2023年インドネシア流行語大賞は「Whoosh」! 

+62が主宰しツイッター(X)投票で決める「インドネシア流行語大賞2023」。選ばれたのは「Whoosh」です。今年のインドネシアの世相とともに読み解きます。(文・知る花)

現地日本語メディアの+62主宰「インドネシア流行語大賞」。今年はやらないの?

今年は「JKT」かな。インドネシア関連だと首都「ジャカルタ」の略称だけど、「ジャニーズ、歌舞伎、宝塚」のエンタメ3大権力の頭文字でもある。今年はJKTの不祥事続きでジャカルタがとばっちり受けたよね。

MsFixer learning Indonesian@MsFixer_Asia

このように楽しみにしてくださっている方も多い、「今年を振り返って、皆で盛り上がろう」という「インドネシア流行語大賞」ですが、今年のノミネートは……。

あの発音出来ないアプリはもう無いしなあ

Kunihiko Higuchi@ku47

そして、かろうじて挙がったのが、下記候補です。

Whoosh Whoosh Whoosh Yes!
中毒性のあるコレですねw

椰子江@Osado1126

日本在住者のニッチな視点でジャムー(jamu)を推薦。

“花粉症に効果”のお茶からステロイド検出。
著名人多数が絶賛するも、国民生活センターによる取締案件となり大騒ぎ。原産地インドネシアと大阪の販売業者間で、責任の所在が不明のまま。

MsFixer learning Indonesian@MsFixer_Asia

インドネシア語流行語大賞、趣旨違うだろうけど
Bercanda
Emang boleh
Pinjam dulu seratus
はviralだけどよく見聞きした。
あと韓国語だけどkiyowoも。
あと韓国語もう一つgwenchana。
全部viral😂

みちお@インドネシア@8GaJ47IUvVD8inf

コロナ禍中は割合にまとまりやすかったのですが、コロナが明けて各自がそれぞれの活動を始め、「今年のインドネシア流行語大賞って……何??」となったかと思います。+62でも、「今年はノミネートが少ないかも」と予想し、「例えば……」と候補に挙げておいたのは下記でした。

  • コロナ明け(コロナ終了)
  • 出張者
  • 大統領選
  • プラボウォ
  • ジョコウィ
  • パレスチナ
  • イスラエル
  • semangka
  • サッカーU20W杯
  • ASEAN首脳会議
  • 天皇陛下
  • 藤井風
  • スシロー
  • IKN
  • 雨(降らない)
  • 大気汚染(ジャカルタ)
  • マスク
  • Whoosh
  • LRT

これらのワードをざっと見ると、「ああ今年、そんなこともあったね」と思われるのではないかと思います。しかし、例年なら最多ノミネートの4つで行う決選投票の4候補すらまとまらず、初めて+62編集部によりノミネート4候補を決めることになりました。

2020年に始めた、この「インドネシア流行語大賞」の方針としては、「よくわからない審査員によって勝手に決められる」「上からの」流行語大賞ではなく、「一人一票」という公平な投票によって、インドネシアに関わりを持つ人たちが選ぶ流行語大賞にしたい、ということ。

選考基準はインドネシアに寄せるのか、日本人社会に寄せるのか、と言うと、日本人社会の方に寄せることにしました。「今年は、これが話題になったよね」という共感のためのインドネシア流行語大賞、でいいのではないか、と。

こうして、読者からのノミネートでもある「Whoosh」と「ジャムー」に加え、「」と「出張者」をノミネートしました。この4つの単語は、インドネシア在住者やインドネシア関係者であれば、今年は何度か口にしたワードではないかと思われます。こうして決選投票に臨むと、意外な接戦となりました。

高速鉄道車内。ファーストクラスは1・2の座席配置### WhooshはYesかNoか?

大賞に決まったのは、最初から「堅い」とみられていた「Whoosh」(ウーシュ)です。10月2日に開通した「ジャカルタ・バンドン高速鉄道」の名前で、日本人の間では「新幹線」と呼ばれることも多く、「新幹線、もう乗った?」という会話が、挨拶代わりに交わされています。

乗ってみた人からは、「速くて快適」「バンドンがジャカルタの通勤圏になった」「経済的に大きなインパクト」といった、好意的なコメントが目立ちます。

車内アナウンスの最後に必ず言われるのが「Whoosh Whoosh Whoosh Yes!」(ウーシュ、ウーシュ、ウーシュ、イエス!)。しかし、本当に「YES」なのか? ようやく開通を果たし、開業から2カ月で乗客数は100万人を突破したものの、課題はいろいろと見えます(Whoosh批判は中国disと受け取られがちですが、これは中国disではありません)。

11月23日にジャカルタ・ハリム駅からパダララン(Padalarang)駅まで乗車したAさんとBさんによると、最大の課題は、パダダラン駅からバンドン駅までのフィーダー線。もう状況をわかっている人は、パダララン駅で高速鉄道を降りてすぐに、フィーダー線へと向かうエスカレーターへダッシュし、エスカレーターからなるべく離れた車内へと駆け込み、席を確保します。そうしないと、混み混みのエスカレーターから、混み混みのフィーダー線へと移動し、混み混みの車内で立ったまま20分間、電車に揺られる、ということになります。

問題はパダダランとバンドンを結ぶフィーダー線> 20分は意外に長いですよ。それなりに揺れるし、踏切もあるし。ボックス席なので席数は少なく、床はキャリーケースでいっぱい。このフィーダー線が一番疲れた。このフィーダー線に問題の全てが凝縮されていると思います

高速鉄道は揺れないし、速いし、快適だけど、それはたったの30分です。ハリム駅に行くのも大変だし、ハリム駅へ行く時間、フィーダー線で20分、など、合計していくと、2時間40分のKAI(インドネシア国鉄)の通常の特急に対して、どうなの?という感じ。これからも高速鉄道でバンドンに行くか?となると、まぁ、ないかな

デルタマスのイオンを越えた辺りで最高時速の350キロを記録。しかし、カラワン駅がオープンすると、この時速は出せなくなるとみられる

最高時速では倒れない500ルピア硬貨。カラワンを過ぎると、トンネルやカーブの多い山間部に入り、速度は落ちて、硬貨は倒れる> ハリム駅の線路が、唐突に切れて終わっているのも「もし減速できなかったら」と考えると怖いです。あと、山を削って作っているので、雨期の土砂崩れも怖い。乗るなら、開通してすぐの、今がいいんじゃないかな

この先の線路が切れている

これからもしばらく、「もう乗った?」「どうだった?」という話題は続きそうです。

雨が降らない!

快晴のジャカルタ(2023年12月)> ジャカルタ暑い…。スモッグは消えて青空になってはいるけど、でも雨は降らないし、暑くて暑くて暑いし。なに、雨季やめたの?

雨、降らないですね?」は、今年、何十回か、言った言葉ではないでしょうか。コロナ明けの6月ごろから深刻な問題になったジャカルタの大気汚染、「スモッグ」の話題がひとしきり続いた後で、次の重要なトピックだったのが「雨」です。

通常であれば10月ごろから雨が降り始め、特に昨年であれば、毎日のように夕方になると大雨、という「ザ・雨期」な日々でした。それが今年は一向に雨が降らず、まるで乾期のような青空が続いています。夕方に曇ってきて今にも雨が降り出しそうだ、となっても、結局は降らずに終わったり。雨期入りしたと思えないほど、極端に雨が少ないのです。12月になっても、ほとんど雨は降らない状態です。

なぜ雨が降らないのか? インドネシア気象・気候・地球物理庁(BMKG)の説明によると、「南シナ海での低気圧の発達により、赤道を越えて南へと流入する、湿った大気の流れが減少した。このため、ジャワからヌサトゥンガラ地方にかけて雲が発生せず、雨が降らない」。

もう一つの要因として指摘されているのは、エルニーニョ現象です。6月ごろからエルニーニョ現象が継続しており、非常に強いエルニーニョ現象である「スーパーエルニーニョになるのはほぼ確実」といわれています。地球規模での異常気象をインドネシアでも実感させられています。

ジャムー、ユネスコ世界無形文化遺産に

ジャムーの材料(写真・スウェ・オラ・ジャムー)

2位の「雨」を猛追し、僅差の3位に付けたのが「ジャムー」です。

あえて「日本でバズったインドネシア関連ネタ」の視点でjamuを推させて頂きました。たぶんjamuと同じくらいインドネシアが日本で今年注目されたネタってWhoosh (高速鉄道) くらいしかなかったと思います。

インドネシア健康食品『トラックアンギン』、日本初の正規輸入販売を開始
→そういえばジャムー (ジャムウ) 関連でもう一つ、今年は日本とのつながりができたんだった。ステロイド入りジャムー・ティー事件のせいで忘れるところだった。

MsFixer learning Indonesian@MsFixer_Asia

ぜひ、#ジャムー に一票を!

ジャムウ #ジャムゥ

公職選挙法違反 #公選法 #投票依頼

Tetes Manis@Tetes_Manis

どうか清き1票。
今年はジャムウ関連で3投稿しました。

菊池哲平 | 🇮🇩在住𝕏🧑‍💻𝕏ブログ@tpi29

ジャムーはよく目にした印象です🐱

yoichi takano@yoichitaneko22

活発な選挙活動による組織票が入ったのかもしれませんが、ジャムーが意外に手堅い支持を集めました。日本との接点という意味でも、ジャムーは今年の話題のトピックでした。日本で問題となったステロイド入りの「ジャムー・ティー」事件、そして、「トラックアンギン」キャンディーの日本での発売開始です(ともに5月)。

そして12月には、ジャムーが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界無形文化遺産に登録されるという、おめでたいニュースが!

+62も実は「ジャムー推し」で、今年から「ジャムー・ワークショップ」を始めました。来年もジャムー関連イベントを続けていく予定です。

6月12日、コロナが明けた

最後の「出張者」とは、「コロナ明け」を象徴するワードです。

インドネシアで新型コロナウイルスに関連する移動規制が撤廃されたのは6月12日。入国に当たってのワクチン2回接種、マスク使用義務もなくなりました。これで、長かったコロナ禍がついに終わったことになります。

「コロナ明け」を象徴するはっきりした言葉はなかったのですが、急に日本からの出張者がどっと増え、出張者対応に追われた……という駐在員の方が多かったのではないでしょうか。

来年は大統領選

インドネシア社会で言うと、2023年の大きな話題は「大統領選挙」(2024年2月14日投票)一色でした。正副大統領の組み合わせが決まるという大きなニュースがあり、キーワードとしては「プラボウォ」「ジョコウィ」などが挙げられます。大統領選関連は、2024年に確実に入って来るワードですので、来年に送りました。

大統領選関連は今年の決戦から外して正解だと思います。2024年問題と呼ばれるくらい世界中で大統領選が控えてるので(米、露、台湾など)、来年にとっておいた方がいいと思ってました。

MsFixer learning Indonesian@MsFixer_Asia

参照

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