「マシンガン打線」のレジェンドが独立リーグ監督になった プロ野球・元横浜のロバート・ローズさん

インタビューを受けるロバート・ローズさん

 プロ野球横浜(現DeNA)で「マシンガン打線」の主軸として活躍したロバート・ローズさん(56)が、独立リーグのヤマエグループ九州アジアリーグで熊本県を拠点とする火の国サラマンダーズで監督に就任した。監督業は初めてで「楽しみ。自分が本当にやりたいと願っていたこと」と胸を高鳴らせている。日本で指導者を務める意気込みや、現役時代の思い出を柔和な表情で語った。(共同通信=木村督士、児矢野雄介)

 ▽成功の助けに

 米国のマイナーリーグで打撃コーチを務めた経験がある。日本プロ野球外国人OB選手会の仲介で火の国からのオファーが届き、快諾した。
 独立リーグは日本野球機構(NPB)の12球団を目指す若者が腕を磨く場で、火の国は国内各リーグの優勝チームが争うグランドチャンピオンシップで2連覇している強豪だ。「彼らが行きたいと思うところまで導けるようにしたい。力はあるんだけども、行きたいレベルにまでちょっと届いていない選手たちに、丁寧に指導して、できる限り成功の助けとなりたい」と言葉に力を込めた。

独立リーグ・火の国サラマンダーズのロバート・ローズ新監督(右)=2023年12月5日、熊本市

 ▽マシンガンの中核

 ローズさんは1993年に横浜に入団し、来日1年目から打率3割2分5厘、94打点をマーク。「野球は野球だからね。唯一適応しなければいけないのは文化で、家族がしっかりとケアされるようにというところだった。そこが分かれば心配はなかった」とすぐに新しい環境に順応し、日本での8年間で打率3割台を7度記録した。
 98年も打率3割2分5厘、19本塁打、96打点の好成績を残し、チームの38年ぶり日本一に貢献。4番打者のローズさんを中核として打線がよくつながり、打ち出すと止まらない攻撃は「マシンガン打線」の異名を取った。当時を「皆の打撃が伝染したと思う。打席に立つ選手が打つのを見たら、切磋琢磨して自分も次に打ちたいと思う。自分たちはそれをやり続けた」と振り返った。
 現役時代に最も手ごわかった投手は桑田真澄さん(巨人)だったという。「シュートがあるのに加え、相手をびびらせるような表情。そんなに大きくないはずなのにマウンドに立てば、背が高く感じられて存在感がすごかった」とたたえた。

1998年の日本シリーズ第5戦で先制の適時二塁打を放つローズさん=西武ドーム

 ▽権藤さんに教わったこと

 98年に監督として横浜を頂点に導いたのは権藤博さんだった。「選手からベストを引き出そうとする情熱と、実際にそれができる能力があった」とその手腕に感銘を受けた。「才能の持ち主が能力を十分に発揮していないのを見たら、活を入れるタイプ。その信念は好きで理想の監督でもある」と言い、自身の指導にも生かすつもりだ。
 現在DeNAで指揮を執る三浦大輔監督は当時のチームメート。98年の歓喜を最後に優勝から遠ざかっているが「(現役時代に)優勝を経験しているし、質の高いコーチ陣がいる。きっとまた優勝を勝ち取る時がくる」と太鼓判を押した。

 ▽日本野球を高く評価

 日本の野球については「非常に質が高い。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも一目瞭然」と高く評価している。このシーズンオフはオリックスの山本由伸投手、DeNAの今永昇太投手らがメジャー挑戦を決断した。「今永選手は素晴らしい投手なので、自分が今やっていることをやり続ければ成功するだろう。何かを変える必要はない。NPBから大リーグに行くときに選手が変えなければいけないことは何もない。今まで通りのことをやり続ければいい」と古巣の後輩にエールを送った。

インタビューを受けるロバート・ローズさん

 投打の二刀流で今や大リーグの顔となった大谷翔平選手の活躍にも驚きはないという。「5、6年前に(米国で)世界最高の才能はと聞かれて大谷選手と答えた。その通りになっている。ここからさらに彼のような選手が出てくると思う」と日本選手がメジャーを席巻する流れは今後も続くという見方を示した。

© 一般社団法人共同通信社