茨城県文化財、新たに3件 絵画や古文書、民俗芸能

絹本著色阿弥陀如来来迎図(県教委提供)

茨城県教委は28日、県文化財保護審議会の答申に基づき、笠間市笠間の月崇寺(げっそうじ)所有の絵画「絹本(けんぽん)著色(ちゃくしょく)阿弥陀如来(あみだにょらい)来迎(らいこう)図(ず)」と、個人所有の古文書「税所文書(さいしょもんじょ)(山戸本(やまとぼん))」=県立歴史館に寄託=の有形文化財2件に加え、古河市の民俗芸能「中田永代太々神楽」を県無形民俗文化財に指定すると発表した。いずれも同日付。今回の3件を加え、県指定文化財は計697件となる。

月崇寺の絹本著色阿弥陀如来来迎図は、平織りの絹に描かれた斜め向きの金色の阿弥陀如来の立像。如来の肉身は白色下地に金泥を塗り、頭部からは光が放たれている。絵画として優れた作品で芸術的価値が高く、鎌倉時代の13~14世紀の制作と考えられている。

税所文書は国衙(こくが)の税務部局「税所」に勤めた氏族「税所家」に伝わった鎌倉初期から江戸期の文書群。年代順に折帖(おりちょう)3帖に分かれている。今回指定を受けた第2、3帖は中世と近世の文書計86点が収められている。全国的にも珍しい当時の徴税方法や税所家の姿などが分かる貴重な資料。第1帖は2015年に県指定となっており、全て県立歴史館に寄託されている。

中田永代太々神楽は起源は明確ではないが、神楽面の裏に1731年の墨書がある。神職らにより五穀豊穣(ほうじょう)、家内安全、社会の安寧のため奉納されたと伝えられている。1929年に保存会が結成され、伝承保存に努めている。演目は十二座からなり、毎年4月、雀神社(古河市宮前町)と鶴峯八幡神社(同市中田)の例大祭で演じられている。

税所文書(山戸本)第2帖(県教委提供)
中田永代太々神楽(県教委提供)

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