「回覧板一つで終わらせようと…」自衛隊射撃場3人死傷"銃撃"事件その後 "中指立て"訓練再開中止に 住民から不信感も【2023年注目ニュース】

2023年6月、岐阜市の射撃場で元・自衛官候補生の男が銃を発砲し、隊員3人が死傷する事件がありました。「訓練を再開するための説明が足りない」と自衛隊に対する不信感を解消できない女性もいます。

ことし6月、岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場で起きた銃撃事件では、第35普通科連隊の菊松安親さん(52)と八代航佑さん(25)が死亡し、25歳の男性隊員が大けがをしました。

殺人の疑いで送検されたのは、当時自衛官候補生だった19歳の男。逮捕後の調べに対し「実弾を奪い、施設の外に行きたかった」という趣旨の供述をしていたということです。
男はその後、黙秘を続けていて、責任能力を調べるための鑑定留置が行われています。

事件の全容解明が進まないまま、半年が過ぎました。

(報告:吉田翔記者)
「岐阜市の日野基本射撃場です。事件から半年が経った今もなお、訓練再開の目途は立っていません」

11月6日に訓練が再開されましたが、20代の男性隊員が報道陣に向けて中指を立てるなどの不適切行為があり、訓練は再び中止に…。

(谷口直子さん)
「他に適当な訓練場所を見つけて移動してもらいたい」

岐阜市に住む谷口直子さんは、いまだに自衛隊への不信感が解消できないでいます。その理由は…。

(谷口直子さん)
「回覧板一つで終わらせようとしている。住民説明会を開くという話は一切ない」

陸上自衛隊は10月、訓練再開に先立ち、再発防止策などを説明しましたが、地元の自治会関係者向けで一般の市民は出席は認められませんでした。

谷口さんらは訓練が再び中止になった直後、一般の市民が参加できる住民説明会を開くよう守山駐屯地に要望書を提出しましたが、「再発防止策」ではなく「不適切行為」に関する説明が回覧板で回されたのみでした。

(谷口直子さん)
「住民説明会を開けば色んな意見が出る。自衛隊の考えや方針を説明するのが筋。訓練再開を波風立てずに進めようとしている。許されない」

陸上自衛隊は今後も説明会を開く予定はないといいます。

世間を震撼させた銃撃事件から続く不信感は消えるのでしょうか。

© CBCテレビ