事故時に避難経由所設置 東海第2原発 茨城・東海村が計画公表

報道陣の質問に答える東海村の山田修村長=同村役場

茨城県東海村は27日、防災会議を開き、日本原子力発電東海第2原発の重大事故に備えた広域避難計画を決定、公表した。同県の取手、守谷、つくばみらいの3市に「避難経由所」が設置され、村の地区ごとに避難する。課題となっていた全村民分の避難所は確保された。

避難計画は東海第2原発から半径30キロ圏の自治体に策定が義務付けられており、再稼働に必要とされる。対象14市町村のうち、策定したのは東海村で6自治体。

事故発生時に、県北東部に位置する東海村の各地区の住民は、常磐自動車道や国道6号などを利用し、県南部の取手など3市にそれぞれ設置された避難経由所に移動。さらに3市で計約130カ所設けられる避難所に移動する「ターミナル方式」とした。

当初は3市の避難所へ直接向かう方式だったが、避難所開設の効率化や、住民の混乱を避けるため変更。3市にある大型施設を避難経由所に設定した。

村は2013年に計画策定作業を開始。16年に計画案を公表後、訓練などを通して検証してきた。

計画策定では避難所の確保が課題となっていた。今年1月に県地域防災計画の一部改定に伴い、1人当たり面積が当初の2平方メートルから「3平方メートル以上」に変更され、全村民約3万8千人のうち約1万3000人分が不足となった。村は3市内の民間研修施設や宿泊施設の提供を受け、不足分を解消した。

避難では東海村の石神、真崎両地区の住民は守谷市の常総運動公園に、白方地区はつくばみらい市役所伊奈庁舎と谷和原庁舎に、村松、中丸、舟石川・船場の3地区は取手市の取手競輪場に向かう。住民は各避難経由所から計約130カ所の避難所に案内される。

山田修村長は「住民に計画を理解してもらうことが実効性を高めることにつながる。分かりやすく、丁寧に周知したい」と述べた。

防災会議は冒頭を除いて非公開で行われた。村によると、出席者から異論はなかった。計画は村ホームページで公表した。

会議では、村内にある試験研究炉など原子力施設の事故に備えた「屋内退避及び避難誘導計画」も決め、広域避難計画と統合して公表した。

東海第2原発は11年の東日本大震災で被災し、運転を停止中。21年、水戸地裁が避難計画の不備を理由に運転を認めない判決を言い渡した。

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