ダイハツ生産停止 長崎県内にも影響 「乗り続けて大丈夫?」「新車は」 販売店は顧客対応に奔走

顧客対応に追われているダイハツ長崎販売本社=長崎市目覚町

 ダイハツ工業が認証不正により国内全車種の出荷を停止した影響が、長崎県でも広がっている。顧客からは「乗り続けて大丈夫か」「新車はいつから購入できるのか」といった戸惑う声が上がり、販売店は説明対応に奔走している。
 ダイハツ長崎販売本社によると、認証不正の第三者委員会による調査結果が公表された20日以降、問い合わせが相次いでいる。担当者は「お叱りも励ましもある。『自分の車は大丈夫か』という声が多い。安心して乗っていただくため、一件一件丁寧に対応したい」と話す。納車待ち客には生産のめどが立っていない状況を説明。購入キャンセルも出ている。さらに、書き入れ時の年始恒例「大初夢フェア」の中止を迫られた。
 長崎市の達利則さん(72)は「坂が多く、道幅も狭い長崎は小回りが利く軽自動車が便利」と同社製「ムーヴ」を愛用している。販売担当者から電話で状況や対応を説明され「心強い言葉を聞けて安心した」。ただ、来年7月の車検時に買い替えを考えていたが「生産停止が長引けば、他社の車も考えないといけない」と先を案じた。
 県は、同社と自動車部品などの取引がある県内企業を約10社把握しており、影響がないか情報収集している。
 東京商工リサーチによると、県内の取引先は11社と全都道府県では少ない方。「生産停止が長期化すると、周辺業種にも影響が広がり、ダメージは大きくなる。新型コロナウイルス禍で業績が回復途上の企業は、生産停止の余波が資金繰りを直撃する可能性もある」として支援や補償体制の整備を提言する。
 全国軽自動車協会連合会によると、長崎県の軽自動車保有台数(昨年末現在)は約51万台で、1世帯当たり0.82台は全国26位。昨年の軽自動車販売台数をメーカー別に見ると、県内はダイハツが8497台で1位だった。

© 株式会社長崎新聞社