長崎IR、国が認定せず 資金調達の根拠不十分と判断 大石知事「納得できていない」

国が不認定とした本県のIR区域整備計画のイメージ(県提供)

 国土交通省は27日、長崎県が佐世保市のハウステンボス(HTB)への誘致を目指して申請していた「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)」の整備計画を認定しないと発表した。総額4383億円に上る資金調達の確実性を裏付ける根拠が不十分と判断した。県は大阪府・市とともに昨年4月、計画を提出していた。IRの実現に向けて手続きが進むのは今年4月に認定された大阪府・市の計画のみとなる。
 計画を審査した国の有識者委員会は不認定について▽出資・融資予定者からの資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料がそろっていない▽出資・融資予定者が申請時から大きく変更している-ことを理由に挙げた。その上で「資金調達の確実性を裏付ける根拠が不十分」と結論づけた。
 事業者にIRの設置運営の実績が十分でないとも指摘。IR事業の継続性や有害な影響が懸念されるカジノに関する適切な対策の根拠が乏しいとの見解を示した。
 国交省は会見で、要求基準に適合し評価基準の審査をした大阪とは異なり、長崎の計画は評価基準まで審査が進まなかったとした。今後、政府が候補地をさらに募れば、本県も再申請できるが国交省の担当者は「現時点では未定」と述べた。
 県庁で取材に応じた大石賢吾知事は「資金面で不備があるとは思っていない。現時点で納得できていない。我々と国の認識に差がある」と述べた。事業の中核を担うカジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン(CAIJ)の林明男代表は「不認定になることを想像しておらず驚いている。国に異議を申し立てることも含めて対応を考える」と語った。
 佐世保市の宮島大典市長は「誠に遺憾。雇用や地元企業への投資などさまざまな効果が予想されていたので大きな打撃」と話した上で、国や県に対し不認定に至った詳細について説明を求めていく考えを示した。
 計画を巡っては、資金調達総額の6割に当たる2630億円を金融機関からの融資で賄う予定だった。資金調達に関わっていた金融大手クレディ・スイスが経営危機に陥り買収され、資金面での不安が懸念材料となって4月に継続審査になっていた。

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