アルビノのモデルがコンプレックスを受け入れるまで 「個性を活かしたい」盲学校での出会いが前を向くきっかけに

アルビノ(白子症)は、からだの色素が生まれつき不足している状態です。
原因は、メラニン色素を作る遺伝子が働いていないことです。視力障害を伴い、大人になっても視力は眼鏡をかけて0.1~0.2程度といわれています。

さくら(@sa_kura3019)さんは、高校を卒業した18歳の頃からアルビノフリーモデルとしての活動を始めました。Instagramでは、モデル活動から日常生活までの様子を公開しています。

今回は、モデル活動などについて、さくらさんに話を聞きました。

モデルとしての活動について

さくらさん①(@sa_kura3019さんより提供)

ーフリーモデルとして活動しようと思ったきっかけを教えてください。
元々友達からモデルを勧められていました。
大学受験が終わった冬に、突然シャワーを浴びながら「私はモデルになる」と決意が降りてきたのです。今思うと、友達の言葉が心のどこかに響いていたのではないかと思います。
「アルビノとして生まれてきた個性を活かしたい」そんな気持ちでモデルを始めました。

ーご自身の活動の中で自分にしかない強みはどこにあると感じますか?
やはり、この白さであると考えています。白い髪に肌、まつ毛に、眉毛、おまけにグレーの瞳は、私にしかない強みです。
元々色素を持っていないこと、幼い頃から入念な日焼け対策をしてきたことから、肌は真っ白。この珍しい白さは、多くの人に周知されやすく相手の心を強くキャッチして印象に残すことがでます。
また、透明感溢れる髪型、表情は神秘的な儚さなど唯一無二の世界観を創り出すことができます。カメラマンさんからは、メイクもヘアセットもほとんどしないナチュラルな姿が好まれています。

さくらさん③(@sa_kura3019さんより提供)

ーモデルを始めてから何か気持ちの変化などはありましたか?
アルビノとして生まれた自分をより好きになれました。アルビノとして生まれ「きれいだね」とたくさんの人に言ってもらえることは幼い頃からとても嬉しかったです。
その一方で、見た目珍しさに劣等感を感じたり、周りから不思議そうに見られたりとコンプレックスに感じたことも少なからずありました。
しかし、モデル活動を通して、カメラマンさんやヘアメイクさんのお力のもと、美しい世界が完成します。撮影のたび、その写真を見るたびに、アルビノである自分に誇りを持つことができるのです。

アルビノとの向き合い方

さくらさん②(@sa_kura3019さんより提供)

ーご自身の持つアルビノについて今までどのように向き合ってこられましたか?
アルビノは先天性疾患であり、私も生まれた時から白かったため、改めて深く考えたことはありません。保育園の頃から、自分が日焼けしてはいけないこと、人と違うことは鮮明に認識していました。
そして小学生になると周りとの違いに嫌悪感を感じて、否定的に捉えていました。
アルビノの合併症である視覚障害の存在も大きく、何をやっても周りに追いつくことができない自分に自信をなくし諦めすら感じていました。

自信をなくしたさくらさんは、ひどい人見知りとなり、周りの人に話しかけられても頷くか首を振ることしかできなくなりました。
中学生になって盲学校に通ってからも殻に閉じこもっていましたが、盲学校での6年間が自分を変えるきっかけになったとのこと。
フレンドリーな先輩や先生方に囲まれて人と関わる楽しさを実感するようになったさくらさん。
それを機に前向きになり、部活動や学校行事で人前に立って話すなど積極性を発揮するようになりました。
そして、アルビノという個性を活かし、自分らしさを忘れずに活動をしていきたいと思うようになったそうです。

ーアルビノであることで日常で困ることはありますか?
合併症の視覚障害です。私は生まれつき視覚障害を持ち、視力は両目とも0.06程度です。
コンタクトや眼鏡をつけても矯正することができないため、5メートル先の人の顔ですら認識することができません。
今年度、大学入学を機に一般大学という健常者の世界に飛びこみました。大学から始めたダンスサークルでは、お手本の振りが見えず自分だけ振りが理解できなかったり、人の顔が鮮明に見えない分先輩や同級生の名前が覚えられず対人関係に悩んだりもしました。
当初は、視覚障害があることを周りに伝えることに抵抗がすらありました。
しかし、ありのままの自分を伝えるようになってから、友達自ら助けてくれたり、私の目の代わりになってくれるようになりました。優しい仲間に囲まれて、充実した大学生活を送ることができています。

ー同じようにアルビノを持つ人と活動をすることもあるようですが、同じアルビノを持つ人と関わることでどのようなことを得ることができますか?
困難がありながらも、それを感じさせないパワーで、夢を追いかけている姿に原動力をもらえます。私が出会ってきたアルビノの方々はみんな、自分の個性を受け入れ、前向きに生きている人たちばかりです。

これからに向けて

さくらさん④(@sa_kura3019さんより提供)

ー活動を続けていくことで、どのような人にどのようなことを伝えていきたいですか?
未来の自分へ不安を感じる人へ「自分を信じて」と伝えたいです。
「モデルになる」など、そう簡単に叶えられる夢ではありません。シャワーを浴びながら生まれたひらめきから、作品撮りやスタイリングモデル、ラジオ出演など、現在の活動に繋げることができるなんて思ってもいませんでした。思い立った当初、自分のひらめきを信じて行動にうつして本当に良かったです。

そんなさくらさんの好きな言葉は「人生何があるか分からない」。さくらさんが迷ったときには「どんな未来が待っているのか、分からないからこそ、毎日が楽しい!やるか、やらないかではなく、やるならどうやるかを考えてみる」と考えるそうです。

ー今後の目標について教えてください。
私の夢は、モデルとして雑誌の専属モデルやランウェイなどを歩けるようなプロモデルになることです。大きな目標は、東京ガールズコレクション。将来はモデル活動だけでなく、ドラマやバラエティ番組などマルチに活躍していけるようになりたいです。そして、たくさんの人にHAPPYな気持ちを届けらるような存在なりたいなと思っています。アルビノモデルとして、日本に新たな風を吹かせていきます。

自分を信じて未来へと突き進むさくらさん。今後の目標に向かってさらに活動を広げ、多くの人にHAPPYな気持ちを届けていくのでしょう。

今後のさくらさんの活動も楽しみですね。

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ほ・とせなNEWS編集部

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