来年1月16日(火)東京・新宿FACEにて『Sareee -ISM Chapter III』を開催するSareeeが大会PRにプロレスTODAY編集部に来社。
全米No.1のプロレス団体のWWEを退団してから約半年が経過し、今回の自主興行が早くも3回目となる『Sareee -ISM』。
前2回の新宿FACE大会も満員のファンとなるこの大会の魅力を、他ならぬ本人に直撃。
また帰国初戦の一騎打ちで惜敗した橋本千紘(センダイガールズプロレスリング)へのリベンジマッチや、大会プロデューサーとして各試合の見どころ、そしてレジェンド女子選手への想いを語ってもらった。
『Sareee -ISM Chapter III』
日時:2024/1/16(火)開始:19:00~ (開場 18:00~)
会場:東京・新宿FACE
①『Sareee -ISM Chapter III』自主興行3度目の開催について
――来年の1月16日、新宿FACEにて行われます『Sareee -ISM』としては、なんと3回目になります。
そうですね。
――しかも毎回、満員のお客様が来られて。
そうなんですよ。
――改めてSareee選手の雄姿をお客さんが待っているという部分を感じます。
ありがとうございます。
――今回第3回を迎えるという部分ではどんな感想をお持ちですか。
そうですね。私、日本復帰してもっと経っているのかなと思っているんですけど、実際は半年くらいしか経ってなくて。その間に第1回、第2回とも成功で終わらせていただいて。まさかこんな短期間で3回目ができるとは思ってもいなかったですね、復帰当時は。
――そうなんですね。
もう本当にどうなるんだろうという感じで。自分自身、約3年ぶりの日本のリングだったので「みんな、どうなのかな。待っていてくれてるのかな」とか不安は正直あったんですけど、嬉しいですね。本当にありがたいです、ファンの皆さんには。
――第1回はご祝儀的にいっぱい集まってくれるというのはあるんですけど、2回目も含めて超満員でした。
2回目はKAIRI選手とのドリームタッグだったので。
――あの試合も見ていて本当にワクワクしました。
ありがとうございます。
――そして第3回もすでに売れ行きも好調だという部分もあると思いますけども。
そうですね。チケットをストアで販売しているんですけど、売ったら開始2分でカウンター席完売みたいな。
――すごい。
本当に皆さん、一生懸命に時間に合わせて取ってくださったと聞いて、本当に感謝しかないです。
――なぜここまで支持されているのか自己分析は、何かあったりしますか。
何なんですかね。全然分からないです。
――もしかしたら「闘いの本質を見せたい」とSareee選手が発言したように、キラキラした闘いだけじゃなく、激しい試合スタイルという皆さんが求めているものを『Sareee -ISM』が提供できているんじゃないかなと思うんですよね。
それだったら最高に嬉しいですね。そう思って皆さんが来てくださっているなら。
――メインイベンターとして最後に登場するのってどんな気分ですか。
もう自分が主役だと思って、堂々と行っていますね。
――プレッシャーみたいなものっていかがですか。
プレッシャーですか。プレッシャーとはまた何か違った感じなのかな。プレッシャーというよりも、とにかくやらなきゃという使命感になった気がしますね。3年前とはやっぱり何かちょっと違います、試合に対する気持ちというか。前はやっぱりプレッシャーだったり、絶対に負けられないというのは当たり前なんですけど。団体も背負っていましたし、何かそういうプレッシャーみたいなものに押し潰されそうになったり。見せないですけど、試合前は実際そういうものにナーバスになったり、ありましたけど。今はそんな風になっている場合もないので。プロデューサーとしてもそうですし、守ってくれる人もいなければ、すべて自分の責任なので。そういう面では強くなったなと思いますね、本当に。
②帰国第1戦のリベンジマッチとなる橋本千紘戦について
▼メインイベント
Sareee (Sareee-ISM) vs 橋本千紘(センダイガールズ)
――凱旋大会となった『Sareee -ISM Chapter I』での橋本千紘戦、今回はそのリベンジマッチが組まれました。その橋本千紘戦についての感想の前に、橋本選手から結構辛辣な発言がありました。
めちゃくちゃ言われましたね。なんなんだよってくらい。
――でも1番火を付けやすいワードを、あえてチョイスしてきたと思うんですよね。
そうですかね。そうなのかな。
――『お前はただのカワイイ女子レスラー』みたいな発言は、Sareee選手って昔からそういうの1番言われたくない言葉じゃないですか。だからこそ、あえてそのワードを持ってきたと思うんですよね。それについてはいかがですか。
復帰1戦目に橋本とシングルをして、自分の中ではやっぱり今までライバルとしてお互いに2つのベルトを賭けてやったりしてきて、本当にライバルだったんですよ。どっちが勝つか負けるか、みたいな闘いだったのに、今回もそうなるんだろうなと思って挑んだ5月の大会が、私の中ではかなり差をつけられたなという印象だったというか、体感したんですよ。プロレスってこんなにきつかったんだ、こんなに苦しいんだってくらい。本当に初めてってくらい試合中に苦しかったし。
――そこまでの差は感じませんでしたが、試合後にもそういう言葉が出ていましたね。日本とアメリカの闘いの違いみたいなものもあったのかも分からないですけど。
やっぱり悔しいですけど認めざるを得ないというか。自分の中でそういう悔しい思いを持ってこの半年間やってきたので、もうここは橋本千紘にリベンジ。もう1回闘いたいとシンプルに思って、このカードを組ませてもらいましたね。シンプルですね。ただ単にリベンジしたい。勝ちたいし、このままじゃ終わらせたくないし。橋本千紘にもやっぱり舐められているじゃないですか。蓋開けてみたら、やっぱりそう思っていたんだなと思いますし、これは本当に1回ぎゃふんと言わせなきゃいけないなと思います。
――Sareee選手と橋本選手の試合は常にスイングするし、スリリングな部分を僕ら観客としても見せてもらっているので非常に楽しみなカードです。チーム200キロとしてタッグでも戦績を残し、シングルプレーヤーとしても日本のトップを走る橋本選手。そしてSareee選手自身もSEAdLINNNGでシングル王者にとして、帰国第1戦とは違うバリバリのSareee選手が戻ってきていると思っています。
本当にそうなんですよ。そこを舐められているなと本当に思ったので。やっぱり私的にはもう橋本千紘 vs Sareeeといったら正々堂々闘うというもので考えていたので。リベンジしたいとシンプルに言ったものをあんな風に返されるとは、まさか思わなかったですね。橋本千紘にそんなことを言われる日が来るとは思わなかったので。1番言われたくない言葉を言ってきたなという。
――ある意味、心理戦を仕掛けてきているんでしょうね。
そうですかね。自分は怒りしかない。そんなの通用しないですよね。言っていいこと、悪いことがあるだろっていう感じですかね。
――岩田選手にもそういう挑発をしてきていますからね。
失礼にもほどがありますよ。私は勝ってますから、仙女のチャンピオンに。
――そういう意味では改めて橋本選手に実力を示していくということですね。
あとはやっぱりもう今までのSareee vs 橋本千紘とはまったく違った闘いになるんじゃないですかね。
――なるほど。新章に突入すると。
そうですね。もうライバル関係も終わらせるとか言われたし、そんな軽いものなんだっていう、こっちからしたら思いますね。
――新たな闘いの扉が開く瞬間を見られるかもしれないですね。
そうですね、はい。
――Sareee選手にとってすごく重要な一戦だと思うので注目したいと思います。
意地でも勝ちますね、この試合は。
――第1回のときとは発言の趣旨が違ってきているので、その辺りはひしひしと今伝わってきました。
➡次ページ(各試合の見どころを大会プロデューサーとして解説)へ続く
③各試合の見どころを大会プロデューサーとして解説
――その他にもすごくいいカードが揃っていますので、ここからは大会プロデューサーとして解説をお願いします。
▼タッグマッチ
桃野美桜(Marvelous) & 川畑リコ(Marvelous)
vs
稲葉ともか(JTO) & 稲葉あずさ(JTO)
――ではまず桃野美桜&川畑梨瑚 vs 稲葉ともか&稲葉あずさ姉妹とのタッグマッチについてお願いします。
まずマーベラス勢の桃野選手と梨瑚選手なんですけど、桃野美桜選手はこないだマーベラスのチャンピオンにもなっていましたし。私がアメリカに行っている間に本当に成長した選手だなと思いますね。一気にライバルのところまで来たというか。すごく小さいけど、その小ささ、すべてを武器にして闘っている。プロレス大好きが伝わる、気持ちのいい選手だなと私は思います。
――勝利への執念をすごく感じるというか。
感じますよね。気持ちいいですよね。
――そこは応援したくなるタイプの選手です。
でも、まだまだ超えさせないぞという思いはありますし。すごくいい選手なので。2回目も出てもらったんですけど、また引き続き出てもらいたいなと思って。あと川畑選手も戻ってきてからシングルで闘っているんですよ。
――タッグのベルトも最近獲って、すごく成長しましたよね。
すごいですよね。全然違いますよね、前と。本当に強いし、蹴りも的確に当たるし。すごくいい選手になっているなと思いました。
――顔つきもだいぶ変わってきましたね。プロとしての自信がすごく出てきているんだろうなと。
分かります、はい。やっぱり魂持ってますよね。そんな2人と、この稲葉姉妹なんですけど。やっぱり稲葉ともか選手って空手をずっとやってきた子で、本物の蹴り。女子プロ界の業界一の蹴りを狙える選手じゃないですか。キャリアも、昔もシングルをやったことがあるんですよ。そのときもやっぱりすごくいいものを感じたし、がんばってほしいなとシンプルに思いますね。もっともっと前に出てほしいです。キャリアももう積んできていますし。蹴りに対しては本当に自信、プライドをもっている選手だと思うので。もっともっといってほしいですよね。
――上を目指して、もっといってほしい。
本当に上を目指してほしいです。川畑梨瑚なんて同世代だと思うし。蹴りを得意としている選手として、やっぱりここは姉妹でがんばってほしいですよね。
――妹さんも先日プロレスTODAY編集部に来てもらいましたけど、負けん気強いですよ。まずお姉ちゃんに絶対勝ちたいと。お姉ちゃんに負けたくないと。
それはいい。一緒だ(笑)。
――Sareee選手の家庭とも同じで、Sareee選手も2番目のお姉ちゃんにだいぶやられてきたそうですね(笑)。
そうそう、確かに。15歳とかですよね。まだ中学卒業して。私も一緒なので、すごく応援したくなるというか。このSareee-ISMをきっかけに初めて見る選手とか、お客さんもいっぱいこの2人のことを見る人もいると思うので、やっぱり印象付けてほしいですよね。姉妹でプロレスやっているってめちゃくちゃ羨ましいし、すごいじゃないですか。
――なかなかないですよね。
はい。だからすごく期待していますね。
――紫雷姉妹とあとは東京女子の爆れつシスターズも姉妹で活躍されましたね。Sareee選手もお姉ちゃんと一緒にプロレスやりたかったですか。
やりたかったですね。ボコボコにしたかった(笑)。できないですからね、今。
――今はもうプロですからね。普段では全然見られないカードだと思うので、すごくそこは興味深いですね。
稲葉ともか選手は本当に私、期待しているので。これをきっかけにもう一皮剥けてほしいなと思いますね。
▼シングルマッチ>
彩羽匠(Marvelous) vs 高瀬みゆき
――彩羽匠(Marvelous) vs 高瀬みゆきのシングルマッチですが、いかがでしょうか。
これもめちゃくちゃいい試合になるんじゃないかなと思います。彩羽匠選手も私のライバルなので、やっぱりシングルマッチをあえてここで、ライバルのシングルをもってきたというのも、同じ対戦カードじゃないけど、でもやっぱりここも闘いだと思っているんですよ。どっちが見せられるか、というか。そういう面では彩羽選手も思っていると思うし、こっちも意識しますね。比べられると思うし。
――これは比べられますよね、高瀬選手も今やどのリングにも引っ張りだこです。
すごいですよね。自分も3回とも全部出てもらっています。熱い闘いをしてくれるんですよ、本当に。素晴らしいですよね。
――会場を元気にしてくれるというパワーも持っているし、火付け役としてもすごくいいものを持っていらっしゃるなと。
欲を言えばもうちょっと出してほしいですね、全面に。遠慮がちというか、ちょっとあるじゃないですか、たぶん。
――勝負に対する執念?
そうですね。だからやっぱりこの試合も本当にお互い負けたくないというか、高瀬は本当に彩羽に勝つ気でいってほしいですね。
――高瀬選手が勝ったら、会場はすごいですよね。
彩羽、何やってんだって自分からしたら思いますけど、ふざけんなと思うけど、でもそれくらいやっぱり高瀬選手にはいってほしいですね。
▼タッグマッチ
伊藤薫(伊藤道場) & 中島安里紗(SEAdLINNNG)
vs
柊くるみ(プロミネンス) & ウナギ・サヤカ
――そしてタッグマッチでは現在パートナーを組んでいる中島安里紗選手と、そして師匠である伊藤選手。この2人がタッグを組んで柊くるみ&ウナギ・サヤカ。これも面白いカードだなと思いました。すごいカードになりましたね。
ミックス、ミックスみたいな、めちゃくちゃなカードっちゃカードなんですけどね。まず、伊藤さんにはやっぱり出てもらいたいので。師匠として普段からずっと支えていただいているので。その中で中島安里紗もやっぱり出てほしいなというか。ああいうガツガツする、あんな人いないじゃないですか、なかなか。だからそう思ったときに、呼びたい人を組み合わせたときにこのカードになったという。よく分からないんですけど。
――当てはめたらここになっちゃったと。
正直、そんな感じのカードです。
――でもやっぱりここに柊選手とウナギ・サヤカ選手が対戦相手にいるというのも、すごく面白いなと思います。
柊くるみ選手は体がでかいのに、めちゃくちゃ動けるじゃないですか。好きなんですよ、自分。でかくて動ける選手、すごくパワフルじゃないですか。めちゃくちゃいいなと思っていて、くるみ選手にはぜひ参戦してほしいなと思っていたのと、伊藤さんと闘ってほしいなと思っていたんですよ。
――伊藤選手との肉弾戦がすごく面白そうですね。
そうなんですよ。パワーファイターが自分、結構好きなので。
――肉弾戦の激しいやつ。
それをちょっと見たいなと思って。ウナギ選手なんですけど、ウナギ・サヤカ、今いろいろなところで話題を振りまいていますよね。
――引っ張りだこですね。そして自分からすぐ。
すぐ突っかかっていくし。何だよこいつ、と思って。でもやっぱり自己プロデュースが本当にずば抜けていますよね。
――すごいですね。自分の価値をさらに高めてやるみたいな、そういう気持ち。
やっぱりそういう面では本当にすごいなと思いますよね。でも自分がいつも言うのは、1番プロレスラーとして大事なことってやっぱり私が思うにはリング上だと、当たり前だと思うんですよ。でもウナギとはそこの価値観が合わないと思うんですけど、でもそういうプロデュース力だったり、そういうのはものはすごいなと思うし。お客さんも持っていますからね、ファンの人数も。ここはウナギ選手には私の師匠の伊藤薫選手と、そして頭のおかしい中島安里紗と、ちょっと試練ですよ、ある意味。
――これは試練ですね。伊藤選手もダイビングフットスタンプ準備していますよね。
本当に。そこを避けて通れないんだぞというところを感じてもらいたいですね。ここでやっとウナギがどう出てくるか、どう見せるかで、ウナギ・サヤカの評価って爆上がりすると思うんですよ。ここでもしウナギが何かミラクルを起こしたら、もう認めざるを得ないですよね、みんなが。
――ウナギ選手が最後まで気持ちを維持できるか、すごく大事な闘いですよね。
本当にそうですね。だからそれ次第で今後、自分はウナギに対しての対応が変わってきますので。ちょっとまた何か突っかかってくると思いますけど、楽しみにしてるぞって思います。もう中島さんと伊藤さんにはバンバン、ボコボコにいってもらいたい。プロレスの厳しさを教えてあげてくださいっていう。
――とても最適な2人だと思います。
これ以上にない2人じゃないでしょうか。
――いないですね。
▼タッグマッチ
ジャガー横田(ワールド女子プロレス・ディアナ) & アジャコング
vs
Chi Chi(Evolution) & 田中きずな(WAVE)
――そして女子プロレジェンドとしてのジャガー横田選手、そしてアジャコング選手のタッグに、Chi Chi選手と田中きずな選手のヤングジェネレーションがぶつかっていきます。これまたすごいカードを組みましたね。
ちょっとひどいと思われるかもしれないんですけど。でもこれはもう、ジャガーさんとアジャさんとなんて、そうそう当たれることないですよ。羨ましいくらいです、私も。
――この2人が組んで、しかも対戦できるというのは本当にないですよね。
Chi Chiときずなちゃん、すごく仲がいいみたいですね。同期で仲良しみたいなので、ちょうどいいんじゃないですかね。
――きずな選手もいろいろと経験を積んで、自分のプロレスというのが少しずつ見え始めてきたかも知れません。
やっぱり今、ぐんと成長する時期だと思うので、2人とも。本当に楽しみだし、あとやっぱり気持ちで負けないですよね。試合を見ている限り。Chi Chiもきずなちゃんも。
――きずな選手は普段インタビューをしているときは、ちょっと自信なさげなんですよ。でも、いざリングに上がると覚悟を決めて、しっかり頑張っています。
顔が変わるというか、2人とも。
――相手がレジェンドであろうが何回もドロップキックやりに行きますしね。Chi Chi選手も本当に気が強いですね。
めちゃくちゃ気強いです。あとがんばり屋です。自分、実は一緒に練習とかたまにやっているんですけど。たまにと言っても何回かしかやってないんですけど。すごく自分から『教えてほしいです。もっとこうなりたいし、こういうのを習いたい』とか。なかなかそんなこと、教えてもらいたくても言ってくる人っていないじゃないですか。Chi Chiは自ら『一緒に練習をお願いできないですか』とか言ってきてくれて。私は教えたいし、そんな熱い思いを持っている子なんだったら、何でも教えてあげたいなと思うので。本当に期待していますね。
――Evo女というのが3人でスタートして、今は2人になってプロレスの本質みたいなものをSareee選手からもっといろいろ学びたいというところがあるんじゃないですかね。
そうみたいですね。やっぱり他団体とかにいっぱい出るようになって、Chi Chiも自分で不甲斐ないと思うこととかいろいろあるみたいで。それをやっぱり自分で分かって、教えてほしいと言ってくる勇気というか、それは素晴らしいなと思います。
――そういうプロレスに対する真摯な姿勢みたいなのが、これからの活躍に跳ね返って来そうですね。尚且つビジュアルもやっぱりいいので、これから伸びしろがすごくありそうな感じですよね。
ないキャラですもんね。
――今までの中ではあまりいないタイプの選手だったので、最初は大丈夫かなって思いました。
自分も思いました。初めてシングル、自分も帰ってきて何戦目かで。大丈夫かなと思ったんですけど、もう全然気持ちが強くて。髪の毛とか思いっきり引っ張られて、こっちが引っ張ってるのに、もう離さないみたいな。この子、大物になるなと思いましたね。
――そういう人だからこそ、こういうレジェンドとの素晴らしい対決を組んだということですよね。
そうですね。
➡次ページ(レジェンド女子/ジャガー横田・アジャコング・伊藤薫 参戦について)へ続く
④レジェンド女子(ジャガー横田・アジャコング・伊藤薫)参戦について
――今回、Sareee選手といえばジャガー選手や井上京子選手、そしてアジャ選手との闘いも通じて、いろいろなレジェンド選手にいい意味でのかわいがりを受けてきた。そして直系の系譜を、しっかりと芯の通った部分を持っていらっしゃる。そういう選手だからこそレジェンドの皆さんもSareee-ISMに出てくれるというところがあると思います。今回はレジェンド女子について1人ずつのコメントをいただきたいなと思います。
▼ジャガー横田
――まずはやっぱりジャガー選手。いまだに伊藤選手のフットスタンプもそうですし、この間もストロングスタイルプロレスでも初代女子タッグ王者のベルトを巻いたんですよ。もう本当にびっくりしました。しかも結構ボコボコにやられても。
ジャガーさん、受けるんですよね。
――受けるんですよね。
やっぱり体が細いというか、でかくない。レジェンドの人って大体ドンとしているから。
――肉付きのいい人が多いですから。
ジャガーさんはやっぱり軽いのでポンポン投げられたりされますからね。
――それでも場外へ飛んだりとか、後半になってそれをやったりするのを見ると本当にすごいなと思って。
超人ですよね、本物の。
――年齢からは信じられないような動きを見せるジャガー選手をSareee選手はどういう風に見ていますか。
いやもうジャガーさんは神様ですね。本当にすごいです。尊敬できますね。人としてもプロレスラーとしても、話したりいろいろなアドバイスもいただくんですけど。
――アドバイスみたいなのもいただくんですか。
そうなんですよ。すごくかわいがっていただいていて。
――『Sareee、こうした方がいいよ』みたいな。
そうそう。間違っていることはちゃんと違うんじゃないと言ってくれるし、むしろいいこととかはめちゃくちゃ褒めてくれるんですよ。
――褒め上手なんですね。
褒め上手だと思います。『いつもがんばってるね』とか。アメリカにいるときも、たまにジャガーさんに報告とか、お誕生日とか例えば言ったら、すごく長い文章で『誇りだよ』とか『がんばってね。帰ってきたら会えるのを楽しみにしているよ』とか。本当にジャガーさんには勇気づけられましたね。今もそうですけど。
――最後の弟子じゃないけど、そういう繋がりでしょうか。
孫みたいな。伊藤さんの先生で、師匠で。自分は伊藤さんから教えていただいたので、ジャガーさんから直接プロレスを教えてもらったことはそんなにないんですよね。試合の中とか、何回か練習でとかはあるんですけど。
――そういう部分で、年の離れている孫弟子みたいなところを踏まえて優しく見守ってくれているような大きな存在なんですね。
本当に温かいです。ジャガーさんは本当に温かい人だなと思います。
――なるほど。
あとこないだ膝をちょっとジャガーさんが痛めちゃったんですけど、でも休まず普通に試合に出るんですよ。
――鉄人ですね。
でも誰にも言わないというか、びっこ引きながら試合とかしていて。今の子だったら普通に休むと思うんですよ。それくらいのレベルの怪我をされているのに、おっしゃらない。『もう決まっている試合だから』と言って。2連戦だったんですよ、それも全部やっているんですよ。やっぱりさすがだなと思いましたね。
――普通だったら1か月に1回とか、そういうレベルの存在ですよね。
試合、10試合とかしますから、1か月。誰よりもしていますよ。地方行って、どこ行って。
――しかも求められる動きをいつもされて、最後に勝利で見せるみたいな。
勝ちますからね、最終的に。
――本当に頭が上がらないというか。もう見ている我々も「すごい」しか言いようがないので。
すごいですね。『膝だから』みたいな感じなんですよ。『いつできなくなるか分からないから、この年じゃ。こんな膝くらいじゃやるよ』って。すごいなと思って。
――Sareee選手がジャガーさんの年齢までできるかどうかって、なかなか分からないじゃないですか。でもそういう先駆者がそういったことでやられているので、本当に女子プロの生き字引というか、スーパーレジェンドですね。
ジャガーさん、本当に一生レスラーでいるんじゃないかってくらい。
――本当にそう思います。
▼アジャコング
――そして、アジャコング選手。大きな壁となってSareee選手が成長を遂げてくるときに1番試練を与えられました。
与えられましたね、アジャさんには。やっぱり京子さんからベルトを獲って、やっとシングルのベルトを巻けて、ここから自分がというときに目の前に立ちはだかったのがアジャコングさんという。もうそこで一発で負けて、ベルトと。
――自信も失って。
自信も失って、ボロクソに言われて。そこからデスマッチ的な何でもありみたいなので血だらけにされて動脈が切れて大変でした。
――プロレスラーとしての覚悟みたいなものを教えてもらったって感じですか。
本当にそうですね。覚悟ですね。
――プロレスラーとして本当にやっていくのか、みたいな。
本当にそうですね。トップに立てるのか、じゃないけど。でも本当やっぱりアジャさんを倒してからじゃなきゃ、自信を持って私は女子プロレス界のトップだって言えないなと思ってましたね、その頃から。それを超えたということで、超えられたかどうかは分からないけど、でも結果としてアジャコングさんに勝ったという、この勝利はやっぱり1番と言っていいくらい自信になったし。大きいですよね。
――アジャ選手は知名度もあるし、体力的な部分での一発勝負の部分では本当にものすごい力を発揮する。あのバックドロップも強烈です。
首、吹っ飛びますから。やばい。これからも、伸び悩んでいる、1歩先に行きたくても行けないっていうような悩んでいる選手はぜひアジャさんと対戦してほしいです。何か感じられると思う。
――なるほど。
ボコボコにされてズタボロになると思うけど、でもそこで見えてくるものって、絶対にアジャさんから学ぶものがあるので。それくらい大きい存在。プロレス界において。なので私はやっぱりアジャさんを通るべきだと思います。
▼伊藤薫
――そして最後に、師匠である伊藤選手について一緒に行動もされていますよね。
今、伊藤さんも道場とかやられていて、いろいろ大変だと思うんですけど。自分自身、練習場とかもやっぱり伊藤道場があるから、今自分も不自由なくリングで練習ができて。いつでも使わせていただいて、本当に感謝ですね。やっぱりフリーの立場からしたら、練習場がないってことが1番。相手がいない、1人じゃないですか。そういう悩みというものがなく、『いつでも道場を使っていいよ』と言ってくださって。試合でどうしたらいいんだろうなって悩むときとか、いまだにあるんですよ。技とかも、どうなんだろうな、これとかって思うことも伊藤さんに何でも相談できるという方がいるだけでも本当に心強いですね。師匠でもあり、母のような存在でもあり。
――精神安定剤。
精神安定剤かは分からないですけど、本当に支えてもらっています。
――伊藤選手がそばにいるだけで安心感みたいな、やっぱり違いますか。
ありますね。会場に伊藤さんがいるだけで、何かあったときに助けてもらえるというのは。
――みんなにかわいがられたから今のSareee選手が出来上がったということですね。
⑤現在の女子プロマット界について
――そして、Sareee選手はWWE退団から約半年が経過しました。現在の日本の女子プロマット界をSareee選手的にはどういう風にご覧になっていますでしょうか。
そうですね。女子プロレス、どんどん盛り上がってきているんじゃないですかね。最近すごく感じるのが、売店に小さい女の子たちが増えたなと。プラスアルファ、プロレスラーになりたいという子がめちゃくちゃ多いんですよ。
――会場にお子さんも増えてきましたか。
はい。自分の姪っ子もそうなんですけど、プロレスラーになりたいって言って。2年生なんですけど。
――やっぱりお姉ちゃんを見て憧れているのでしょうね。
今、伊藤道場で練習しています。もうプロレスに大ハマり、今。すごいです。めちゃくちゃ自分より詳しいです。
――WWEも子供のファンが多いですね。子供のファンって実は将来のファンになって、ファン層を広げてくれるという意味でもすごくいいですよね。
すごいですよね。本当に多いですもん、『プロレスラーになりたいんです』と言って売店に来てくれる子とか。これはもうすごいことですよね。前ではちょっと考えられなかったことじゃないですか。一時期、全然いなかったですよ、女性。
――本当にそうですね、子供も本当にいなかったですね。
いなかったですよね。今はとにかく子供が多いってイメージです。あと、やりたいっていう子が多い。小学生くらいの子たちが。
――そういう部分では、本当に女子プロ界の未来という部分ではすごく良くなりそうな気がしますよね。
もうワクワクします、そういう子を見ると。
――会場でも子供の声で『Sareee、がんばれ』とかそういう声も新宿FACEなんかでも聞こえるし。
そうなんですよね。でもやっぱり、だからこそ今、私たち現役の女子プロレスラーたちがしっかり女子プロレスというものを作っていかなければいけないなと思いますね。その子たちのためにも残さなきゃいけないし、もっともっと盛り上げてないといけないですよね。夢見てくれている子たちのためにも。
――子供たちのファン層の拡大みたいなのは楽しみですね。
楽しみです、本当に。あと今年は、自分の中で復帰して、帰ってきて半年ちょっとしかあれですけど、土台作りの年だったのかな、という感じで自分の中で考えていて。来年はもっともっと本気出していきたいなというか。本気だったんですけど、もっと本来のSareeeというか、溜まっていたもの、今溜めているものを爆発させたいなというのがあります。来年はもっともっとジャンプアップ、飛躍する年に必ずしたいと思っていますね。闘いたい相手もいっぱいいますし、まだまだ。
――確かにぶつかっていない人もまだまだいっぱいいますもんね。そういう部分ではやっぱりSareee選手と闘うドリームマッチみたいなのは、日本マット界にはまだまだゴロゴロ残っていますし。やっぱり世界を知るSareee選手だからこそ日本の、女子プロレスのステータスをワンランク上げられるような動きもあってほしいなと思います。
⑥大会へ向けてメッセージ
――最後に、大会に向けてのメッセージをお願いいたします。
はい。2024年1月16日、必ず本当にSareee-ISMを見てくださった人には絶対に後悔はさせないので。本当にぜひ皆さん、私の橋本千紘へのリベンジを目に焼き付けてほしいです。そしてこの大会で橋本千紘に勝って、来年はもっともっともっと爆発していきたいです。Sareeeを全面に出していきたいです。
――ありがとうございました。
インタビュアー:山口義徳(プロレスTODAY総監督)
『Sareee -ISM Chapter III』
日時:2024/1/16(火)開始:19:00~ (開場 18:00~)
会場:新宿FACE (東京都)
<対戦カード>
▼メインイベント
Sareee (Sareee-ISM) vs 橋本千紘(センダイガールズ)
▼タッグマッチ
ジャガー横田(ワールド女子プロレス・ディアナ) & アジャコング
vs
Chi Chi(Evolution) & 田中きずな(WAVE)
▼タッグマッチ
伊藤薫(伊藤道場) & 中島安里紗(SEAdLINNNG)
vs
柊くるみ(プロミネンス) & ウナギ・サヤカ
▼シングルマッチ>
彩羽匠(Marvelous) vs 高瀬みゆき
▼タッグマッチ
桃野美桜(Marvelous) & 川畑リコ(Marvelous)
vs
稲葉ともか(JTO) & 稲葉あずさ(JTO)
※メインイベント以外の試合順は当日発表。