94歳片岡さん 最後の大絵馬奉納 総社・神神社、10年間手作り

大絵馬を奉納した片岡さん(左)と白神宮司

 総社市八代の神(みわ)神社に、来年の干支(えと)・辰(たつ)にちなんだ竜の大絵馬が登場した。氏子の片岡禎司さん(94)=同市=が2015年の未(ひつじ)年用から毎年手作りして奉納。十二支そろえるのが目標だったが、高齢のため作業が難しくなり、10作目の今回が最後になるという。

 大絵馬は縦0.9メートル、横1.8メートル。大きな目の竜が「福来る」と書かれた宝玉を抱え、タツノオトシゴと向き合っている。絵の具やペンキでベニヤ板に描き、竹の額もお手製。10月下旬から約2カ月かけて完成させ、今月23日に納めた。

 世の中の平穏を祈るとともに、初詣客に喜んでもらおうと、作り始めたという片岡さん。干支の制覇はかなわないことになりそうだが「今回が1番の自信作。本物の竜がいないので何度も下絵を描き直し、完成させた」と満足げに話した。

 白神倫枝宮司(69)は「片岡さんの力作を見るために、あちこちから参拝客が訪れるようになった。ありがたい限り」とねぎらった。今後は総代が中心となって制作を続けていく考え。

 絵馬は来年末まで1年間展示される予定。同神社では初詣客向けに31日夜から石段や参道にあんどんをともし、菓子やお神酒を振る舞うことにしている。

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