ハクサンアマゾネス重賞21勝目 地方競馬の新記録

ハクサンアマゾネスの快挙を喜ぶ吉原騎手と加藤調教師=金沢競馬場

  ●金沢競馬/ファンセレクトC/4馬身差で快勝

 金沢競馬の2023年シーズンを締めくくるファン投票の重賞・移転50周年記念金沢ファンセレクトカップ(北國新聞社後援)は27日、距離1500メートルで行われ、吉原寛人騎手が乗る1番人気ハクサンアマゾネス(牝6歳、加藤和義厩舎(きゅうしゃ))が、2番人気のオヌシナニモノに4馬身差をつけて優勝した。ハクサンアマゾネスは重賞21勝目で、国内平地重賞勝利の新記録を達成した。

 レースは1頭の出走取消で8頭で行われ、逃げたハクサンアマゾネスは2番手で追うオヌシナニモノを直線で突き放した。勝ちタイムは1分32秒7。

 (1)ハクサンアマゾネス(2)オヌシナニモノ(吉田)(3)ダイヤモンドライン(栗原)(4)ジェネロジテ(甲賀)(5)ハイパーノヴァ(平瀬)

 ★ハクサンアマゾネス 父シルポート、母オークヒルズ、母の父ブライアンズタイムという血統。2020年4月デビュー。3戦目で重賞初勝利、4戦目で石川ダービーを制した。通算36戦25勝。20、21年の金沢競馬の年度代表馬。

  ●「女王」の伝説は続く

 金沢の「女王」が地方競馬の歴史を塗り替えた。前走でカツゲキキトキトの持つ重賞20勝に肩を並べて臨んだ今年最後のレース。単勝1.1倍の圧倒的人気に推されたハクサンアマゾネスは貫禄の走りで地元ファンの期待に応えた。

 毎回、スタートが課題となる短距離戦。ハクサンアマゾネスはハナを切ることに成功すると、JRAダート短距離4勝の牡馬オヌシナニモノなどを相手に、1500メートルの自己ベストを更新する快走で逃げ切った。

 11月の北海道での多重落馬事故で負傷し、今月18日に戦列に復帰した吉原騎手はゴール後、夜空に右腕を高々と突き上げた。「良い手応えだった。重賞21勝はすごい記録です」。金沢のエースは自身の国内重賞通算150勝の節目のVを届けてくれた愛馬をたたえた。

 この勝利でハクサンアマゾネスの生涯獲得賞金は1億1千万円を超えた。石川県競馬事業局によると、金沢でデビューした馬で1億円ホースは4頭。他の3頭は体重500キロ前後の牡馬で、地方競馬熱が高く、賞金も高額だった平成初期に活躍したのに比べ、450キロ前後の牝馬で「冬の時代」を支えてきた価値は高い。新型コロナの感染拡大で無観客開催を強いられた時期もあった金沢競馬の屋台骨を背負ってきた。

 年内限りで引退の方針で臨んだ今シーズン。園田の2勝を含む重賞7勝の充実ぶりに、加藤調教師は「アマゾネスの走りを見せることができる間は記録の更新を目指す」と来年の現役続行を明言した。7歳となる女王の伝説のロードは続く。(競馬担当・久保勉)

© 株式会社北國新聞社