ホッケー石動準優勝 全国高校選抜・女子

果敢にボールを奪いに行く石動の選手(青)=東京都の大井ホッケー競技場

  ●2年連続、丹生にSO惜敗

 第55回全国高校選抜ホッケー大会最終日は27日、東京都の大井ホッケー競技場で男女の決勝が行われ、女子の石動が丹生(にゅう)(福井)に1―1からのシュートアウト(SO)戦で2―4と屈し、準優勝した。2年連続で丹生にSO戦の末に敗れて頂点を逃した。丹生は全国高校総体、国体に続き、3冠を果たした。

  ●松井主将「後悔ない」

 試合を動かしたのは石動だった。第1クオーター開始4分、サークル内にいたFW吉田伶選手(3年)の元に浮いたボールが来た。吉田選手は絶妙なスティックさばきで落ち着いてGKの動きを見てシュート。先制点を決め、右手を力強く突き上げた。

 このまま逃げ切りたかったが、女王の粘りはすさまじかった。第2クオーター、「高校生としては最高レベルのタッチシュート」(西永毅監督)で同点に追い付かれ、後半は決定機をつくれなかった。

 SO戦を落とすと、GK葭谷瑠衣選手(1年)に一斉に駆け寄った。悔し涙があふれたが、顔を上げた表情はすがすがしかった。西永監督は「最高のゲームをした」とねぎらい、主将のDF松井杏(あんず)選手(3年)は「やりきれた。後悔はない」と充実感に満ちていた。

 部員は27日、学校に戻り、県ホッケー協会や学校関係者、家族の出迎えを受けた。

 

  ●先制の吉田「一番楽しい試合」

 苦しみながらも、笑顔がはじけた。「高校で一番楽しい試合になった。チームで攻めて守って声を出した」と先制ゴールの吉田選手。日本一はつかめなかったが、仲間と一体感を得た喜びがあった。

 今年の全国舞台を全て無失点で優勝してきた丹生。石動はその鉄壁の守備を破り、得点を奪った唯一のチームとなった。

  ●「オール富山」で結束

 全国から有望選手が集まる丹生に対し、「オール富山」で挑んだ石動。小学生の頃から知る仲で、結束力をみせた。準決勝までインフルエンザで離脱していたFW市森心彩(みさ)選手(3年)もピッチを駆け、16人全員がそろって戦い抜いた。

 メンバーを引っ張った松井主将は部員や監督らに「日本一」と縫い付けた、手作りのだるまのお守りを渡し、心一つに臨んだ。「インターハイ予選では試合前から不安で泣いた選手もいたけれど、今回はみんな自信に満ちた顔をしていた」とチームの成長に胸を張った。

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