『ホンダNSX(JGTC GT500/2002年)』タイトルは逃すも年間5勝の快進撃を見せた改良版【忘れがたき銘車たち】

 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは、2002年に全日本GT選手権のGT500クラスを戦った『ホンダNSX』です。

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 2000年、全日本GT選手権(JGTC)のGT500クラスに本格デビューを果たしてから4シーズン目となるこの年に初タイトルを獲得し、翌2001年も王座争いを演じた『ホンダNSX』。

 そんな『NSX』は、2002年型になると市販車のマイナーチェンジに伴って特にフロントマスクが大きく変更されるとともに空力性能の向上が図られた。

 童夢の風洞施設である風流舎を使った開発によって、フロントのデザインをリファインしてリヤウイングを小型化。これはフロントのデザインがリヤセクションの空力に与える影響が判明したことから行われたものだった。

 またドアミラーをさらに空力を考慮した扁平型にしたほか、フロア下に流れる空気量を増やして、2001年型を超えるダウンフォース量を得ていた。

 空力面以外では、シーズン途中のスポーツランドSUGOが舞台となった第3戦からエンジンパワーの向上策のひとつとして、市販車のメーカーオプションに追加したリヤハッチガーニッシュ、いわゆる“ちょんまげ”と呼ばれるを大型のエアインテークを採用。

 さらに、エンジンルームのロールケージを変更して車体剛性をアップさせるなど、2003年に大きな車両規定変更を控えていたため、2001年型から引き継ぐ部分も多かった一方で、各部をしっかりとアップデートしてポテンシャルアップを図っていた。

 その効果もあってこの年、『NSX』は全8戦中5勝をマーク。なかでも松田次生とラルフ・ファーマンがドライブしたナカジマレーシングのMobil1 NSXが3勝を記録したが、ライバルより安定してポイントゲットができず。わずか1点差で『スープラ』にタイトルを奪われてしまった。

2002年の全日本GT選手権第7戦MINEを道上龍、伊藤大輔のドライブで制した無限NSX。
2002年の全日本GT選手権第6戦もてぎを制したTAKATA童夢NSX。セバスチャン・フィリップ、リチャード・ライアンがステアリングを握った。
2002年の全日本GT選手権第3戦SUGOで2位表彰台を獲得したRAYBRIG NSX。加藤寛規と光貞秀俊がドライブした。
土屋圭市と金石勝智がステアリングを握り、2002年の全日本GT選手権最終戦鈴鹿で2位表彰台を獲得したARTA NSX。

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