「100年は帰れない」と言われた津島が舞台のドキュメンタリー 「津島 -福島は語る・第二章-」公開決定

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2011年3月に起こった福島第一原発の事故によって「帰還困難区域」に指定された津島を舞台としたドキュメンタリー映画「津島 -福島は語る・第二章-」が、2024年3月2日より劇場公開されることが決まった。

「津島 -福島は語る・第二章-」は、貧しかった開拓時代の記憶や地域コミュニティとともにあった暮らし、受け継がれてきた伝統文化、今は亡き家族との思い出など、故郷を離れて10年以上が経過した今も心の中に津島での日々がある人々の記憶と感情を、「100年は帰れない」と言われた故郷・津島の歴史とともに映像化したドキュメンタリー。「福島は語る」の土井敏邦が監督を担当し、総勢18名による、全9章3時間を超える語りが収められている。

土井敏邦監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】
「津島の記録映画を作りたい」と私を駆り立てたのは、一冊の裁判記録だった。そこには、32 人の原告たちが裁判所で陳述した、家族の歴史、原発事故による家族と人の心の破壊、失った故郷への深い想いが切々と綴られていた。「あの原発事故は住民の人生をこれほどまでに破壊していたのか」と、私は強い衝撃を受けた。「この陳述集の声を映像で記録したい」 それが映画「津島」制作の原点である。
2021 年春から、私は陳述集に登場する原告たちを訪ね歩き始めた。横浜から福島まで車で往復し車中泊を繰り返す、ほぼ 10 カ月がかりのインタビューの旅だった。
“津島”は、人口約 1400 人の問題に終わらない。「多数派の幸福、安全、快適さのために少数派を犠牲にする」在り方への、津島住民の“異議申し立て”であり“抵抗”だともいえる。そういう意味で、“津島の存在と闘い”は小さな一地域の問題ではなく、日本と世界に通底する“普遍的なテーマ”を私たちに問いかけていると私は思う。
「『フクシマは終わったこと、なかったこと』にされてたまるか!」。
映画の中で涙ながらに語る証言者たちの声の後ろに、そんな悲痛な叫び声を私は聞いてしまうのである。

【作品情報】
津島 -福島は語る・第二章-
2024年3月2日(土)より K’s cinema ほか 全国順次公開
配給:リガード
© 2023 DOI Toshikuni

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