2024年始商戦の注目の1台『トヨタ・クラウン・スポーツ 』の新世代のハイブリッド

 2023年も軽自動車やハイブリッド車まで、多数のフルモデルチェンジ&マイナーチェンジの車種が登場しました。新車販売ランキングはトヨタ・ヤリスやホンダN-BOX、トヨタ・カローラなど「コンパクトで扱いやすい」モデルが上位を占めていました。

 ここでは、2023年に登場した国産の新型車モデルから、2024年商戦での注目車種をピックアップして紹介します。まずは、16代目となりバリエーションの拡大を図るトヨタ・クラウンシリーズの『クラウン・スポーツ』です。高い環境性能と楽しくパワーあふれる走りを両立した、完成度の高い1台です。

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■トヨタ・クラウン・スポーツ

■HEV:2023年10月発表/PHEV:2023年12月発表

 近年、クルマ造りを大胆に変えてきているトヨタ車の中でも、現行のクラウンシリーズは、大きな変化を実感できるモデルだ。なかでも『クラウン・スポーツ』と『クラウン・エステート』(2024年春頃の正式発売が有力)は要チェックだ。

 『スポーツ』と『エステート』は共にSUVボディに、FFシャシー(GA-K)&リヤモーター(E-Four)を組み合わせた電動AWDモデル。

 『スポーツ』は優れたハンドリング性能と上級プレミアムらしい良質な乗り心地が際立つ“走り”寄りなモデル。それに対して『エステート』は、ロングホイールベースの利点を活かした、室内と荷室の余裕を売りにするユーティリティを武器にするモデルと、2台は上手に棲み分けできている。

 パワートレインは、両モデルとも2.5リッター直4ベースにE-Fourを組み合わせたHEVとPHEVを用意する。発売前の『エステート』は想像の域に留まるが、発売済みの『クロスオーバー』と『スポーツ』からして、“良質な走り”という最新クラウンに共通する魅力も期待できる。

 『スポーツ』を掘り下げていこう。HEVの『SPORT Z』は車両本体価格590万円(税込)、PHEVの『SPORT RS』は車両本体価格765万円(税込)をの設定。両車を比べると、PHEVはボディと足まわりが強化され、キャビンまわりもレッド内装&スポーツシートにアップデートされる。実用装備面においては、両車ともにトヨタセーフティセンスやディスプレイオーディオプラスなどが標準装備されるなど、大きな差はない。

2022年に発売されたクロスオーバーに比べると、ボディサイズは少し小さくなったが、5ドアHBを採用したことで迫力感は増した印象。見た目からしていかにも走りそうな気配が漂う。
トヨタ・クラウン・スポーツ
トヨタ・クラウン・スポーツ
インパネはディスプレイなどの各種機能をひとくくりにして配置するアイランドアーキテクスチャーデザインを採用する、最新クラウン共通のデザイン。
トヨタ・クラウン・スポーツ
後席も十分なスペース。荷室も容量は397リッターを確保する。パーソナルニーズを追求しながらも一定以上の実用性を確保している。

 違いを感じるのはパワートレイン性能で、PHEVがシステム最高出力が225kW、HEVが175kWになっている。またPHEVは一充電走行可能距離が90kmと、普段使いレベルならばその大半を電動走行でこなすことも可能だ。

 PHEVとHEVの価格差は170万円強。差はあるが、PHEVは公的機関の補助金(居住地域で差があり)があるため、補助金込みの実質的な価格差は100万円前後まで近づく。HEVでも新世代クラウンの優れた走りは十分に楽しめるが、PHEVの方ができることが多いのは間違いない。

 そして『エステート』。現時点で2023年度中の発売とアナウンスされており、2024年春頃に正式デビューが有力。パワートレインは、HEVとPHEVが用意されると公表されている。価格帯は、レジャーやファミリーニーズも意識したモデルだけに『スポーツ』よりも低めになると予想される。

プラットフォームはGA-Kをベースに、リヤ骨格を新開発。ボディにも結合剛性を高めるLSW構造が採用されるなど、ボディ強化のアプローチも見どころ。
HEVもPHEVも、2.5リッター直4のダイナミックフォースエンジンにモーターを組み合わせたシリーズパラレル式ハイブリッドを採用。PHEVは大容量バッテリーを採用したことで、モーター出力も強化されている。
車速に応じて後輪の向きを制御するDRSを採用したことで、コーナリング性能も追求。メカニズムは内装以上に贅沢な機能がふんだんに盛り込まれている印象だ。
トヨタ・クラウン・スポーツ

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