと繊細な演技で観客魅了、デビュー25周年控えていた

多くの名作に出演し、その実力が認められていた韓国俳優のイ・ソンギュンさんが27日、遺体で発見された。48歳という若さだった。

故人は10月に薬物使用が疑われ警察が立件するも容疑を否認、23日に3回目の調査を終えたばかりだった。

俳優として、志半ばでこの世を去ったであろうイ・ソンギュンさんのフィルモグラフィーを振り返ってみる。

1975年生まれのイ・ソンギュンさんは、韓国芸術総合学校 演劇院の1期生として卒業。1999年に2人組デュオ、Bijouの「大丈夫」のミュージックビデオ出演を機に芸能界へ足を踏み入れ、2001年放送のMBCシットコム「恋人たち」で端役や助演を演じながら、俳優として無名時代を過ごす。

そして2007年、ドラマ「白い巨塔」の韓国版で里見脩二となるチェ・ドヨン役で大きな注目を浴び、日本でも爆発的人気を集めたドラマ「コーヒープリンス1号店」にコン・ユのいとこで放送音楽家のチェ・ハンソン役で出演、スターダムへとのし上がる。以降、イ・ソンギュンさんは「パスタ」「ゴールデンタイム」「ミス・コリア」など、着実にキャリアを積み重ねていった。

特に2018年にIU(アイユー)と共演したドラマ「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」では、彼の特徴的な低音ボイスと内面的演技が役と絶妙にマッチし、大衆から「イ・ソンギュンの代表的作品」と評され、「第9回 大韓民国大衆文化芸術賞」で国務総理大臣表彰を受賞したほど。

ドラマのみならず、映画界でも大きな活躍を見せたイ・ソンギュンさんは、ロマンスコメディー映画「くだらないロマンス」や「火車 HELPLESS」「僕の妻のすべて」「最後まで行く」など、幅広いジャンルで存在感を発揮。2019年には「パラサイト 半地下の家族」に出演し、世界にその名をとどろかせた。

2024年にデビュー25周年という、節目の年を控えていたイ・ソンギュンさん。韓国俳優界は、あまりにも大きな財産を損失してしまった。

(よろず~ニュース・椎 美雪)

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