IR不認定

 〈手に入るかどうか不確かなものを当てにして、あれこれ計画を巡らせること〉を戒めて笑う「捕らぬタヌキの皮算用」を、英語では〈タマゴが孵(ふ)化する前にひなを数えるな〉と言うらしい。よく似た警句がよその国にもあるのは、それがヒトの自然な行動パターンだからだろう▲〈初期投資は約4400億円、年間840万人の来場が見込まれ、売り上げは2700億円。県は年間約310億円の収入を見込んでいる〉…これまでの記事に躍った大きな数字をさまざまに思い返している▲4月に伝えられた「継続審査」から8カ月、仕事納めの前日になって冷たい通知が届いた。政府が進めるカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備構想で、本県の申請が「不認定」となった▲〈IR事業の継続的な実施、及び有害な影響の排除に関する措置の適切な実施について裏付けとなる根拠が十分とは言い難い〉-と審査委員会の見解にある▲取り付く島がない。どこがどう足りなかったの…カジノへの賛否は別にして思わず問いたくなる。継続審査の間に申請側には補足や釈明の機会は十分与えられたのだろうか▲これは、国と地方の仕事の進め方の問題だ。この程度の説明で覚悟や労力をはねつけられて「とんだ皮算用でした」と感想戦を始めるわけにはいくまい。(智)

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