長崎工業高 生徒に工業系アルバイトを紹介 キャリア教育と地元企業のPRに活用

製品の洗浄作業を補助する大渡さん(左)=西彼時津町久留里郷、滲透工業

 長崎県立長崎工業高は、長期休業期間を活用した生徒の新たなキャリア教育を進めている。長崎市近郊の工業系企業からのアルバイト情報を進路指導部が窓口となり、生徒へ紹介。生徒側は就労体験しながらキャリア意識の向上を図り、企業側にとっても働き手不足の解消や自社のPRにつながると好評だ。
 本年度から開始。同校の試みが話題となり、企業からのアルバイト情報は夏季の1件から冬季は12件に増えた。製造業や建設業が多く、このうち5社で計6人が雇用契約を結んだ。春季は募集中という。
 機械システム科2年の大渡乃愛さん(16)は滲透(しんとう)工業(西彼時津町)で働いた。同社はチェーンやネジなど金属の耐摩耗性を強くする「金属表面改質処理」で独自開発の技術を持ち、さまざまな製造現場から部品の処理を依頼される。
 25~27日の午前8時から午後5時まで勤務。研究室での自動車部品の品質管理や工場での燃料電池向け製品の洗浄作業補助などを体験した。もともと自動車に興味があり、「周りの人が温かくて働きやすかった。間近で仕事を見ることができて学ぶことが多い」と振り返った。
 同社の長崎工場長、増村哲洋さん(47)は、学校で習った知識を生かせる業務を中心に仕事を任せた。「学生の自由な発想が新たな気付きを与えてくれる。女性のエンジニアはいないので、貴重な経験になった」と効果を実感していた。

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