猫の『グルーミング』にも種類がある?4つのパターン別にその意味を解説

1.身だしなみを整えるため

猫は食後にグルーミングをすることが多く見られます。人間の目には「ごちそうさま」や「おいしかった」というように見えますが、これは捕食動物としての食後の儀式のようなものです。

本来、猫は野生に生きる動物だったので、食事の後のニオイをきれにぬぐう習性があります。それは、ニオイに気づかれて天敵に居場所を嗅ぎつけられたり、逆に獲物に逃げられたりしないための本能なのです。

食後のグルーミングは主に、口周りを舐めることからはじまります。その後、ペロリと舐めた前足で目の上や耳などを毛繕い。食後の身だしなみは、口周りから順番に上にあがっていく傾向があるようです。

なお、身だしなみを整える行為は、食後以外にも見られます。遊び終えた後は乱れた毛を整えますし、トイレの後は顔や体をはじめ、肛門や後ろ足などもグルーミングします。

2.ニオイの上書き

猫は誰かにさわられた後に、ペロペロと毛繕いをすることがあります。これは、体を自分のニオイに戻す行為ともいわれています。

たとえば猫を撫でることで、猫に飼い主さんのハンドクリームの香りや柔軟剤のニオイが付いたとしましょう。猫は、野生の本能で自分の身体に自分以外のニオイがつくことを嫌がるので、ふれられた部分をグルーミングして、元のニオイに戻すのです。

さらにこの習性は、グルーミングのとき以外にも見られます。帰宅後や入浴後に、猫がスリスリ体をこすりつけてくるのも、同じようにニオイを上書きしたいという心理。いつもと違うニオイの飼い主さんに、自分のニオイをこすりつけているのです。

また触られた後に毛繕いをするのは、ただ乱れた毛並みを戻すため、という場合もあります。

3.体温調節

いつもより気温の変化が激しいときにも、猫はグルーミングをします。実は、猫のグルーミングは体温調節を行う役割も担っているのです。

猫がグルーミングをすることで、毛をフワフワにして体の保温機能を高め、逆に体を舐めることで毛を濡らして体の熱を下げている、といわれています。

よく猫が風呂場で体を洗った後にセルフグルーミングをしていますが、これも体温調節の一種なのかもしれませんね。

4.転移行動

猫は心理的な要因でも、グルーミングをすることがあります。その代表的なのが「転位行動」としてのグルーミング。

転移行動とは、ストレスや不安、緊張など、心が乱れたときに、それまでとはまったく関係のない行動をすることです。

たとえば、キャットタワーから落ちたときや物音にびっくりしたときに、気持ちの乱れをその前後の流れに無関係の動作(グルーミング)をすることで、落ち着かせます。

転位行動としてのグルーミングは何かが起きた後にその前の行動とはまったく関係ない状態で行うため、見ていてそれとわかりやすいかもしれません。

まとめ

今回紹介した「グルーミング」の種類は、自分で自分の毛をつくろうセルフグルーミングですが、他にも「アログルーミング」という種類もあります。

自分を舐めるセルフグルーミングに対して、アログルーミングは猫同士が体を舐めあうというもの。自分では届きにくい頭や首の後ろなどを、舐めてあげる行為です。信頼関係がある猫同士でしか行いませんが、全ての猫に見られるわけではないようです。

いずれにしても猫にとって「グルーミング」はとても大切な行為です。猫がグルーミング中のときは、ジャマをしないようにやさしく見守ってあげましょう。

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