茨城・日立市、久慈川に土堰堤 海水遡上防止 流量低下で設置へ

日立市は海水遡上対策として土堰堤を設置する=同市下土木内町(2019年5月撮影)

久慈川の流量が低下していることを受け、茨城県日立市は27日、水道水源の取水口周辺に海水の遡上(そじょう)を防ぐ「土堰堤(どえんてい)」を設置すると発表した。流量低下は流域の雨量が減ったのが主な原因。12月に入って2回、塩分濃度が基準を上回り一時的に取水できない事態が生じていた。市は断水を回避するための「予防的な措置」としている。

市によると、12月の久慈川流域の雨量は過去10年間の平均値の32%にとどまっている。影響で、河口から約4.3キロ上流にある市の取水口まで海水が遡上し、塩分濃度が基準を超過した。市は12月16日と26日の計2日間、一時的に取水停止に追い込まれた。

現時点で貯水量は十分あり、市民に節水を呼びかける事態には至っていない。ただ、今後もまとまった雨が降る見込みはなく、年末年始は水需要が増えることから、市は取水停止の長期化などに備え対策の実施を決めた。

土堰堤を築くのは取水口の下流部分で、川幅約105メートルのうち95メートルにわたって大型土のう袋を並べ、水の流れを限定する。海水の遡上を抑制するとともに、干潮時に上流側で水量を確保するのが狙い。

市の水源は久慈川と十王川で、久慈川が全体の約8割を占めている。土堰堤を築くのは2020年12月以来3年ぶりで、工事は27日夜から28日にかけて行う。

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