相葉裕樹etc _ シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る 「ながされ・る君へ ~足利尊氏太変記~」 明治座年末公演 開幕

明治座の年末恒例、シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『ながされ・る君へ ~足利尊氏太変記~』(通称:る太 (るたい))が開幕。
この公演は `11年より、演劇製作の、る・ひまわりと創業150年を迎える老舗大劇場の明治座がタッグを組み、「大人たちが本気でふざける」をモットーに、“面白おかしく、そしてなんとなく歴史が学べる舞台公演“として、世界に誇れる「日本人」そして「日本の歴史」を面白可笑しくシュールに上演してきた“祭”シリーズの最新作。伝統ある商業演劇スタイルに則って第一部ではお芝居、そして第二部ではショーの 2部構成。

そんな“祭”シリーズ12周年となる今年の第一部の演目は『ながされ・る君へ~足利尊 氏太変記~』。朝廷が南北に分かれる混迷の時代を描いた軍記『太平記』をモチーフに、朝廷と幕府の覇権争いに巻き込まれる武士たちの奮闘を描く。主人公は源氏の血を引く足利尊氏。時代の大きな波や、周囲の圧に翻弄され、流され、それでも自分らしく生き抜いた足利尊氏の想いを描く壮大なミュージカル。やる気のない、権力にも無頓着、ただ家族とのんびり暮らしたい 兄の尊氏と、源氏の血にこだわり尊氏に期待する弟・直義。日本全土を巻き込んだ史上最悪の兄弟喧嘩“観応の擾乱”はなぜ起きたのか?激動の時代を駆け抜けた男たちの歴史ロマン。脚本は池田テツヒロ、演出はシリーズ3度目の演出をつとめる原田優一。音楽にはかみむら周平。
第二部は、「猿楽の日 1338~近頃都で流行るものフェスティバル」と題した室町時代の音楽番組に、室町時代の都で流行中のアーティストたちが集合するもの。

主演の足利尊氏役には相葉裕樹が、2011年のシリーズ初演以来12年ぶりの座長。共演内藤大希、上口耕平、大山真志などミュージカルで活躍する相葉と同世代の役者が集結。そこに石川凌雅、広井雄士、丘山晴己、元「すかんち」のヴォーカル&ギターで唯一無二の存在感を放つ ROLLYが初参戦。松田岳、前川優希、井澤巧麻、井深克彦(本作に全て出演、皆勤賞)、井澤勇貴、伊藤裕一、3年ぶりのシリーズ参加の加藤啓、辻本祐樹、元宝塚トップスターで本シリーズ3度目の出演となる水夏希など、本シリーズお馴染みの顔ぶれや久々の参加組も加わる。第二部の司会は鯨井康介。
元になっている『太平記』は日本の古典文学作品の1つで、いわゆる歴史文学に分類され、「日本の歴史文学の中では最長の作品」と言われている。全40巻で、南北朝時代を舞台に、後醍醐天皇の即位から、鎌倉幕府の滅亡、建武の新政とその崩壊後の南北朝分裂、観応の擾乱、2代将軍足利義詮の死去と細川頼之の管領就任までを描いている。大河ドラマは吉川英治の小説『私本太平記』が原作、1991年、真田広之主演。
出だしは亡霊たちのシーン、日本史がわかれば、登場する武将の顛末は分かっている。彼らが物語の背景を語るので、イマイチ詳しくなくてもここで大体のことはわかる。そして足利尊氏(相葉裕樹)、弟の直義(内藤大希)、なんと!直義は自らの首を切ってしまう。

一方の京都の御所。後醍醐天皇(ROLLY)、なんとギター生演奏!天皇が!ロッカー!!朝廷の置かれた現状を嘆く。鎌倉に幕府が開かれ、それまでは貴族の時代だったが、政治の担い手が武士になった。だが、朝廷が無くなったわけではなく、後鳥羽上皇が政権を朝廷に取り戻そうとして「承久の乱」を起こしましたが失敗、そして後醍醐天皇登場。
そんな時代、若き日の足利尊氏、弟の直義(内藤大希)、2人が海を見ている。北条の血を引いてないので家督を継がないと思ってのんびりしていたが、北条の血を引く兄が早くに亡くなってしまった。ここから兄弟の運命が動き出す。尊氏は政略結婚させられることとなり「結婚はしたくない」「争い事に巻き込まれたくない」だが、そうも言ってられない状況に。高師直(石川凌雅)と上杉重能(上口耕平)に連れ戻される。

派手な身なりの佐々木道誉(井澤勇貴)、婆娑羅大名、『太平記』には謀を廻らし権威を嘲笑し粋に振舞う導誉の逸話を多く記している。歌は「DOUYO」、道誉(どうよ)なだけに(笑)。「きゃー!!」と喜ぶ女子が!のちに尊氏と結婚することになる登子(水夏希)、いつの時代でも女子はかっこいい男子が好き(笑)。また、北条高時が退屈しのぎで闘犬を行うシーンがあるが、『太平記』には高時を闘犬、田楽に耽溺して政務を顧みない暗愚な当主として記述されている。

この時代の有名な武将、楠木正成(大山真志)、弟の楠木正季(原田優一)、新田義貞(前川優希)らも登場。楠木正成は倒幕軍の将軍の任を引き受ける、尊氏のところには幕府から後醍醐天皇討伐の催促が来る。ここから鎌倉幕府滅亡までスピーディー。足利尊氏はここでは心優しい、争い事を好まない、面倒なことは嫌いな人物として描かれており、周囲から背中を押されて、な状況。時折困った表情を見せるが、相葉裕樹のその困った感じが好感を持てる。トホホなキャラクターかもしれないが、自然に人望を集める、いわば「徳」な性格で歴史を動かす。また、兄が好きすぎる弟・直義、兄のためならどこまでも!史実でも兄弟の仲が非常に良く、副将軍として兄を支えて活躍。真面目で冷静、伝統や格式を重んじる性格、兄弟で職務を分担し合っていたと言われているが、これがのちに政権内で別々の支持勢力を生み、兄弟間の対立を招き、日本史上最大の兄弟の争いとされる「観応の擾乱」へと発展する。

ここではあくまでも弟は兄への愛を貫き通す、兄弟愛のクライマックスは2幕後半、ここはドラマチック。全てのキャラクターに見せ場があり、ミュージカルなので歌、なんと32曲!皆さん、歌唱力が高いので聴きどころも多く、曲も多彩で楽しめる。この鎌倉幕府滅亡から室町時代の幕開き、南北朝、なかなか複雑な人間関係、パワーバランス、ドラマ化しづらいところだが、そこが面白い。ラストの景色は抜け感があって清々しい。

それから恒例の第二部は、ショー『猿楽の日1338~近頃都で流行るものフェスティバル~』シンプルに楽しいショーテイム!司会は鯨井康介、シン る・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『明治座で逆風に帆を張・る!!』で弁慶役で出演、今回はMC。都で流行中の猿楽アーティストたちが明治座に集合。室町時代の音楽フェスティバル、という設定。ここは何も考えずに楽しく!クラップ、ペンライト(MCは「光る棒」とアナウンス)で大いに盛り上がりたい。ちなみに登場するグループ名は相変わらずな!駄洒落、そして「ちょっと、ちょっと」と言いたくなるような(笑)。毎回、ゲストが登場、ちなみにゲネプロのゲストは安西慎太郎(31日出演)。公演は28日から大晦日まで。なお31日の夜公演はカウントダウン、まだ、間に合うそう。
今年の締めくくりは、シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る 「ながされ・る君へ ~足利尊氏太変記~」でキマり。

<登場ユニット>
●鹿るGENJI「奈良ダイス銀河★劇場」
・奈良で大人気の貴公子アイドル。 ようこそ古都へ、遊ぼうよナラダイス。
●ActSTONES「イミネーッショ・レイン坊」
・悪党の原石たち6人組が歌うサンクチュアリ。 偽物の雨にうたれても。
●新しい都のリーダーズ「キゾクブルー」
・貴族よりも貴族ぶる。 青い烏帽子被り貴族ブルー。
●ミュージカル『ナラジン』より「三種のジンギー」「ア・ホーリュー・ジ・ワー(あ、法隆寺は?)」
・大人気ミュージカル『ナラジン』の出演者が集結。劇中歌を披露。
●THE ZEN「JI-AI(慈愛)」
・噂のサンスクリット系アイドル。 禅の教えは「愛」。ただただ愛したい。

概要
公演名:シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る「ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~」
第一部:オリジナ・るミュージカ・る「ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~」
第二部:ショー「猿楽の日 1338~近頃都で流行るものフェスティバル」
日程会場:2023年 12 月 28 日(木)~31 日(日). 明治座 ※12月31日 20:00公演 カウントダウン実施。
脚本:池田テツヒロ
演出:原田優一
音楽:かみむら周平
出演:相葉裕樹/内藤大希/石川凌雅、松田岳、前川優希、井澤巧麻、広井雄士、井深克彦/ 丘山晴己/井澤勇貴、伊藤裕一、加藤啓/大山真志、辻本祐樹/ 原田優一/上口耕平/ROLLY/水夏希
総合司会:鯨井康介
日替ゲスト: ・12/28(木)昼夜:平野良 ・12/29(金)昼夜:藤田玲 ・12/30(土)昼夜:蒼木陣 ・12/31(日)昼夜:安西慎太郎

公式HP:https://taihenki.com/

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