博物館の現状「危機的」 科博館長、存在感向上へ連携模索

インタビューに答える国立科学博物館の篠田謙一館長

 8~11月に行ったクラウドファンディング(CF)で9億円を超える寄付を集めた国立科学博物館(東京都台東区)の篠田謙一館長が28日までに共同通信のインタビューに応じ、国内の博物館が置かれた現状について「職員の雇い止めや収蔵庫の不足など、危機的な状態まで来ている所は多い」と強い懸念を示した。

 科博は今回、コロナ禍や燃料費高騰が重なり、標本の収集や管理という博物館の業務自体が立ちゆかなくなるとの理由でCFを実施。篠田氏は、3月末に予算が30万円しか残っておらず、突発的な設備の故障などが起きたら対応できなかったと明かした。「今年の研究費をゼロにし、光熱費を落とせば生きていけたが、それは博物館として生きているのか。そういうレベルのところでCFに踏み切った」と語った。

 CFは初日で目標額の1億円を達成。その後も寄付金は増え「初日で見える風景が変わった」。「皆さんからさらに支援していただいていることにどう答えるのか。科博だけで使っていい話ではないと考え始めた」と述べ、他館との連携を検討中だとした。

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